2013年1月28日月曜日

Movie: Life of Pi (2012)


「Tell me what you see?」Piが虎に聞く場面。このときにBeatlesのあの曲の歌詞がイメージできた。そこには現実でありながらも、どこか空想的な世界観で自分をコントロールするPiの姿が有る。子供の頃より好奇心をもちつつ普通ではないことをさも普通のように考える立ち位置はストーリーへの関心度を高める。それは遭難する場面でも虎との駆け引きや、筏作りの場面でわかる。映像に目を向けるならば、かなり死と隣り合わせの場面が続くなかでSFのようなアプローチ。そこには生きる望みもあり、三途の川への入り口のようでもあり、まさに「何が見えるか?」という問い掛けられるテーマになっているように思えた。
 この映画では、あたりまえの台本ではない感じが、いろいろなサスペンスになっていて楽しい。例えば女性への尾行のときのあるセリフなどは特に。
 ストーリーとか人物像の描き方は好きだった。ただ、やはりCGに頼りすぎてる分、大げさな感覚も付いて回った。感動ものとして観る映画とはやや違うのであろうが、まとめ方としては物足りない感じがした。

 余談になるが、あれだけ隣国が騒いでもマリアナ海溝地図では「Sea of Japan」と出ていて。なんとなく安心。もしかしたらあの受賞イベントでは撮影賞あたりは狙える感じがする。

2013年1月16日水曜日

Movie: Les Misérables (2012)


ヴィクトル・ユーゴーは果してミュージカルという形を望んでいたのかどうか?に自分的関心が高まるのだが、なんだかんだでSusan Boyle盤でも話題になった”I dreamed a dream"などの有名曲がいくつも含まれている点を無視はできない。

 過去のミュージカルと比較して悲劇展開のなかの勇気ある人間像はパターン化されているにしろ、音楽という疎遠な物語にしてこれだけ音楽的なものも珍しい。いわばウエストサイドの硬さと柔らかさとの共存にも通じる部分がある。自分の感性と合わない点をあげるならば、台詞を歌にする必要の云々で、無理やり感があったこと。
 ところでトップクラスの俳優がこれだけ歌が上手いと逆に違和感さえ覚える。日本でも声優などにはマルチタレント的なアプローチが顕著だが、HathawayやJackmanのビブラートの前では、それらがまやかしにも思える。

 ラストでは涙する観客もいた。人間の持っている根っからの部分として、例えばかつての天安門事件のような行動の本質は決して社会体制の善悪そのもののには無い。それはオセロの黒白が逆転しても同様のことが起る可能性がある。そうなれば、涙の裏にあるものは何なのだろう?
 印象的だったのは、死ななければ平等は得られない...的な表現。ここはもう少し考えてみるに値する。
 天国や地獄が人間が決めた行動の法を基軸にする以上は、「神の下す運命」という言葉自体も人間の拘りにすぎない。すべては国家や民族に依存しない自然と接したときの人の心とその成り行きにあると思う。つまりは観客の涙は「(まったく他人から影響を受けない)人間らしさ」を取り戻したい欲求にあるのではないのか?
 その意味でもラストシーンには何層も重なった意味があると感じた。
 そして、なぜだか最後はエル・グレコ絵画の世界観が頭を埋め尽くした。

2013年1月15日火曜日

Movie: Hunter x Hunter - Phantom Rouge (2012)


  テレビシリーズとしては、ちょうどクラピカが幻影旅団との戦いに区切りをつけ、ゴンとキルアはグリードアイランドへ。劇場版も一応、テレビのエピソードタイミングを測ったかのように、主要なキャラクターが並んだ。その中において劇場版の展開を盛り上げるのはクモの#4をつけた男と、クラピカのかつての友達と、そしてゴンとキルアの仲間に加わる人形使い、彼らがポイントになる。
  まず、この劇場版は、原作を知らない鑑賞者としては、やはりテレビで見ておかねば掴みどころが無くなること必至。冒頭にゴンが簡単に主要なキャラ解説をするも、あまり役には立たないかもしれない。
  ある程度は知っていた自分としては、テレビとの関係においてオークションで扱われていた目玉の位置づけに注目がいった。
  本劇場版はある意味、補完的内容ではあるが、劇場版ネタを取り分けていた感じであることを含め、うまくテレビと映画を噛み合わせていると言っていい。ただ、展開としての「途中下車」したような感覚を拭い去れないのは残念。

  正直、最近のテレビアニメの劇場版は、それだけで成り立つことはないため、数ヶ月すれば記憶から消え去るようなポップソングに似ている。そろそろスゴイ作品が欲しい。

2013年1月10日木曜日

Styx:The Grand Illusion・Pieces of Eight Live (2011)


  予想以上に楽しめるライブになった。
 アルバム曲順どおりの展開が楽しめるのは、5年前に上海で体験したRoger Watersの”The Dark Side of the Moon”のライブ以来である気がする。今回はもちろんBDでの鑑賞となったが、それでもライブ会場にいるような雰囲気に陥った。

 これらはかつて愛聴したアルバムだったので、ライブで聴いたことの無い曲が味わえるとなると、居ても経ってもいられなくなる。個人的に言えば、”The Grand Illusion"の場合、A-Sideのダイナミックで親しみのあるメロディを持った曲の流れ、オープニングを経てTommy、JY、Gowanの流れの演出は見物。特に"Come Sail Away"については、曲の魅力もあるためGowanのプレイでもDennisの影を感じられた。そして"Pieces of Eight"のアルバムになると、”I'm OK"~Sing For the Day"、"QOS"は鳥肌ものだったし、ラストのタイトル曲は隠れた名曲として何度も口ずさんでいた自分にとっては、このライブのメインといってもよかった。
 ライブ形態として、かなり「有り」な内容であったし、メンバーの魅力と(Chuckも登場)、カメラアングルなどで全般的にまとまっていて感動した。

 これは何度も楽しめそうなBD。次回、続きがあるなら"Cornerstone"も仲間にいれてあげほしい。