一般的なサスペンスを装った表側と、まるでDavid Lynch作品を呼び起こす猟奇的な怪しさとが競い合い、やがては片方が他方に飲み込まれていくと例えたいマインドバトルストーリーでもある。
これは普通のアメリカ映画に良くある背景を下地におきながら、実は奇妙な設定が至る所で見て取れる不思議な世界観がある。それはアナログとデジタルの不釣合いな存在とか、部屋の空間が冷たく感じる一方で、他人との距離がやたら近かったりするなどの設定のことである。実におどろおろどしい。これにより見る側を用心深くさせるのだ。
映画のテーマはなんだったのか?。思うに愛だの平和だの…と口でいうものの、実は人間の奥にある「それらと対峙するもの」について、こういった形で表現したのではないのかと推測したりする。
また気になったのが、マスコミの勝手な取り上げ方。手のひら返しのような流れは印象に残る。例えば「悪いことでも正直に語れば人々の賛同をえる」などの下り。よく考えれば、それが真実でなくても多数からの賛同さえあれば「悪でも善にかわる」的な偏った言い回しっぽくあり、怖いものを感じた。
Rosamund Pikeの演技が好きだ。