2012年4月16日月曜日

Movie: John Carter [3D](2012)


ディズニー作品にはどこか「華やかさ」を持った作品が定番となっていた頃があったが、最近の作品はそういった常識は通用しないようだ。もちろん本作品も一種の(華やかな?)ヒーローものではあるが、ダークで土っぽく、埃っぽくありすぎて、目を凝らしてもそういった影像を確認するチャンスは少ない。

 火星の別名が男性の大切な部分にも近いワードだったこともあり、もしかすれば隠語的な部分を汲んだ部分も裏筋にあるのかを勘ぐって観ていたが、例えば地球を女性に見立てるには余りにも無理があった。

 火星の場面はAvatorのpandoraとの接点もありそうだし、Star Wars Episode I の立場関係にも近いということもあって、巷の予想どおり「Star Wars」と「Avatar」を掛け合わせたような作品と言っても嘘ではない。しかし一番の盛り上がりの場面がモンスターと戦う場面だとすれば、やや寂しい気もする。

 主役のJohn Carterよりもサンショウウオ犬?っぽいキャラに印象を奪われすぎていた感じ。

 3Dに驚かなくなった自分がいる。3Dを観慣れてしまうのはマズイことだと危機感を抱く。

2012年4月10日火曜日

Movie: Titanic [3D] (2012)


10数年ぶりに劇場で観たこの映画。今度は3D仕様である。

 長い映画という感じを微塵もさせないのは、ストーリーにロープを張り、観客がそれにしがみ付いているかのような流れにある。そこには観客の視線の前に疑問や混乱や退屈や違和感を抱かせない実に自然な影像が存在している。

 以前の鑑賞で内容は分かっていても、実に新しく、新鮮さを失わないこの映画に、3Dが加わるとどうなるのか??。興味深かった。

 率直に今までの3D映画よりも群を抜いてスリリングである。特に船首から海を見下ろす場面などはこの3D映画の目玉といっていい。ただ一番残念だったのは遠景。期待していた船の引いた構図は予想していた立体感がない。一方で人の会話の場面はとんでもなく立体感がある。字幕もまた飛び出してくる。もちろん大変な技術であることはわかっていても、もう一歩完成度が欲しかったと思うのは贅沢なことだろうか?


2012年4月8日日曜日

Movie: The Ides of March (2011)


監督がGeorge Clooney。5作品目ともあってなかなか板についてきているし、この映画ではゴールデン・グローブの監督賞候補にもなっていた。

 いわゆる裏側の映画である。何事も綺麗に見せかける表舞台とは裏腹な部分。そこには決して同じ考え方で動けないものが点在しているのだ。

 キーワードは忠誠(loyalty)。登場人物ではPhilip Seymour Hoffman演じるPaulがその言葉を多様し、実質(候補者を支援するトップの)彼が軸になっている。前面で動くStephenやMollyあたりはそれを揺るがす役目を持ったキャラクター。「実利」的な空気と混ざり合っていく。特に途中からPaul Giamatti演じるTom Duffyの介入あたりから「忠誠」という言葉の意義を観客に問いただしていく流れになる。そういう展開もあって、この映画は大統領候補となるMike Morrisを含め登場人物を「忠誠」「実利」のくくりで見て行くと面白いと思う。

 少し演出過剰な部分もある。PaulがMikeの車に乗る場面。The God Fatherだったらとんでもないことになる映し方。このへんは好きになれなかった。


Movie: The Artist (2011)


まず最初に犬が凄いと思った。

 映像音響技術が新化している現代において声の無い映画でここまで楽しませるのは並大抵なことではない。鑑賞前の不安な部分を取っ払うには時間がかからなかった。確かに冒頭は「この演出で最後まで持つのか?」という疑問もよぎった。もしこの映画がチャップリンやキートンの流れのまんま取り込んでいたのであれば失速していただろう。しかし、この映画、突飛な近代テクニックを織り交ぜながら、展開に期待を持たせることに成功している。まったくのサイレントムービーを装った現代芸術として細部に拘っているわけだ。

 主役のGeorge Valentinはクラーク・ゲーブルタイプな雰囲気がありながらフレッド・アステア風の踊りも見せる。「Gone With The Wind」よりも10年前の世界感。世界恐慌の余波などもあって思い通りにはならない時代を上手く、そして面白く描いていたと思う。

 映画の中で使われる音楽は申し分なく。アベル・ガンスの「ナポレオン」までも思い出させてくれた。


2012年4月2日月曜日

BD/DVD: The Tree of Life (2011)


撮影技法は時に余分な物語を取り繕うよりも雄弁である。

 この映画の冒頭で2つのタイプが語られるのだが、以降映画全般に「必然」の虚偽がエレメントとして流れを作る。つまり自然界におけるルール、境界は必然であるとする一方で何もない世界も必然である。そして、どちらかの必然を否定する意義はあるのか?過去と未来、父と母、子供達の裏表、ハーモニーと不協和音、あらゆるものの中で脳内議論が続くのである。その場面の殆どをコミュニケーションの最小単位「家族」で語られていくまさに存在自体に一石を投じるマインドジャーニー的な作品。

 振り返ればTerrence Malick作品である「The Thin Red Line 」や「The New World 」との垣根も感じられなくなったほど。


2012年4月1日日曜日

Movie: Liar Game: Reborn(2012)


前作「Final Stage」を観て、その展開に非常に興味を持ったため、今回も鑑賞した。

結論から言うと、前作の新鮮さが薄れてしまった上に、「面白さ」の掴み所が無くなっていた。正直、いかなる事情があったとしても戸田恵梨香が外れてしまったことはこのシリーズの大きなマイナスであるし、芦田愛菜のような意味の分からない浮き足立ったようなキャスティングによって映画鑑賞のフォーカスがブレまくってしまったことは相当に価値を損ねた。

「イス取りゲーム」と銘打て全編に展開するカケヒキ。しかし、イス取りの場面は序盤だけで、残りの殆どが国盗り合戦の結果による喜怒哀楽が描かれる。自分の感覚では1回戦篠宮優がイス取りで転げまわるほどの状況にありながら、残りは登場人物の外的ダメージも無きまままるではじめから部屋にいたかのような点あたりにかなり胡散臭さが漂った。さらには事務局側の取ってつけたかのような説明的演技。全てに於いてあまりに残念すぎた結果だった。

加えて、締め方がこんな雰囲気だと次回作があったとしても物語に期待はできなくなる。むしろ成り行きだけの映画といわざるをえない。