2009年12月24日木曜日

Movie: Avatar (2009)


The movie which criticizes excessive arts and sciences and civilization and rule. Moreover, the colony era is same thing.

 この風景。もうこれはRoger Dean以外にはないのでは?...と誰もが思ったことだろう。上が平らな樹の形やアーチの石や霞、そこここにRoger Deanアートの影響が感じられる。詳細は分からないが、舞台が神秘的な要素をもつ惑星パンドラだけにDeanの作風が理想郷の如くマッチしていたのかもしれない。

 James Cameronはやはり拘る。「The Terminator」「Titanic」のみならず、Sigourney Weaverが登場している分「Alien」にも拘った部分を持ち込んでいる。更にはやはりFOX繋がりなのか「Star Wars」まで思い出させる部分さえある。もともとこのアイディアは10年前からあったそうだが、VFXなど技術問題から現在まで持ち越されたそうだ。それだけに影像はかなり緻密に作られている。このヒョウのような顔したキャラクターが好きになれなくても、作品としては見事な出来に好印象を残すことだろう。

 現時点で全米でもNo1のこの映画は、歴史の名作に食い込むファクターを多く秘めている。

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2009年12月21日月曜日

Movie: Up (2009)


hey Carl! ....how old are you?

 何故か黄昏度の高さが目立ったPIXARアニメーション。PIXARの作品といえばこれまででわかるとおり、アクション以上に登場人物の感情を重視した作品を多く提供してきた。胸に重く圧し掛かりそうな場面であっても「くすっ」とした笑いで観客の気持ちを巧く保たせてくれたのである。

 さて今回は高齢者を扱うテーマ。社会問題にも繋がる場面があちらこちらに登場し、聴視側のフォーカスを絞ってくれる。だが本質的にPIXARアニメーションに期待するテーマとは随分と欠け離れている観は否めない。「Cars」「Finding Nemo」のような自分と主人公との距離感が無いのである。だからファンタジーな部分は物理的なアクションで補われる。そうなると、これまでとは視点変えなければいけない。たとえ、おじいさんのCarlがどんなにスリルあるアクションをしたとしても、それがPIXARの本筋とは取れないのは事実だからだ。

 パラダイス滝に行く場面は、我々の想像力を生み出す。なんせ家をロープで背負いながら、風船を失いながら、長い平坦ではない道のりを歩かされる。ともに歩くRussellも、外見ではCarlの目の上のタンコブだ。当然、苦難を苦難で終わらせないのがこの手のアニメーションの定石ではあるが、今回だけはなにか胸に痞えたものが取れなかった。

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2009年12月20日日曜日

K-ON! Ichiban Kuji Premium


 I drew lots twice at a convenient store FamilyMart in Sunday early morning. This lottery card is 800 yen each. At first, I got an Tsumugi's Figure of C prize. And next, I chose Mio's mug for F prize. I am considerably glad because my favorite character is Tsumugi.


Tsumugi's Figure


Mio's mug





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PSP software "Queens Blade Spiral Chaos"


Queens Blade Spiral Chaos Software (PSP)

This game is too hot! My choice is Tomoe. I think she is a very strong character on TV anime.








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2009年12月17日木曜日

Movie: Law Abiding Citizen (2009)


Why do that?...This movie has nowhere the word of "happiness".

 証拠が無ければ法に委ねられない....だが、証拠があったとしても法を破る手段に出ねばならない。物理的直線的な報復という手段を越えて、法の下で泣く人間の裏側で胡坐をかく者達を緻密な展開で覆していく様は、天の声を代弁させた感もある。そして、かつて映画では経験したことが無いほどのテロシーンは我々の背筋を凍らせていく。

 映画の中盤を過ぎると家族を失ったGerard Butlerと検事であるJamie Foxxの両サイドで考えることになる。ここで正義とかを云々する前に自分の立場と摩り替えてみれば自分には2面性があることもわかる。特にGerard Butler側で見た場合、決して許される行為では無いと思う反面、冒頭を思い返せばそこにはまるで人間の暴挙を悲しむ自然界が怒る様ともいえる。同時多発テロ以来、我々は正義というものの位置づけにブレを感じてきた筈。だからなのか、この映画は今でも頭の中で密かに暴走する回路への歯止めを促しているようにも取れた。

 かつて「Death Wish」で感じた不思議な爽快感はいったい何だったのか。今、この映画に置き換えてみると、全く爽快ではなく空しさしか残らない。逆の立場にあるJamie Foxxの家族の場面も例外ではない。

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2009年12月14日月曜日

Movie: Public Enemies (2009)


This can become the classic movie. Johnny Depp does not resemble Dillinger than Warren Oates'. However, Johnny's Dillinger shows us the other viewpoint against historical truth. I want to enjoy the "Style" of US '30 with several movies like Brian DePalma's "The Untouchables" or Sergio Leone's "Once Upon a Time in America".

 140分という差ほど短くも無い映画なのにMichael Mannはかなり潔くシーンを捨てながら理想の編集を目指したと思える。本来ならばくどくど説明してもよさそうな繋ぎの部分に対して一切の未練を許さない。不思議な感覚。現実の話をどうのこうのと語る前にこの映画がとてもスタイリッシュに作られていることに満足すべきかもしれない。

 一番胸を捉えるシークエンスは、Dillingerがシカゴ署に入っていく場面から...。その前にRedの死を経験したり、Billieが自分の目の前で捉えられたりと事態が変化していきDillingerの中に何かを察するようになる感覚が生まれている。このとどめはのClark Gableの映画の台詞に繋がっていくのだ。少なくともDillingerの心が解放された時間にはどんなことが起ころうとも(彼が)信念を曲げない点を幾度か場面が語っているからこそこの終幕が出来たのだと思う。

 エンドロールに名前が見えたのがHans Zimmer。彼もも一部協力しているのだろうか。

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2009年12月9日水曜日

Movie: Inglourious Basterds(2009)


Ja! unpleasantly cool thing! Is it a virtual vengeance about unforgivable past?

 行き成り「アラモ」で始まり、続いてマカロニ・ウェスタンなど過去の映画のオマージュとも思えるサウンド風景が作られる。影像は至ってシンプルだ。どんなに設定が違えどもTarantinoらしさは全く失っていない。ただ今回はPaul Verhoeven寄りになっているかもしれないが...。

 物凄い特別なる視点を持っている映画ではなかろうか。農村での礼儀を弁えた会話の裏にあるユダヤ人抹殺を執拗に目論むナチス。そのの描き方が染み入って怖い。ナチの将校は鼠の話を例に「正論」と思える台詞を吐くが、バスターズの登場でその目線を180度転換させることとなり、全体の立場が変わってくるのも見所だろう。そのナチを逆に皆殺しにしようと結成されたバスターズ。いったいどちらに正義は存在するのか。否。やはりこれはナチスへの仮想服襲劇!...と思わせながらやっぱりマカロニ・ウェスタン。ヒーローも仇となってしまうし、正当な交渉(deal)なぞも存在しない。その無情な世界観こそがこの映画の売りではなかろうか。

 どこかで見た顔だ!と思ったのは「Good Bye Lenin!」のDaniel Brühlと「Saturday Night Live」のMike Myers。さらには「The birds」のRod Taylorなど懐かしい御方も登場するので、音楽も然ることながら昔の映画ファンには嬉しくなる素材が地味に登場するので、これは要チェックだろう。

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2009年11月29日日曜日

Movie: Zombieland (2009)


Funny! I like it!

 ゾンビだらけにあって、実際は旅をする4人のダイアログが重要なこの映画。その4人とは...「The Squid and the Whale」で
ピンクフロイドの曲を披露したJesse Eisenberg、「A Prairie Home Companion」のようなカントリーの雰囲気が似合うWoody Harrelson(本映画でもWillie Nelson を話題にしている)、TVシリーズの注目株Emma Stone、最後は「Little Miss Sunshine」で一躍人気者になったAbigail Breslinである。

 この映画、Abigail Breslinが出演しているという理由ではないと思うのだが、ダイアログも含めて奇妙で温かいロードムービーという感覚あたり「Little Miss Sunshine」に通じるところがある。そういえばこの映画に後半登場する超大物スターにも2005年にロードムービーがあった。ゾンビ映画なのに、色々と温かいロードムービーを思い出す....この映画、そんな感覚を持っている。だからなのか、馬鹿馬鹿しい場面でも、呆れた感覚はそんなに受けない。

 冒頭から筋をゴムのようにしながら肉を引きちぎる場面が多く登場。眉間に皺を寄せたくなる場面ではあるが、対ゾンビのルールが幾つもシーンに張り付くように登場するので、逆にこのセンスにニヤけてしまった。それからビックリなことに才人Mike Whiteまで登場するので凝視すべし。

 B級的な印象を与えつつも、蓋を開ければ実に価値のある驚きの一作となっていた。

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2009年11月27日金曜日

Movie: 2012(2009)


Is this a important movie to bring an alarm bell to the human? No...this is a roller coaster movie!!

率直に言えば「もう飽きた」という感じ。確かにRoland Emmerich的映画だし、彼の拘る部分はかつての「DAS ARCHE NOAH PRINZIP(1983)」などを知ると一貫しているのは凄いと思う。その後の「Independence Day(1994)」「The Day After Tomorrow(2004)」あたりは、人類の危機感欠乏と相成った実に価値のある影像を提供してくれたと思う。しかし、ここ15年で影像技術が格段に発達したことで最早、観る側を凍りつかせる程の衝撃を与えるものは失せてしまったのではないか。

 この映画のテーマはマヤ文明、マヤ暦にある「終末」。これについて色々解釈がなされ、水面下ではブーム化しているのだろうか、類似した影像が多く撮られているそうだ。来年には「2012 The War for Souls」というタイトルの映画も公開されるとか。 映画の細部はよく気にされているとは思った。雑なつくりではない。ただ、遊園地のように楽しませようという感覚が逆にマイナス要因になっている気がする。また、この映画には他からの映画を引用したような場面(例えば「The Poseidon Adventure」あたりを思い出すシーンなどがあったりして、これだけの規模のVFXを使いながら「斬新的」には映らない。主役のJohn Cusackも嫌いではないし、彼の「Grace Is Gone」あたりは涙ものだったが、今回はなんだかしっくりとしない。周囲の俳優陣への「イマイチ感」があるからかも。

 要するにこれまでの「地球滅亡」映画の延長上でしかなかった。本来ならば、もう一寸胸に重く圧し掛かる映画を期待していたのだが。

 それにしてもノアの箱舟...Uボートのようなシェイプが楽しい。

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2009年11月23日月曜日

Movie: Smash Cut (2009)


fake is still fake even if it's in real.

 一部で話題にあった流血コメディホラー映画を鑑賞した。映像効果は幾分にもQuentin Tarantino的な感じ。David Hess演じるのが映画監督。しかし彼の作品は駄作過ぎで、観客から「金返せ」「偽者だとバレバレ」と罵られる。彼はある女性の事故を切欠にトンデモナイ(リアルな)行為に及んでいく...。この映画、近年、日本でも多発している猟奇的な殺人事件が目立つだけに生半可な冗談映画とはとれない。所謂、ヤバイ人間が見たらヤバイネタにされそうな映画...かもしれない。

 まぁ本当に気持ちの悪い場面が多いが、マカロニウェスタンばりの金管の強烈な音楽が流れるせいか、ラテン系の踊るノリになっていたりする。そんな中、Vシネマ女優Sasha Greyのナースのコスプレは好印象。エンドロールではブルーパー集となるために、ココロで揉み消そうとしていたツッコミが噴出してきたもんだ。

 それにしても、タイプライターとか底にダイアルのある受話器だとか、なかなかのネタグッズも確認できるのが自分には楽しくて嫌いになれないところがある。まとめてしまえば、「そんな映画だ!」と笑い飛ばしてしまえば良い。

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2009年11月18日水曜日

Movie: Herr Pilipenko und sein U-Boot (2006)


Cool!....This is "Life style".

「ピリペンコさんの手づくり潜水艦」という邦題をつけたドキュメンタリー。この邦題で映画の大筋が分かるから不思議だ。「ピリペンコさん...」とくればこの主人公のある「賛同できる話」であることはわかるし、「手づくり潜水艦」で多くの人が無し得なかったことを現実にした話であることもわかる。

 ドキュメンタリーとはいえ、かなり計算しつくされている映像編集。車載カメラとか、ワイド効果を狙った風景、アングルの凝り方にしても、場面場面で楽しめる構成になっている。

 それから音楽全般が日本からみたら「物悲しい」感じに聞こえたのは、それだけの国と国の距離感からか。そこがまた興味を沸かせるポイント。ウクライナはキエフという有名な都市を持つ国なのだが、意外と知らないことが多かった。この映画では、途中に願掛けのために木の枝に布を巻きつける場面がでてくる。こういうところでも日本とは遠いが近い部分も感じてしまった。

 しかし、なかなか夢のある話だ。周囲の援助は当然ながら、年金生活でギリギリのところも見せてくれたあたりも入れてこの映画にはココロを奪われる部分が多い。

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2009年11月16日月曜日

Movie: Zero no shoten(2009)


Zero Focus in 2009. So nice visual effect about the postwar atmosphere...but...

 松本清張の映画化といえば「砂の器」「鬼畜」などを撮った野村芳太郎を思い出す。特に「砂の器」ではクラシック音楽をバックにした日本海の雰囲気が今でも脳裏に焼きついている。野村芳太郎は久我美子が禎子を演じる「ゼロの焦点」も撮っているが、今回作品とは50年近くも開きがあり、それぞれで作品化にあたってのウエイト配分がかなり異なってた筈。そう、今回の作品の注目は「如何に時代を再現するか」にも興味はいくのだ。

 かなり良い線までいっている作品だと思うのだが、何故か、50~60年代MGM映画のような効果の走り過ぎが目立っているようにも思える。ややもヒッチコック的にもなっていたりして。舞台劇的な演出ならそれはそれでよいのだが、VFXも被ってくるため昭和32年頃に浸りきれない違和感は残る。

 それでも全般的な時代作りは良く出来ているとは思う。特に冒頭の婚礼写真を撮るときのフォーカスのあたらず、今後の物語に影を落とす部分は十分配慮されいると思った。

 ヤセの断崖とわかるアングルも嬉しかった。

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2009年11月2日月曜日

Movie: Shizumanu taiyo (2009)


The technology is the best, and the management is worst. This is current japanese company images.

 「この作品はフィクションであり...」というテロップが出た映画は、何らか事実が関与している...これは強ち間違えではない。まして今回の映画のようにモデルにしている会社が直ぐわかるならば、現在再建を強いられている問題とラップさせて考えずばおれないのは自分だけではなかろう。
 山崎豊子の連載小説が週刊誌に掲載されているときからモデルとなった航空会社からの圧力があったとされる内容。調べてみると、組合の不当な扱いからはじまり、金券の横流し、粉飾経理あたりは当然ながら、政府の要請で紡績会社から会長が経営再建に就き、小学生に詩を引用しつつ志半ばにして無念に会社を去る雰囲気も事実とされる。一番のポイントは映画では脚色気味で白黒分かつように恩地と対立する腐敗した経営陣と政府の癒着の数ある場面。度合いは別としてもここは作り話と流せない筈だ。
 よって大方は、この映画の殆どを事実であるかのように錯覚することだろう。だが今、モデル航空会社は体裁を整えたり秘密隠しをするにはその先が無さ過ぎる。今回の映画公開は(その部分)をボヤかさない点でもナイスなタイミングと思っていいだろう。

 3時間20分近くになるこの映画だが、思った以上に時間を感じずに物語りに浸れる。内容が近代日本で起こった大きな出来事を主題にしているからかもしれないが...。渡辺謙をはじめ演技者もメークをしつつ20年以上の隔たりを演じ分けている努力が感じられる。大方は良好である。しかし最も残念なのは、航空会社からの理解が得られなかったとはいえ、安っぽいコンピューターグラフィックスは入れたのは大失敗。ここは違和感に満ちた航空機映像をわざわざ登場させなくても演出技法で乗り切れる。観終わってもそれが影響して「失敗作」としての印象が残る。

 せっかく導入した新しい航空機なのに、整備体制を怠っていたようなものだ。

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2009年11月1日日曜日

Movie: This Is It (2009)


This rehearsal picture is "the best". But if there was true live show, what do I say?

 事前にはリハーサル映像ということで伝えられていたこのドキュメンタリーだが、Michael Jacksonがこの世を去ってから、今日までの短い期間に巧く纏められたばかりでなく、ショウに近い形で体験できたことはこの上なく嬉しかった。Michaelの歌や踊りは勿論ながら、この映像には「High School Musical」で名前が知られた監督Kenny Ortegaだからか、かなり楽しい演出が期待できた。

 冒頭から別世界になる。たとえこの映像が「Wanna Be Startin' Somethin」のために特化したとしても違和感が無い程の世界。ここはもうお気に入りの歌を聴くとか、ムーンウォークを観るための世界ではない。Michael Jacksonという人物が最近まで確かに存在していたことを確認できる世界と言っていいだろう。

 考えさせられたのがこれまでゴシップなので色々と報道されたMichael Jacksonという人物の姿。今までの噂を吹き飛ばすかのようにこの映像では、彼が周囲を気にかけ、気を使う性格を持ち、自分の意見をしっかりと主張する姿がある。今になって分かった気がした。残念なことである。この姿を彼の生前に見たかった。

 Michaelのスタッフには例えば「Thriller」を小学生の頃に聴いた人もいる。しかし全編を鑑賞する中ではMichaelは周囲との年齢差などは微塵も感じさせなかった。今になって思う。なぜ「死ななければならなかったのか...。」。本当に残念だ。

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2009年10月22日木曜日

Movie: Astro Boy (2009)


This movie which vividly expresses current movie business.

 映画館には字幕版を期待するも、殆どが吹き替え版でしか公開されない。クレジットでは凄い海外の声優陣なのだが...どうやら簡単には日本で体験できないようだ。日本の閉鎖的映画文化を再確認する。こういった場面には再三遭遇。東京地区あたりでは実験的にでもいろいろな設定を持って一応映画らしい映画が公開されるが、地方になれば大衆ウケ狙いの似たり寄ったりの映画ばかりしか公開されない。だからといってDVDやTV放映で映画を観た気分になる程「映画」に対して妥協してはいない。

 仕方がなく吹き替えを観る。この映画の良し悪しを語る以前に映画上映の在り方自体が不確実になっている分だけ、この映画の価値の殆どはそちら責任となる。所詮はスーパーマンでありスパイダーマンであれ、ドラマの構成はCGを駆使した最近のアニメーションの定番的作風。且つ大柄な白人が好みそうなハリウッドコメディ調もある。わざわざ日本らしさを残す必要性も感じられず、Tenma博士あたりの名前は単に原作への配慮としか考え付かない。

 以前よりアトムという呼称は「放屁」的な意味もあり米国ではアストロボーイとされていたが、現在に至っても壁は崩れていない。またこの映画では日本人がカッパコミックス時代から慣れ親しんだ姿は部分的にしか登場しない。胸を開けるとメーターがあったりホースでエネルギーをチャージしたり...というアナログ的な部分が削られ、完全に未来志向の背景で作られているためアトムを体験した時代感覚の時計をかなり進めなければならない。まぁ仕方がない気もする。尻からの機関銃はどうだろう?...ある意味手塚治虫的な「現実」への拘りな部分。今回はアトムの表情を見る限り、原作とのギャップを容認するのであれば、機関銃は不必要な気がした。

 色々書いたが、それでも適度に纏まっている作品なので、拘りのない人には楽しく観れるだろう。更に、この映画、現在世界レベルで考えるべき諸問題も織り交ぜて展開していくので、手法とかストーリーが平凡であっても売りにする点はいくらかある。

 最後のクレジットロールで香港のスタッフが漢文字とともに多く表示される。日本人には漢字なし。場面にも漢字の看板が出てきたり、これ香港舞台だったりする?。それでも御馴染みの日本語の歌が流れ、不思議な世界観だった。最後は「人工太陽」の巻を引用したラスト!?。ちょっと懐かしかった。

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2009年9月21日月曜日

Movie: District 9 (2009)


Exility causes exility... A delicate story.

 ウルトラマンのバルタン星人が頭に浮かんでしまった。ただこっちは限りなく海老。ウルトラマンならずともいろんな映画にイメージが重なる。何だろう...まずは「Black Hawk Down」かな。ライブ感覚とアフリカを舞台にした介入戦という意味では近いものあったし、SF的という点では「Starship Troopers」的な部分も。そのほか「robocop」とか「Transformers」...色々と思い浮かぶ。

 マグリットの絵画のように浮かぶ宇宙船。これは異星人難民を受け入れる南アフリカの居住区で起こる出来事を描いたSF映画。物語の芯となるのはMNUという異星人管理をする会社で現場を見るWikusが、居住区を伺っているときに受けた感染により次第に異星人化していくスリリングな展開部分。ちょっとグロい部分もあるので要注意。

 最初、インタビューなどを交えたライブ感ある映像にありながら、海老異星人の登場によるギャップに戸惑っていたのだが、最後に思ったのがなんだか現代の複雑な問題点を全て含んでいるような映画だと感じた。地球上の人種、政治問題に異星人を絡める部分は現代病そのままだが、逆説的に人間の理不尽な部分を最後には異星人とWikusの繋がる部分を持ってくる点や、Sharlto Copleyのキャラも何かそれに呼応しているのでは...と思えたのだ。

 ところでWikusが武器を欲する場面でAK47(カラシニコフ)と言っているが、日本のAKB48はこれと関係ないのだろうか。

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2009年9月9日水曜日

Movie: Taken (2008)


If there is implacability, a common knowledge can be overturned.

 集客数を増すために公開のタイミングを計るらしい日本では、この映画、なんとフランスより1年半遅れの公開。もうLuc BessonとかLiam Neesonの名前、あるいはこの意外なバイオレンスの内容だけでは集客力無い...と考えられているのだろうか。harry potterなどは別としても、近年は宣伝会社を通して「これは絶対にウケル!」という自信だけで持ち上げる作品は皆無。皮算用の結果としての現実がある。地方のシネコンは良い例であり、夏は例年のように子供向け作品に期待作が追い出されてしまう。「3:10 to Yuma」などは2年も遅れての公開。こうまで遅いと「レンタルでもいいか...」みたいな気分が身体に充満するのだ。こんな日本映画ビジネスの思惑に背を向けたくなる自分だが、日本に居る以上抵抗できないのも現実。

 この映画は、「Schindler's List」で名を上げたLiam Neesonが、あの映画から15年経て演じる役柄にも期待が及んだ。雰囲気そんなに歳をとったような感じは無い。弱者を救うテーマとしては同じ視点で観れるが、今回の彼の行動は異常にも取れた。インパクトは次の言葉に集約できる。「躊躇なき」「容赦なき」...Liam Neeson演じるBryanの前歴は深々と語られないのだがそこはBryanが観客に与えるRamboや「Death Wish」のPaulのようなイメージだけで全てを語ってくれるような感じ。

 最後まで娘のリアクションが乾いた感覚を貫く。Bryanの内心とは天地もの差がある。それでも家族というテーマを掲げたようなこの映画により、アルバニア系の悪党どもよりもむしろ現代社会との歪と対決しなければならない面を多く打ち出した。


2009年9月7日月曜日

Movie: The Taking of Pelham 1 2 3 (2009)



This movie become a bad one if you look with eyes of the doubt. But if you change mind, you find out many good points.

 当初、日本でのタイトルがリメイクの原版と同じく「サブウェイ・パニック」になると聞いていた(あまり賛成ではなかった)。ところが実際は「サブウェイ123激突」というなんだか迷いのあるまま付けたようなタイトルになり、良かったのか悪かったのか...。本来、原題はかなりクールなのだが。噂の段階ではDenzel WashingtonがかつてのWalter Matthauの役を演じて、John TravoltaがRobert Shawを演じるとされていた。ただ、あの独特の変装は無いそうだ。実際鑑賞するとイメージはかなり違う。Robert Shawの冷静なイメージとJohn Travoltaの逆上するイメージは微妙に異なる。こうなってくるとリメイクという先入観は不要。だからか旧作との比較なんぞ言語道断...と思えてきた。今回の映画、これはこれで良さがある。例えば、職務に就く人間のレイヤ構造。現場を知らない管理職の図式が明示されている分、面白くもあり、可笑しくもある。

 ただ単にスリリングなアクションとして終わらなかったのがWashingtonやTravoltaの力ある演技。なんとも良いコントラストではないか。この二人の背後には(設定的に)空気の合わない脇役が多数存在するのも構図をひき立てる。

 注視したセンスのある会話としてはGarberの妻が「1ガロンの牛乳を買って帰って!」と言うの対し、「ハーフガロンにしよう」というGarber。この掛け合いは妙に物語に意味を持たせる。それから事件解決後もGarberが最後まで地下鉄を使って帰ることに拘る点は、先に書いた現場と管理側の図式の結論付けた部分だと思った。



Movie: 20-seiki shonen: Saishu-sho - Bokura no hata (2009)



It is a good point!! The music is provident. The religion is non-provident. A only non-provident world should be fallen.

 20世紀は今となっては玉手箱。特に日本万国博覧会の開催された時代には政治、文化、事件などで今とは異なる波が押し寄せていた。この映画の背後にはグラムロックの特徴としたフェミニン・ボーイの置かれた立場が起爆剤となっている錯覚を受ける。そう、最後に登場する少年(Ryunosuke)に、やたらMarc Bolanのイメージが被った。

 この手の映画、ある程度固執して鑑賞しなければ、過去の登場人物が欠け落ちてしまう。個人的にはそこまで気を使いたくない。


2009年8月27日木曜日

Movie: Hachi (2009)


Oh my gosh, water came out of my eyes. If you show tears too, the earth is still in reliance on.

 冒頭、この映画に疑を持って見ている自分が居た。子供の語るヒーローについての場面もギクシャクした展開の中にあった。前途多難な感触が頭に植え付けられながらも暫くはスクリーンを大人しく見つめる。ところで、この映画、残念ながら日本語吹き替え版で観てしまった(実は付近のシネコンプレックスは日本語吹き替えだけである。だからいつもながらスタッフの伝えたい部分が伝わって来ない部分で欲求不満は残る)。キャストの声も実イメージとのギャップがある感じ。それはまるでダンジョンの中の敵の多さに躊躇している戦士の気分だった。Hachiが登場するまでは...。

 鑑賞していると、この映画、思った以上に丁寧に作られていた。まず、なによりも犬の演技にココロが奪われる。もちろんRichard Geretとのシンクロ度もよい感じに映る。脚本で良かった点をあげれば、Hachiが単純に待つだけの犬ではない描写として使われたボールを咥えて駅に行く場面。メリハリのある効果となって印象に残った場面だ。Hachiは余り吠えない犬だが、そういう中でその表現を巧く映像に捉えた監督の手法は実に評価できる。

 映画の後で僅かの涙も見せない人が多く居るならば、そんな今を生きる「俺達に明日は無い」。


2009年8月21日金曜日

Movie: Road Trip: Beer Pong (2009)


"In the buff....". I sing too.

 米コメディの奇怪さを象徴するようなVシネマ。日本においては少なくともシリアスな部分とのギャップ感のあるコメディが多いのだが、アメリカは比較的徹底的に馬鹿に徹する。だから今回のようなシモネタや強盗・テロネタで編まれているプロットには全く受け付けない人も多いと思う。

 大学のクラスメートがあるゲーム(スポーツ?)の国内大会に出るために行動を開始するも、その珍道中は余りにも極端。その内容の奇抜度からゲームへの勝利が目的以上に途中のアトラクションがメインとなっている。これを素に受け止めるなら「アメリカ感覚にはまだまだ理解不能な部分が多い」...のだ。
 
 ただ興味があったのが「Beer Pong」というビールカップにピンポン玉を入れるゲームを知る切欠となったのは一つの成果かもしれない。


2009年8月18日火曜日

Movie: La ragazza del lago (2007)


The Girl by the Lake....and others are?

 少なくともこれをイタリア映画の代表的一本としてを捉えると、とんでもない誤解を招く。日本人の目から理解するのはかつてのイタリア芸術映画の頃よりむしろ困難になっていると言ってもいいのでは。ところが不思議にも日本でのコメントは良好なものばかり。もしかしたら映画賞受賞歴に誤魔化されては居ないだろうか。

 この作品、一般的なサスペンス物と大きく違うのは、鍵となる場面が登場しないこと。しかもはっきり言えば関係ない場面から話が始まる。それ以降、微妙な接点だけで場面を縫い合わせてはいるが、核心に迫るどころか、迷路を沢山登場させ、「事件には多様な人間像、感情が入り乱れている」といわんばかりの展開に変貌している。よって犯人を断定することが映画の幕ではなく、一種異様な展開を弁明するかのような流れが主題と言えそうだ。しかもSanzio刑事とMarioの父の像がオーバーラップするなどの人物像詮索への関心を生み出す点も厄介だ。なぜならこれらが結論付ける構造形成には至らないからである。すべてが湖のほとりの如く霞んで見えてしまう。本当にこの話で多くの日本の観客は感動するのか?

 考えるに...近年の無機質な世界観を呼ぶ映画の中で、ベクトルは違えどもある種の心に響く作品となっているのかもしれない。


2009年8月16日日曜日

Movie: Evangerion shin-gekijoban: Ha (2009)


Do you accept a new plot that is not extended previous work?

 TV放映から既に15年近く経っているにもかかわらず、根強い人気の作品。安易に子供向けとは言えない難解な物語が底辺にあることと、海外からアンチが出るほどの踏ん切りのつかないキャラ像が逆に魅力にもなっている程。

 前作「序」では、テレビ放映の路線を遵守していたが、自分自身保守派でありながら「なぜ劇場版にする必要があるのか」という疑問も沸いた。しかし今回は路線が違う。テレビ版を信望する人には受け付けない部分もあるだろう。冒頭から「誰?」と思う人物が登場するが、これはこれで惹きつけるものがあり、前作とは異なる最新アニメーションの世界を展開してくれる。一方で違和感も訪れる。テレビ版の映像を使った部分などで映像感覚のギャップが起こるのがその典型。新しい脚本については異論すべき点だとは思えないが、こういう流れになるのであれば、個人的にはテレビ版とは完全に隔離した形のほうが良かったのではないのか...と思う。アスカの姓が式波になっていることを受けてもテレビ版との接点はあまり意味がないような気がした。もうひとつの違和感は、挿入曲。なぜこの曲?と思える部分はある。流石に今年「けいおん!」で話題になった「翼をください」を使ってしまうと、イマジネーションが崩れてしまう。これ、あくまで個人の観点からだが...。

 緑の公衆電話、ETC、クーガーのラジオとか携帯電話が混在する不思議な時代感覚は一種の面白さ。それにサラウンド効果抜群だったので前述の点はあまり尾を引かず、思った以上に満足感があった。



2009年8月14日金曜日

Movie: Night at the Museum: Battle of the Smithsonian (2009)


Taste is in ridiculousness and truth consciousness.

 先般の「G.I. Joe」とは異なり、馬鹿馬鹿しくても人間味のあるコメディになっていることは嬉しい部分だ。

 予告編で「Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief」が流れたが、その監督Chris Columbusが製作にもあたったこの作品、お約束のドタバタが登場するものの、なぜか品格は持ち合わせている。そう、この映画、Chris ColumbusとかOwen Wilson、Robin Williamsの名前を語らずともテーマ性の価値観はあるようだ。

 「the Smithsonian」での撮影自体が今回始めてとのこと。この有名な場所にあって(リンカーン像)を動かすアイディアも誰もが持ち合わせていたことだろうし、この映画ではそういった「こうなって欲しい」という願望に答えてくれる感覚がある。確かに馬鹿馬鹿しさを受け止めつつ飽きずに見られるし、最後には無難に終幕したが、どこかになにかを忘れて来たような気がした。

 ところで、最近のハリウッドコメディ。かつての売りであった「潔さ」に拘らず、日本人好みの感情的で後を引く笑いを求めてきている感じだ。この経緯としてはアメリカなどの欧米諸国に日本の漫画に代表されるアクション+感情劇が広がり多くのファンを勝ち取ったことに起因するものではないだろうか。ちょっと研究に値するかも。



2009年8月12日水曜日

Movie: G.I. Joe: The Rise of Cobra (2009)


What's this? ...movie?

 以前は持っていた筈だ。男の子版のリカちゃん人形。GIジョー。21ヶ所が動くという謳い文句は別としてもなぜだかこれが欲しかったものだ。「お人形」という女の子絶対有利の楽しみ方を男の子にも理解させてくれた玩具だった。

 あれから何年経っただろうか、知らないうちにこれがアニメーションになっていた。地上最強のエキスパートチームという名の下、内容もかなりSFアクション。かつての「Transformer」のアニメーションもこんな感じだったか。今回実写版は「Transformer」同様に男の子の玩具を強力なヒーローに仕立て上げたCGテクニック依存型。

 ジェットコースタームービーとはよく言った。一緒に見た妻が「感情無用と割切ったほうがいい」といったとおり、心に響くものは皆無。瞬間瞬間を体感するだけのもの。よって作品という言葉が映画芸術の出来を表すシノニムならば、これは作品とは言いがたい。もっと広範囲の意味を包括するMovieにはあてはまるだろうが。映像効果にしてもいまさら驚くことは無い。ただ、最近の気象異常に悩まされた人達には夏の憂さ晴らしとなりえるだろう。

2009年7月20日月曜日

Movie: Harry Potter and the Half-Blood Prince (2009)


Draco Malfoy who grew up looks like Anakin Skywalker in some sences.

 最初の作品から8年の年月が経つ6作目。1~2年毎に公開されてきた為か、「成長」が障害には感じられない。いや、心にそう念じていたのかもしれないが、それでも今回のDraco Malfoyはこれまでのイメージとは異なる。今回の作品はいわば変化と不変の部分を明確にし、それをインパクトにおいた演出がなされているといって過言ではない。よってこれまでのようにHarry、Hermione、Ronの組み合わせに囚われすぎると有意義に物語を深堀することはできないだろう。

 作品自体は悪くないのだが、全体的に暗のイメージ部分の占有率が高くなったためか、アドベンチャー度は削減された感じだ。それでも、この作品において、場面を繋ぐシーンのいくつかは不思議なセンスがある。滑稽でもあり、童話的でもあり、恋愛感情もあるし、時間のかけ方にしても、人物の台詞にしても、通り過ぎる風のようであり、また顔に降りかかる雨のようでもある。主人公3人の若さを表現する手法として捕らえれば、それはかなり効果的といえる。

 そして今回の特徴として第1作に回帰できる場面に多く遭遇する。多くの人は、この映画を観た後に、直前の作品を見直すよりむしろ第1作の細部を見直したくなるのではないだろうか。自分の興味もそこにある。多くの子供のファンを得た本シリーズだが、核心に迫るにつれて大人でしかわからない「マインド」の部分に依存する展開が増えてきたと思うのだ。最初の作品で5歳児と観たこの映画....幼少の子供達はどう反応したのだろう。


2009年7月13日月曜日

SONY PSP-3000(RADIANT RED)


Do you listen to the music on PSP?....NO!
Do you watch the movie on PSP?....NO!
Do you use digital camera on PSP?....NO!
Do you watch the "one segment" TV on PSP?....NO!
Do you (web)surf on PSP?.....NO!
What do you do on PSP?.....Only play the game!

ゲームは無線LANを経由して専用サイトから購入。 今は「Xenogears」に耽る。やや古いゲームだが600円という価格で遊べる。

 DSを持っていない自分としては画面が大きいPSPに惹かれた。DSは教育コンテンツなどバリエーションがあるが、PSPはコアに徹しているという感じだ。

 これを買うとき、色に迷ったが嫁から「赤!」と断言されたために赤にした。持ってみると 赤は赤でなにか遊び心をそそられる。これが黒や白やシルバーだったら盲目なまでにゲームにのめりこむ機械的な男の子趣味にしか
ならなかっただろう。赤はちょっとゆとりが生まれる。置く場所も拘ってしまう。赤のポーチと赤のスキンも購入したので自分以外の目も気になるようになった。赤で正解だったようだ。

PSP-3000 radiant red / skin / pouch


2009年7月12日日曜日

Movie: The Reader (2008)


Some footage grabs people's heart. And it is the wonderful prowess of screenplay.

 このような映画を劇場で鑑賞できることはありがたい事である。近年知らぬ間に劇場に巣食う機械的に誤魔化したような映像や音響効果の常套手段に疑問という風船が膨れ上がっている。だから割引を使ってみても損をした気分になることが多々あったが、今回は(鑑賞料金を)もっと出してもいいような気にさせられた。

 前半は特に心に響く場面が無い。しかしそれは後半のための「仕掛け」だからである。Hannaの態度に過去の嫌疑が掛かる場面は、実にさり気無く通り過ぎる。それからMichaelとHannaの家族構成を含めた棲む場所の違いもポイントとなるのだ。

 1958年~1995年に及ぶ愛と人々の生き様。前半で置かれた多くの「点」があるのだが、中盤からそれらを結ぶ「線」にあたる話が登場する。ひとつはProfessor Rohlの「法」の話ではなかっただろうか。戦争の時代と平和の時代の中間にきっちりと2分することはできない。法律もしかりで裏を表に覆すこともできない。ましてや心の問題は未知数だ。法廷における疑惑の記録について被告となったHannaは「自分が書いた」と認める場面がある。この場面で戦後およそ20年経っていて尚も強者と弱者の法則が働いているところは衝撃だ。遣る瀬無さまで感じたものだ。法律を学ぶものが感情をぶつける異様な場面もある。工事も進み、新しく平和になりつつなるベルリンに不思議な歪んだ部分が目立ちだす。そして、終身刑となり収容されたHannaの真実が明かされる....Michaelの送ったカセットテープによって。

 Ralph Fiennesは「Schindler's List」でGoethを演じた人だけに、実に感慨深い。この人でなくてはならない確信まで感じた。一方のKate Winsletはメーキャップの力もあるのだろうが、苦痛を背負った表情のままでほぼ全編を演じるのだから、もう凄いの一言しか出ない。流石「Billy Elliot」の監督Stephen Daldry。この映画は素晴らしい。

 余談ながら、この映画の風景の場面も要チェックだ。ヨーロッパの建物や風景が綺麗に見えるのは、余計なものを配置しておらず、拘る部分は徹底的に拘り、空間(距離)で得られる効果と統一性があるからだろう。日本では密集と個々の雑多性が綺麗な感覚から遠ざけているのかも...この映画ではそんなところも伝えてくれた。

 トルストイの「戦争と平和」はこれからも読んで語り継がれなれればならない話かもしれない。

2009年7月7日火曜日

Movie: Miyoko Asagaya kibun (2009)


Do you know "Japan"?. This is a "Japan" movie. So smell is more than necessary.

 自分。かなり前に阿佐ヶ谷で同棲していたことがある。だからか阿佐ヶ谷臭の記憶を呼び戻しつつ見入ってしまった。あの頃善福寺川の桜を見ながら、たとえ仕事がなくなったとしても平和は維持できそうな気分でいた。ねじめ正一の店辺りを歩けば不思議とコロッケも食べたくなったものである。

 この映画、不思議なつくりである。時間の経過とともに新都庁が映し出されるものの1970年代という時空から脱し得ない。人物の雰囲気も変わらない。もしそれを「些細な部分」と笑い飛ばされるならば、この映画の「些細」で動かす心の表現が意味を成さない。扱われるものは極めて繊細である。林静一も登場するのだから。漫画と人生と心の問題をシンクロさせた安部慎一の人物像。それは数年前のジョニー・キャッシュの伝記のような大味なものではなく、当時の「今からは想像もつかない」四畳半的ヒーロー像の典型でもある。後半で映画は足跡に重点を置いた様な感じがして、異臭から遠ざかったのは残念だが、一人一人の考え方が正論にも極論にもとれた頃の日本が垣間見れた。

 この頃の漫画は凄いと思う。「静で動を表す」と同時に「性で道を現す」。書き込まれた背景。レアリズムの絶頂を求めたかのような画風は閉鎖的な大人の空間からの抜け道でもあったのかもしれない。

 本当は、多くの人がこのような映画に縋りたい気分ではないのだろうか。最早電子物質で囲われた今の世の中で心を揺するものは皆無。しかし、この映画のような場面に遭遇すれば自分を掘り起こせるような気にもなる。ある意味「逃げ」。この「逃げ」な気分こそ充実感、これが現実。

2009年6月29日月曜日

Movie: Tsurugidake: ten no ki (2009)


The movie put in as if living without a map was happy for a human being.


 この映画を観た後「Seishoku no ishibumi (1978)」という映画を思い出した。原作がJiro Nittaという部分でも同じだが、撮影では、今回の監督をしているDaisaku Kimuraが担当した映画である。死と隣り合わせた真っ白になった顔の子供達を思い浮かべると(山の怖さを描いた映画としては)あまりにもインパクトが強かった記憶がある。今回は人の生死におよぶドラマ仕立てではない。むしろ山の四季折々の表情を長期に渡って撮影された成果という部分がにじみ出る。だから山の上での撮影に関わったスタッフやキャストの苦労が自然と「別の」物語を作るのだ。山には雪、風、雨、嵐、雷、霧...自然現象のいずれかが季節に関係なく極端な形で直撃してくる。もちろん快晴もある。登頂は所謂、数多くの困難を征し快晴の頂点から周囲を把握したものだけが得られる達成感ではなかろうか。これは政治にも通じるもので、近年目標が失われがちな情勢で「山に登って眺めてみる」ということが出来ない社会を残念思う気持ちにもなった。映画のシーンでもあったのだが、登頂を外面でしか見ないため、実質より軽く考えた挙句、1000年前の痕跡と対抗して「初登頂では無い汚点」に拘る陸軍測量部首脳にはまさに今のテレビで見ている政界報道に似つかわしく可笑しくなる。

 作品としてはかなり断片性が浮きだった綴れ折の産物である。陸軍と山岳会の初登頂への争いとか、パーティの意見の相違とか、導火線になりうる設定は登場するが、それにより映画の矛先を変えるまでには至らない。これはDaisaku Kimuraの考えなのかもしれない。飾ったドラマに転換することをせず、あくまで主役は「山の顔」であり、それを生かす考えを貫いたのだ思う。だからか映画が定石とするカットとカットの関連を会えて絶ち、映像の余韻(後味)も尾を引くことなく断ち切ることになる。挿入されているバロック期の音楽も映画の抑揚を抑えさせる。Jiro Nitta作品映画としてそれでよかったのかは疑問だが、日本の「Tsurugidake」を知ってもらえる映画にはなっている。

 それにしても、地図整備により世の中は良くなったのか?。子供の頃、海を見れば陽の昇る場所や沈む場所は知っていた。周辺の道は自分の足が記憶し、その方角も必然的に脳裏に展開された。奈良時代の僧侶が山に登るときも地図ではなく別の感覚がその場所へ誘導したのではないのか。地図は結局、その場所に住まない人のための道具。言い換えれば、その地域に不満な要因が発生したことで必用としたもの。本当に自分の住む地域生活が成り立っていれば、地図などは無用だったのでは。そんな気にもなった映画でもある。

2009年6月21日日曜日

Movie: Transformers - Revenge of the Fallen (2009)


I cannot understand somewhat in last half.

 自分は映画枠の基準として2時間より短いか、長いかを気にする。物語への興味によってはランタイムの長さにも耐えうる。アクション志向が高ければ短時間で発散する気分になるため、だいたい1時間半が限界。「Ben-Hur」や「Apocalypse Now」「Load of the Ring」などが3時間以上あっても耐えうるのは、観客の志向をその物語に集中させ、しっかりと長丁場へ導いているからだと思う。しかしこのシリーズは2時間半を使ったアクションもの。後半スタミナ切れになりそうな予感がした。

 前作で市街地戦を繰り広げたオートボッツとディセプティコンズ。今回は、なんと中国上海から始まり、アメリカを経て、エジプトへと戦いの場を替えて行くのだが、どうやら最近の傾向ともなる地球危機もの、世界巡業ロケ、インディージョーンズ風の謎解きものにマージされている感じがするのが残念。 もうひとつは温度差が読み取れない。シリアスな場面の狭間狭間に滑稽な場面が登場するのは隠し味ならよいのだが、ここでは隠し味の限度を越えて味付け過剰になってはいないだろうか。今回はCGは活躍しても2次元性を強調しているようにもとれた。 後半には展開が速くなってくる。間合いを置いて状況を把握する時間さえ与えられない。アクション場面になれば敵味方の区別でさえ判断不能状態に幾度か陥った。 ただでさえ、ロボットフェースの見分けが困難なハードアクションシーンが連発してくると、目がなかなかついていかず、終盤はストーリーを把握するというより、場面を目に焼き付けることで精一杯の自分がいた。

 それでもこのシリーズは好きだ。特にバンブルビーの泣く仕草とか、老ジェットファイアの動作のような茶目っ気のある点は良い結果に繋がっていると思える。
 

2009年6月16日火曜日

Movie: Terminator Salvation (2009)



Anton Yelchin does not disturb an image of Michael Biehn's Kyle.

 このシリーズは最早、第一作のような心理的恐怖を得られるものではなくなった。それはそれとして、この映画で登場するMarcus Wrightというキャラクターが今回の中心に居るため、スカイネットと抵抗軍の争いだけに拘っていない部分が単調な映画に終わらせていない。細かい部分でもシリーズを損なわないような配慮も感じる。ただ007やインディジョーンズ並みの際どいアクションはあまりこの映画には似合わないと思うのだが。

 なんとも面白いのが、過去の名作のオマージュとも取れる場面に多く遭遇することだ。「Arien」「Star Wars」「Apocalypse Now!」などかなりの数の映画を思い出したが、これは自分だけの思い過ごしかもしれない。しかし最近のアクション映画にいえることだが、観客を楽しませるための骨格部分を料理するとき、過去の作品の旨みをスパイスとして溶け込ませていることは間違いない。よく見た場面が再現される事...ある意味複雑。ある意味納得。

 いまや現代のヒーロー役者の代表ともいえるChristian Bale。「The Prestige」の憎憎しい部分さえ懐かしく思えてくる。

 今回の作品によって、第一作への興味が再燃した。

2009年6月9日火曜日

Movie: Instant Numa (2009)


serious stroy? SF? comedy? ...powerful story of a slump girl.

 ウェットなコースを走るスピンしそうな車のような映画。何処と無く空想に逃げているような登場人物の侘しさや可笑しさよりも怪しさの存在が目立ち、素直に笑えないところがある。一方では、観客の誰にもある憂さを晴らしてくれる要素は持っているので退屈はしない。

 まぁこれはある種、生活のなかで些細な疑問を解決するためや何かを変えようとするためのヒントをくれる映画ではないだろうか。

 それにしても温い、緩いジョークや言葉遊びは全体の空気をまったりさせてくれる。「よろしくおねがい島津藩」....これはLucky Starの「よっこい庄一」を思い出したのだが、意外とネタの源泉はアニメにあるのかもしれないな。Haname(Kumiko Aso)とGus(Ryo Kase)のコンビはHaruhiとkyonの関係っぽい。
 

2009年6月3日水曜日

Movie: Angels & Demons (2009)


one hour...it's too short.

Robert Langdonの謎解明シリーズとなりつつあるRon Howard - Tom Hanks - Dan Brownのトライアングルで織り成すキリスト教の歴史もの。前回の「The Da Vinci Code」よりもIndiana Jones ぽさが高まったようだ。

 Ron Howard映像は流石といえるほど、どんどん引き込んでいく手法が魅力だ。映画の長さは問題にならない。特に序盤のセッティングにあたる部分は満足がいくものである。確かに一時間毎に地、風、火、水に関係する殺人が示唆された場所を探すLangdonとVetraの行動展開は面白いと思うのだが、最後の爆破までの時間の余裕と行動のバランスが取れていない感じで、無理やり時間に押し込めている雰囲気になってしまった。1時間というのは短いものである。それが危機的な状況だと知っていれば焦るどころかパニックにまでなりそうだが.....。実際の登場人物はビックリ箱が飛び出すくらいにしか思ってないようである。

 素粒子の話が登場する。森羅万象、元は素粒子である話は、現在Wiiの配信映像でも紹介されたばかりなので、旬の話題かもしれない。直前に書いた「Star Trek」にしても物質伝送がでてくるので自然と興味は高まる。

 この映画には、議論の対象とされない「おかしい」部分が目立つところが残念だ。例えば焼印を押されると痛くて動けないと思うのだが、いとも平然と活発に動くCamerlengo。そこまでアクション重視する必要があったのかどうかは賛否があるかもしれないので、多くの感想を読んでみたいところである。

 終盤、空がミケランジェロの絵画のようになる場面は印象的にして、こじつけた感じも残ってしまった。

2009年6月1日月曜日

Movie: Star Trek (2009)


nostalgic?...No, an unprecedented star trek.

 TVシリーズの面々に比べたら今回はかなり若い顔となった。映画はかつて無いほどの戦闘アクションが繰り広げられる。かつて愛好していた人にしてみれば、あまり「Star Wars」的になって欲しくない願望がありそうだ。そこは監督であるJ.J. Abramsの配慮なのか、KirkとSpockを左右に配置した感じでキャラ像対比が楽しめるようになっている。構図も展開も丁寧に作られているとは思うのだが、今回の「Star Trek」では予想以上にアクションに傾き過ぎだ。どちらかといえば哲学的な底辺を広げて欲しかったような気がする。

 物語は23世紀前半のKirk船長がエンタープライズ号で初陣を飾る時代が描かれており、Sulu、Chekov、Uhuraなどの御馴染みキャラクターも設定されている。更には「Munich」などでお馴染みのEric BanaがNeroというところや、「The Lord of the Rings」シリーズのKarl UrbanがBonesという役者を使った点など「個性」重視がわかる。なんでも、KirkとSpockはBeatlesのJohnとPaulからインスパイアされたようで、こんな部分も興味をそそるところ。

 やはりエンドロールには懐かしいメロディが。初めて「Star Trek」興味を持つ人でも過去の知識に拘ることなく楽しめるのではないだろうか。

2009年5月29日金曜日

Movie: State of Play (2009)



 Although expression more than required is outstanding, this must be that it is "All the President's Men".

 思った以上に釘付けになる映画。所々で噴出する違和感は映画を面白くするための配慮と考えるならばある程度は納得できる一方で、かつての「All the President's Men」に近い緊迫感に繋げることを目論むならば相反するものと感じる。

 それでも綻んだ部分が気になって映画の進行を妨げるに至らないのは、やはりRussell Croweの存在感であることに間違いないだろう。

 「War, Inc.」でもパロディのネタになった戦争委託企業と政治家との接点の話にはどこか考えのベクトルを向ける先もなく流されてしまうが、日本ではよくある人気刑事もの映画にも相応する展開なので、人物像が明確になっている分、鑑賞のための頼みの綱を人物それぞれに置けば「その関連」が映画への関心を失わせない。

 最後の場面で思い起こしたのは、かつてのよき時代の映画の纏め方。そういえば、この映画、携帯電話は使われていても、不思議と20年~30年前の香りがあり、何か引き締まった感じがする。

2009年5月13日水曜日

Movie: Kung Fu Chefs (2009)


I wanted to look my eyes away of fulsome points like Jackie Chan style action. But it has unexpected amusement.

 かつて日本では高視聴率を獲得していた料理の鉄人と、香港のスター、Jackie Chanの古いコミカルなカンフーアクションを掛け合わせたこの映画。一人の有能な料理人の人生観を描くには必然性の無さが目立ち過ぎてしまい、結局、カンフーと料理のどっちにもウエイトが無くなってしまい、身内のイザコザを見ただけの雰囲気にしかならない。展開自体は無難と取れなくも無いが、人物表現が極端に飛び出しすぎているのが残念だ。

 日本のみならずアジアでも元モーニング娘。として名が知れたAi Kagoは(主流には戻れない立場ながら)不思議な神通力は感じられる。完全吹き替えであるから、評価は演技や表情に絞られるが、持ち前の笑顔で周りの役者と溶け込んでいるようで違和感が無いところは評価できる。むしろ(Cherrie Ying以上に)Sammo Hung Kam-BoやVanness Wuに似合った立場と言えるのではなかろうか。

 開水白菜。これは中華料理店のメニューで出会うことがあれば、是非、注文してみたい。

2009年5月12日火曜日

Movie: King Corn (2007)


whisky, bread, snack, soda, starch, fuel, material..... that's "corn".

 危機感を持つにはもってこいのドキュメンタリー。確かに家にある食品、シチューの素、ビール、インスタントコーヒー、これらの多くには原料の部分にコーンという名が記されている。

 アメリカや中国は大量消費国の典型であるため、流通や販売の効率を考えれば安く大量に生産できるものを多様に変化させ生活消費の主力にすることは仕方が無いことである。本来ならばその底辺に自然の流れを変えないような最低限のモラルがあって当然なのだが結果的には無視された形になっている。そんな点がこの映画では垣間見れる。

 変えられない流れ。中国の後を絶たないコピービジネスも同様であり、捕まえて捕まえても形を変えてそのパワーを増大させている。最早、モラルとかの問題ではなく、当事者にしてみれば生きるための支えがその部分にしか無いように見えるのだ。大きな国は隅々まで目が届かないだろう。日本にしてもそれを感じるくらいだから。ウィルス、ファーストフード、違法ビジネスなど、これらを瀬戸際で防戦してもあまり意味を成さない。

 この映画で一番ショックを受けたのは、ニューヨークのタクシードライバーの語る家族の糖尿病。冒頭で食べたものが髪に表れるという点と相成って、毎日の食生活には一層の注意が必要だと感じた。 ソーダにしても「悪い」ものとして片付けるのではなく、適切に扱えば生活も楽しくなるはず。問題なのはそれらに「依存」することだ。

2009年5月5日火曜日

Movie: Oppai Volley (2009)


Haruka Ayase attracts many people in this movie.

 着実に魅力を増しているHaruka Ayaseは、今回、色仕掛けともとれるネタに巻き込まれ、努力することから逸脱した中学生達の意欲を噴出させる。

 Haruka AyaseとOppai(= one of slang about female breast)との連結は、売り出し中の女優にとっては危険なジャンルともいえるが、この映画がそういった妄想感に固執させないのは背景と設定だろう。背景となる1979年は、新しい文化への転機だった雰囲気が伝わる。それに加えて日本の近代ドラマの下地を作ったスポ根(fireball story in sports)モノを2.5者的な視点で描いている部分があることで、これが面白く、笑いを持って展開を見守ることが出来き、肝心の筈だった妄想感はどこかへ飛ばされていることに気づく。そして、不思議と文芸作品のような纏めまで来ると「罠を知っていて掛かった奴」である自分を咎めることが出来ない。

 比較的ツッコミを入れたくなる点は、古すぎる公衆電話ボックス(この時代は既に透明なボックスではなかっただろうか。北九州戸畑がどうだったか?とは考えたくないが。)や、フラッシャー(a bicycle with electric direction indicator lamp)搭載の自転車とか、ペーストをたっぷりつける歯磨きなど。振り返れば、実におかしな点に執着していた時代だったと思う。
 

2009年5月4日月曜日

Movie: Gran Torino (2008)


When you abandoned a normal thought...


 「最近嫌な奴が多い」と感じたとき、自分の考えが外周と一線が引かれていることに気づきだす。守るべきもの、崩されるもの、その全てを受け入れなければならないワケだが、真意が見えないものばかりを相手にしているとたとえ隣人とはいえ堅固な扉を築く必要もでてくる。

 この映画で扱われている、人の歴史、人の心、人種偏見、カルチャーギャップ。今日、明日の自分は多くのどうしようもない世の中の形に引き摺られている絶望感をアメリカの異国人種の住む世界に置き換えて表現している。ここでは余計な脚色は不要。場面設定がかなり質素にして派手な場面は一切登場しない。

 ここ最近のClint EastwoodのスタイルにはPaul Haggisの例えば「Crash」のような遣る瀬無い部分を生かしながら、映画をそんな雰囲気に落とし込んでよいのかと守りに入るハリウッドスタイルとが共存した感じがあり、そういった部分は日本人に限らず、多くの人に受け入れられているのだと思う。いや、間違いなく日本の精神論的なコンテンツの影響も多いはずだ。特にアメリカ製コンテンツには存在しないヒロイズムに多角的な視点を投げかけた部分はこの映画でも生かされる。

 最後に主張するのは「Gran Trino」。人間の差を越えた憧れをあるべき形に変えて映画に幕を下ろす。

2009年4月26日日曜日

Images of Mt.Fuji


 空から富士山を見る。  静岡市あたりからの景色だが、天気が今ひとつハッキリせず一寸朧な姿であった。  まず、素の写真。そんなに説得力の無い景色なのだが...。


  あまり物語が沸かない。 そこで、山の輪郭をクッキリさせる画像加工をしてみた。


 どうだろう。山が何かを言わんとしている感じになった。 次に、明度どコントラストを変えて見る。


 不自然なのだが、広告にも使えそうな現代的な印象を得る。 その反対に、元の画像をモノトーンにしてみる。


 山の風景とは面白い。100年の年月幅を1年に縮めてくれる感じだ。 最後に、ヒストグラム加工を。

 静岡あたりが光に照らされている感じになった。そうなると日本自体の、 なにか運命とともに時計の針が高速で回転するようなスリルを感じないだろうか。



2009年3月21日土曜日

Movie: Valkyrie (2008)


Germany seems to have had more plots than Japan.

 Sophie Schollの「White Rose」運動にしても多くは語られることが無かったが、調べてみるとナチス党に対する人道的見地からの抵抗は実は数多くあったようだ。Oskar Schindlerの物語にしてもある意味抵抗であり、ナチスのヨーロッパ侵攻を容易にしなかった一端がこの辺にありそうで実に興味深い。この映画は、連合軍が反撃を計画する時代に発動されたヒトラー暗殺計画(ワルキューレ)の物語。Stauffenbergを演じるTom Cruiseがやや浮き上がりすぎているような感じが気になるものの、中盤以降は昔の映画「The Great Escape」を思い出させる雰囲気があり、計画遂行と時間軸とオペレーションの行き違いなどが面白く組み立てられていると思う。

 そういえば、あの独特の戦車で日本でも知られたロンメルにしても今回の暗殺計画に関与したと噂される。同時代の日本では類似した事件についてあまり聞いたことがないが、無条件降伏に反発した「宮城事件」の記事は見たことがある。

2009年3月13日金曜日

Movie: Twilight (2008)


Twilight-ism feels near to Haruhi-ism.

 極日常的な学校生活を中心としつつ、それを取り巻く家族や自然を巻き込んだ短絡的展開。日本でも似たようなドラマをよく見る。このような設定は最近のティーンエイジャーへの誘いにはうってつけなのかも...。この$37M予算の映画は、全世界で$350Mに到達している。ティーンには映画鑑賞のリピーターが多いことも耳にする。とにかく全世界で破格の売り上げを記録したStephenie Meyerの小説の映画化となる注目作品。

 Kristen StewartにしてもRobert Pattinsonにしても、まるで舞台劇のメーキャップをしているかのような効果を醸し出していた。背景はアメリカでありながら登場人物の何人からはヨーロッパの香りが漂う。そしてワシントン州の雨や曇を伴った寒さは映画の心理的効果も連れてくるのだ。

 確かにこれはずるずると引き込まれる展開だ。人物設定が奇妙な分、同様な場所設定で人気のあった「twin peaks」の空気も感じる。大人の目からはガチガチな心理描写に特化して欲しい点もあるが、プロムや野球やピアノなどの場面で一息できる演出となっている部分に「正解」を感じたりした。音楽もオススメしたい。

 余談だが、Bella-papaの台詞「You can kiss your license goodbye.」を世間のオバサンドライバーに言ってやりたくなった。

  日本公開では「トワイライト -初恋-」というタイトルをつけるのだが、あくまでもロマンチシズムを広告塔にしたいらしい。本来は恋愛臭よりもメンタルサスペンスなところを売りにしたいところだ。

2009年3月12日木曜日

Movie: Red Cliff II (2009)


 The ceremony of "Load of the rings" and "Saving Private Ryan" continues...

 前作が「Load Of The Rings: The Fellowship of the Ring」とするならば、今回は「The Lord of the Rings: The Two Towers」に匹敵するほどの戦いの場面に注力した作品。 John Wooは、史実の泥臭さとか登場人物の心理描写を時間軸で語らせるより寧ろアクションシーンに代弁させたようだ。よってゲーム感覚のある作品といえる。

 藁人形を的に敵の矢を尽くさせる場面での矢の重さで船が傾くところにしても、尚香が「朋友」とする敵兵とのエピソードにしても、またまた、盾を使った防御のフォーメーションにしても、本筋を増幅させる要素は豊富に用意されている。しかし個人的な意見としては、そういった面を押し出しすぎの感もあることは否めない。おそらくこの余計ともとれる増幅部を(自分とは逆に)多くの人は歓迎することだろう。前作が日本で思った以上に人気を得たのは三国志という歴史的且つカルト的な内容に留まらず、幅広い年齢層まで楽しめるようにしたJohn Wooの増幅部の功績でもあるからだ。

 軍師孔明が火、風、水など自然を強みにしていくあたりが後編の大きな見所と捕らえるが、どうしても「Saving Private Ryan」の序盤の上陸作戦のシーンがラップしてしまう。犠牲無くして勝利は無し。なぜだがそんなところで自分としての考える時間が必要だった。

2009年3月6日金曜日

Movie: Australia (2008)


This is a blending movie. Such as "gone with the wind" and "roots", and MGM musicals.

 不思議な映画だ。取り立てて2時間半以上の作品となりえる題材でもないのに、人物設定や時代設定がうまく溶け込んでいるのだろうか、時間を気にせずに見れてしまう。特に白人と黒人とアボジニリの中央に立って物語の鍵を握る少年Nullahの存在が実に面白いからだろう。 本当を言えば、前半のオーストラリア版西部劇のタッチにはいささか飽きてしまう。そこはかつてのMGMミュージカル風な演出に救われる部分もあるが、その内容は興味の範囲とは程遠かった。

 映画の半ばまで見過ごしていた人種間の問題は、日本軍の攻撃シーンから意味を持ち始め、作風も多少感じを変えている。作り手のことを考えれば、人種間の仕切りをこの場面で壊したかったとも取れるのだ。だからなのか、Nicole KidmanやHugh JackmanがもしかしたらScarlett O'HaraとRhett Butlerの雰囲気を意識してあるとしても、それほどこの二人の関係に興味は沸かない。2大スターを起用したこの映画。エンターティンメントとしての満足度で作るか、または人種問題をもっと浮き彫りにするかは悩むところだったのではなかろうか。

 久しぶりのBaz Luhrmann。「Moulin Rouge!」的な効果をここでも生かしたかったようだ。 20世紀FOXだからか、かつての「TORA! TORA! TORA!」の場面も使われている。