2012年3月5日月曜日

Movie: War Horse(2011)


この映画を観て、何本の昔の映画を思い出しただろうか? 自分の場合は「The Wizard of Oz」、「gone with the wind」などで。Spielbergの手腕以前に、彼が昔の映画を如何に愛していたかが分かる表現方法がとられている....実にクリエーティブな楽しみ方ができた。本作品のベースはシリアスである、馬の表現でもわかるとおり、妥協を許さない繊細な部分が影像化されており、これ、「日本では絶対にできないだろうな」と確信せざるをえない。そこには民族的な部分もあるかもしれない。ただ本音はシリアルベースの物語の間にとんでもないファンタジーが顔を出すところも含めて...「できない」と思ったのであった。有刺鉄線をカッターで切る部分あたりが特に...。「Schindler's List」にも無論あった。突然に観る側の緊張を解き放ち、核融合を起こすかように別の感情が生まれてくる瞬間。これこそがSpielberg映画なのだろう。

 ただ、腑に落ちない部分もある。「奇跡の馬」とだけ聞かされたAlbertがなぜ自分の馬と確信できたのか?...とか。なにかもうひとつキーワードが欲しかった。

 邦題「戦火の馬」。映画の中で塹壕を挟んで鉄条網に絡まり喘ぐ馬の場面がある。ここではPaul McCartneyのPV"Pipes of Peace"や映画「Joyeux Noël」におけるクリスマス休戦の場面を思い出させるシーン。今回はクリスマスではなく馬。その裏では命令に背いた罰として銃殺される場面がある。馬の銃殺から手当てに変わる場面を含めていろいろな場面で空気はいつ変わるかわからない時代だったこと。これはストーリーを楽しむ上で重要だったと思う。