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あの名作「12人の怒れる男」を連想できる台詞の妙を展開したRoman Polanski監督の作品。ロケーションは近くの公園の遠景とマンションの中しか出てこない。向き合う人物は2組の夫婦。きっかけは子供のけんか....。
人物4人はそれぞれに特長がある。その人物の個性を、料理、地位、興味事などを巻き込みながら「違い」と「正当性」を訴えるが、ときおり引き潮のように訪れる敵と敵の間の仲間意識が、ドラマのメリハリをつけ、実に面白い展開になっており、こみ上げてくる笑いも通常のお笑いものとは質が違う。
いろいろと登場する会話の中でのキーアイテム。要チェックである。まずは電話。4人の会話は序盤でAlanの仕事の携帯電話に遮られ黙り込むことに。しかし中盤となると子供の問題以上に電話への攻撃姿勢がでてくる。次にコブラーと酒。このデザートと酒はまったく違う役割を果たすので良く観察してほしい。更には画集とチューリップとバケツとドライヤーと...。実はこの映画、モノの立場で考えてみると非常に面白い。むしろそういう見方ができる稀な映画でもあると思う。
Jodie Foster、Kate Winslet、Christoph Waltz、John C. Reillyに拍手。邦題「おとなのけんか」。