2009年12月21日月曜日

Movie: Up (2009)


hey Carl! ....how old are you?

 何故か黄昏度の高さが目立ったPIXARアニメーション。PIXARの作品といえばこれまででわかるとおり、アクション以上に登場人物の感情を重視した作品を多く提供してきた。胸に重く圧し掛かりそうな場面であっても「くすっ」とした笑いで観客の気持ちを巧く保たせてくれたのである。

 さて今回は高齢者を扱うテーマ。社会問題にも繋がる場面があちらこちらに登場し、聴視側のフォーカスを絞ってくれる。だが本質的にPIXARアニメーションに期待するテーマとは随分と欠け離れている観は否めない。「Cars」「Finding Nemo」のような自分と主人公との距離感が無いのである。だからファンタジーな部分は物理的なアクションで補われる。そうなると、これまでとは視点変えなければいけない。たとえ、おじいさんのCarlがどんなにスリルあるアクションをしたとしても、それがPIXARの本筋とは取れないのは事実だからだ。

 パラダイス滝に行く場面は、我々の想像力を生み出す。なんせ家をロープで背負いながら、風船を失いながら、長い平坦ではない道のりを歩かされる。ともに歩くRussellも、外見ではCarlの目の上のタンコブだ。当然、苦難を苦難で終わらせないのがこの手のアニメーションの定石ではあるが、今回だけはなにか胸に痞えたものが取れなかった。

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