一時は魔術のためにか、はたまた金のためにかギターの腕が落ちたと噂されたJimmy Page。70年代のライブと、その後のライブエイドやザ・ファームあたりとで確認すると、確かにあの頃はそう思えていた。級友Jeff Beckよりも音楽ビジネスでは優等生だった筈のPageも、彼のカリスマ性はどういうわけだか20年以上前で途絶えてしまっている気がしてならない。
今回のライブはそういう意味も踏まえ、懐かしさよりも不安のほうが先走っていた。Led Zeppelinは今でも、真似のできないバンドの一つである。よく「完コピ」バンドと言われる輩も彼らのソウルの一握りもコピーできないであろうと確信している。そう考えると、先に書いた「腕が落ちた」という文言は自ずと否定される結果に。つまりまとめると、真似のできない...しかもテクニックでは語れないフュージョンバンドこそがLed Zeppelin!!。今回の映像を見て、かつての「The Song Remains the Same」と比較しつつもやっぱりそう思えた。
このライブのポイントをいくつか書いておこう。
- Robert PlantのMCがRobert Johnsonなどを引用しつつ結構渋い。
- John Paul Jonesはスタビライザーのような位置づけ。彼の楽器類にも注目。
- Jimmy Pageが一番「おっちゃん」ぽいが、アクションはやっぱりPageだ。
- Bonhamの息子Jasonのドラムもいいが、バックボーカルにも注目。
- スクリーンに映し出す映像あたりの近代技術によって古典性を薄れさせているのが残念。
- セットリストは有名曲中心のいかにもファン向け。そんな中「Trampled…」あたりが嬉しい選曲。
- ボーナスDVDはリハシーンなど。これもある意味驚きの構成。
昔のインタビューで彼らは自らのカテゴリーを「ハード・フォーク」と語っていた。ところが現代では周囲が変貌しすぎたために「フォーク」という位置づけが微妙になっている。彼らはThe Beatlesあたりとは違い、タイムスリップしなければ、満足して聴けない数少ないロックバンドなのだ。