2014年2月9日日曜日

BD/DVD Rush (2013)


 かなり昔だが、ルクセンブルクにて観光バスを降りた周辺のショップで、メタリックなステッカーを売っていた。当時はジェームズ・ハントがマクラーレンで活躍していた頃。もちろんハントのステッカーを買った。この映画をきっかけにして、その頃を思い出そうと頑張りつつ、鑑賞してみた。

 冒頭、ハントの70年代のヘスケス時代が映され、そこにはポスレスウエイトも居る。やがて「ニューカマー」となって登場するラウダ。ここでの二人の絡み。なんとも言えぬシーンだ。

 Ron Howardの得意な夢ある展開に仕立てた点により、実話ではあるものの更に人間ドラマとして膨らませているところが良い。もちろんF1自体がドラマチックなことは言うまでもない。'88、'89でのプロストとセナの争いはその代表格。映画が単に脚色の賜物ではないことを理解している人は少なく無い筈。この映画と強くラップするのが、ラウダ視点での「危険」というテーマであり、実際に起ったベルガーの炎上事故やセナの事故死から強いインプレッションを得たと推測される場面が多々でてくることから、何か教訓めいたメッセージ性も感じられる。
 もうひとつは、ハントとラウダの人間像の対比的な演出により、伝統的童話めいたストーリーとして受け入れやすくなっていることも注目したい。ドイツGPでのドライバーミーティングでのコンディションを見据えた対応でも二人の差がでてくる。レースでは有名すぎるほどとなった炎上事故の場面も再現されており、映画を離れて現実の苦い思いが噴出される。明らかに二人の立場に優劣となって描かれるのだが、これはこれなりの思いで観てしまうのも、実際、Ron Howardはこういったパターンで突き進まないタイプだとはよくわかっているからでもある。予想通り?日本GPでは、今までを覆すような結果にもなっており、映画としての持ち味を十分もった実話ドラマになっていた。

 日本GPがクライマックスになっているのが痛痒い展開だった。ひらがなの「たいれる」まで再現されているのもまた痒さを感じてしまった。

  フッテージでは実際のニキからオーストリア・イントネーションの教えを受けるエピソードだとか、三菱EVO8によるレーストラック撮影の場面もある。こういうのが実に楽しかった。