2010年9月6日月曜日

Movie: Beck (2010)


 アニメ「K-ON!!」はぐだぐだながらもバンドを通してメンバーの融合因子を示し、「今現在、足りていない何か」を仄めかせている。決してテクニックでは片付けられない「共鳴できる」部分なのだが、それを信じられないくらいのだらだらな内容の隙間から映しているのだ。

 「Beck」もコミックからの作品。この映画に映る人物像はどちらかといえば「いけすかない」連中が多い。しかしこの物語ではKOYUKIという高校でパシリをやらされている弱い立場の人間が「いけすかない」感覚をメルトしていく展開となる。映画自体、素人っぽさとか商業性を含めバラエティ感覚をポリシーとしているようで、集中ポイントがあるわけではないのだが、個性表現が面白く出ていて2時間以上の作品を飽きずに観れてしまう。さて、ひとつ疑問だったのが、KOYUKIの歌声を出さなかった点。イマジネーションを観客と共有させ個々に歌声を想像させる手法も「アリ」だとは思うのだが、最後の曲くらい何かサプライズは欲しかったと思う。

 何気ないが最強の応援をするHIROMIや、バンドの下地と客を集める切っ掛けを作ったSAITO。こういったキャラが映画の底を押し上げてた。こういった部分をこの映画では評価したい。

 最近はJ-MELOのような番組でも感じるのだが、日本のポップスは数十年前の苦労とは段違いの速さで世界に受け入れられているようだ。そのほとんどは自分も知らないアーティストである楽曲である。世界のほうが日本について敏感にアンテナを伸ばしている気がして、なんだか遅れた感じがするのは否めない。


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