「Tell me what you see?」Piが虎に聞く場面。このときにBeatlesのあの曲の歌詞がイメージできた。そこには現実でありながらも、どこか空想的な世界観で自分をコントロールするPiの姿が有る。子供の頃より好奇心をもちつつ普通ではないことをさも普通のように考える立ち位置はストーリーへの関心度を高める。それは遭難する場面でも虎との駆け引きや、筏作りの場面でわかる。映像に目を向けるならば、かなり死と隣り合わせの場面が続くなかでSFのようなアプローチ。そこには生きる望みもあり、三途の川への入り口のようでもあり、まさに「何が見えるか?」という問い掛けられるテーマになっているように思えた。
この映画では、あたりまえの台本ではない感じが、いろいろなサスペンスになっていて楽しい。例えば女性への尾行のときのあるセリフなどは特に。
ストーリーとか人物像の描き方は好きだった。ただ、やはりCGに頼りすぎてる分、大げさな感覚も付いて回った。感動ものとして観る映画とはやや違うのであろうが、まとめ方としては物足りない感じがした。
余談になるが、あれだけ隣国が騒いでもマリアナ海溝地図では「Sea of Japan」と出ていて。なんとなく安心。もしかしたらあの受賞イベントでは撮影賞あたりは狙える感じがする。