2013年4月22日月曜日

Movie: Lincoln (2012)


例えば今の日本との境遇に近い内容だとしても、別に日本の参議院選挙に限りなく近づけるような公開の仕方でもなさそうだし、結果的に全く盛り上がらない時期の公開だったので、真剣に入り込めなかった。真っ先に頭に浮かんだことは、「Spielberg作品」という効果はもうあてにできないということ。それは40代を過ぎたかつての豪腕投手のようなもので、球筋がはっきりし過ぎる反面、斬新さが無くなっているのだ。この作品は、一般的な生い立ちものではなく、アメリカ合衆国憲法修正に力を注ぐ時期を描いている点はスポットがぶれない意味で評価できるものの、舞台劇のような撮り方から、今までに無かったようなアプローチが有るかと期待したのだが、残念ながら満足のいくものではなかった。もちろん、無難なつくりではあるものの、決して名作の域におかれる作品ではないと思った。
 そういった感じのなかでDaniel Day-Lewisの演技は素晴らしく、またシンクロするかのようにSally Fieldの演技も相乗効果をなしていたのは、救いのひとつである。

 南北戦争への興味のある自分としては、「Glory」のような作品に出会いたいと思っている。ここからいろいろと影響を受けてサウスカロライナにあるサムター要塞まで見に行ったこともある。そういったこともあって、今回の「Lincoln」にも接点をいろいろと求めたのだった。


2013年4月9日火曜日

Movie: Hanasaku Iroha Home Sweet Home (2013)


  冒頭、暫くの間はヒヤヒヤする程に「かからないエンジン」状態だったが、緒花が見つけた伝六の日誌から母親の回想シーンへの流れになると、そのエンジンも安定した動きを見せてきた。緒花の母親像を中心にしつつ、緒花、菜子、民子等夫々の心にある想いが共振する感じの展開となり良いトーンへと変化。最初の心配は何処かへ飛んで行ってしまった。なんにしても、心に響く部分として、能登の風景のゆったりしたイメージが大きな力になっている。

  実写ものとアニメとを比較する上で、例えば数十年前の街の情景を映す場合、違和感に苛まれるケースはどうしても実写側に多く、余計な邪念に取り憑かれることがある。反面、アニメの場合はファンタジックな意味を込めてプラスな効果が期待できる。今回はテレビや電話などの小物も十分効果を作ってくれていた。

  作品は一時間しかなく、本音を言えば、もう少し長く見ていたかった。
  邦題「花咲くいろは Home Sweet Home」

2013年4月8日月曜日

Movie: Gone (2012)


Amanda SeyfriedがCosetteを演じた「Les Misérables」より前に撮った作品となるらしい本作品。過去に自分が経験した誘拐の苦い記憶と妹の失踪とが絡み合いつつ精神病的な雰囲気を撒き散らしながら犯人を追う展開。
 映像はサスペンスにありがちのショットではあるが、70年代によくあった素のカーアクションを織り込んだりするところは諸所の要素に気を使っている点でもある。
 ただ、あまりにも主人公と周囲の温度差があるために、普通の感覚からかけ離れた場面をいくつも見せられるのは一考。特に追う側が追われる側になるも、車をいくつか乗り換えつつ物語がすすむ部分は、正義モノ映画のテンプレートではあるとしてもベタで使われると素直に受け入れられない。

 アメリカ映画の多くは女性が主役となると、そこではほぼ強い女性の存在を前面に出してくる。女性も強いことは良いことだと思うのだが、日本ではまず、弱い女性が弱さの中から強さを拾い上げる展開のほうが観客の心を擽るだろうし、今回の映画のようにJillの眉のつりあがった表情を始終見ていたいとは思わないのではないのか。もう少し表情の変化も要素にいれたほうが良かったと思う。

 最後には悪魔的な表情に変貌していたような...。邦題は「フェイド・アウト」。