2010年4月29日木曜日

Movie: Le concert (2009)


Don't understand the thing of the harmony by the physical appearance. You close your eyes, and let's listen to music.

 原題が「コンサート」で邦題が「オーケストラ」。いつも思うのだが配給する映画により日本の視点を変えて邦題にするところは日本的なキャッチー感はある反面リスクが高い気もする。この映画を見る限りバンド(仲間)を調和させていく過程をテーマにしているのではなく、Filipovと愛する人との疎通を舞台で花咲かせるところにテーマがありそうなので、そういった意味では原題を曲げて欲しくはなかった。

 映画はコメディタッチで進む。楽しめる要素は多いのだが、メンバーの過度な羽目外しが気になるところも。その分、もうすこし詳細に描いてほしかった心の繋がりの部分が薄っぺらく感じられた。例えばリハなしというところはこの映画では前面に出したい部分なのだが、なぜ一発舞台で調和したのかという根っ子の部分を訴えるには足りないものが多すぎる。感動のクライマックスでピークメーターが上がらないのもそんな部分があるからだろう。

 気が付いたこと。この映画はヨーロッパ複数国の共作であるが、その国々の視点なのか中国や韓国の勢いが伝わる場面がある。以前なら「日本製じゃないとだめだ」という場面を含んだ映画も多くあったが、最近は違うようだ。それでも最後でツアー先に日本を選んでくれる点があり、最早「そういう側」に日本が変化したもの....と捉えた。

 それにしても平日の昼で立ち見(床に座り見?)が出るほどの大盛況。鑑賞する年齢層も高いだけあってこういった映画を上映する側にも多くの配慮が入りそうな気がする。

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2010年4月28日水曜日

Movie: Up in the Air (2009)


The sense of this movie is equal with a sense of my life.

 自分も年間の三分の二は飛行機を使って出張していたこともあり、この映画のRyanには何か共有するものがある。この映画を撮ったJason Reitmanの作品はいつもながら見る側のツボをついてきてくれるから不思議だ。「Thank You for Smoking」や「Juno」などもそうだったが道徳性とか善悪とか以前の心の内面を生かすコメディ手法が今回も映える。

 全般の感想としては「非常にセンスある映画」なのだ。ただ、ちょっと残念だったのがNatalieの人物像が予想以上に凸凹に描かれてたこと。序盤に受けたRyanとのクールな対峙性に映画の伏線を見出そうとしていたのだが...これは肩すかしとなった。それでも後半に至る過程で描かれるステータスの裏側に存在する犠牲の部分は皮肉を孕んで強烈に映る。人の首を切る立場が、やがて形を変えて自分にも及ぶ様は(現代社会とラップするからなのか)素直に笑えないものがある。それも含めて良くできている感じは受けた。

 アジア人の列に並ぶ....そういうものか。数十年前だったら間違えなく笑いものにされていたアジア人旅行者。その時代から比べたらえらく進歩したものだな。

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2010年4月27日火曜日

Movie: Alice in Wonderland(IMAX) (2010)


Tim Burton's wonderland has too many magic. On the other side, The spectator has mysterious frustration.

 IMAX-3Dによる鑑賞。近くの劇場で使われているXpanDの眼鏡よりも軽くて明るいのは間違いなさそうだ。ただ、頭を垂直にして鑑賞しないと眼鏡を外したときと同じ状況が生まれる。既にTVやPCにまで及んでいる3D化だがまだまだ問題点は多そうだ。

 さて、話題性が大きかった「Alice in Wonderland」なのだが、単純に「Charlie and the Chocolate Factory」との違いを考えてみると映像を使ったメッセージ性は今回は皆無といえる。むしろLewis Carroll原作のスタッフに拘っている部分が強く出ており、見る側の視点もどこか細部中心になってしまう。本来ならば、もう少しTim Burton+Johnny Depp が生み出す独特な世界に入り込んでも良さそうなのだが、実際は見ているうちに見えない制約を受けているような気持ちになった。

 Crispin Gloverが今回もキモさ十分のいい役だ。「Back to the Future」や「Charlie's Angels」でも見事にキモい役柄を演じているだけに今回も期待を裏切らなかった。

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2010年4月26日月曜日

Movie: Clash of the Titans(3D) (2010)


This is real theme park movie. It is made well in meaning so.

 今一番急上昇俳優といえばSam Worthingtonであろう。この映画は彼が主演することが重要な映画とも言える。彼は彼の出世作とも言える「Avatar」にも共通する役を今回も演じる。Perseusである。Jake Sullyの時も、人間とNa'viとの間で微妙な立場を演じたが、今回は人間と神である。さらに「Avatar」では翼竜に乗る。一方、今回はPegasusに乗る。いろんな意味で「Avatar」タイプの役者として固定されている感じは気になるところだが、今はこれでよいのだろう。

 究極的無難な作品。驚きや感動を得る作品でも無い反面、話題性だけの空回りした作品とも言えない部分がある。究極的と言ったのは遊園地的な要素では文句の付けようがない作りだからである。しかし一歩遊園地を出ると価値が極端に下がる。そういう映画だと割り切れば楽しめると思う。

 この映画ではmedusaとの戦いが一番の見もの。石にならないように注意して鑑賞すべし。

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2010年4月16日金曜日

Music: Emotion & Commotion (2010)


Jeff Beck ・ Emotion & Commotion

 考えてみれば、変わっていないと思っていた彼のスタイルは実は変わっていたのかもしれない。 思えば「Blow by blow」はまだロックという前提を条件にしてフュージョン・ワールドを展開していたことを思えば、現在のサウンドアレンジは最早70年代のロックというものに執着していないことがわかる。それは数多くのロッカーがフュージョンへのアプローチをしたものとは何か違うのだ。

 今回、「Over The Rainbow」あたりである程度の核心が見えた。かつて彼の本心になかったカヴァー曲にしても誰にも真似できないBeckスタイルのアレンジで原曲とは別次元の世界に連れて行かされる様。しかしそれが変化なのか?。

 ヴォーカルが入ればファンク色を出す一方で、「Nessun Dorma」のようなクラシカルな面も見せているのはある意味で昨年のアクシデントを代弁しているようにも取れるのだが、それも含めて「変わっていた」部分は、変わっていて欲しい願望がさせたのではなかろうか。やはり根本的にBeckサウンドには変わりがない。

 昨年の指のトラブル以降、彼の指に対する報道がいくつかあるが、ライブで演奏してくれる彼のエモーショナルな姿勢はそれらの不安を払拭させてくれる。


Beck's style never die. He's a great sound icon.

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2010年4月12日月曜日

Movie: Shutter Island (2010)


The route of the movie is decided by staff, but the route is not verified by staff, it's by spectators. Therefore the unnecessary instructions before beginning let the pleasure of the movie reduce to half.

 映画が始まる直前にいくつかの「約束事」をテロップで流しているが、これは自分には逆効果。こういう誘導的な視野を観客に与えるべきではない。視点はそれぞれ違うからこそ映画の価値感覚も様々となりえる。それはそれとして、確かにしっかりと物語を追っているつもりが、どこで見落としたのか?という疑問が少しずつ湧き上がる感じがしてくる。一つ間違えればDavid Lynch的な世界に滑り込みそうな気分にもなる。しかしやはりMartin Scorseseだからか、裏をしっかり取っているようで、見る側としても映画の筋道を忘れないでいる理性は保つことができた。

 Dennis Lehaneの原作の映画は過去2本見ている。「Mystic River」と「Gone Baby Gone」だ。今回の映画を見た後思い出したのは、この2本ではなく、2001年公開のあの有名なミステリー映画なのである。あの全編で暗さが印象深かった映画だ。あのときの女優と比較して今回を考える。要はLeonardo DiCaprioの顔ばかり眺めていても映画に入り込めない...ということ。

 Mark Ruffalo、Ben Kingsley、Max von Sydow、Michelle Williams...役者は一級品。ロケ所も場面も全て興味ある設定だ。そういう感じもあって、見終わったあとにもういちど要所を確認したくなった。

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2010年4月5日月曜日

Movie: An Education (2009)


An expression of Carey Mulligan talks about the meaning depth of the movie.

 これは配役の勝利と言いたくなるほど演技に比重が置かれた映画である。アカデミー賞にノミネートされたCarey Mulliganは若手でありながら、研究したかのような微細は表現が巧い。一見彼女の表情は淡々とした風に見えるのだが、時間を追って変化する彼女の心理に対してその演技に違和感がないとろは感心できる。その彼女の存在を高めているのが父役のAlfred Molinaと母役のCara Seymour。娘に対応する部分での演技の動と静のイメージは十分過ぎるほどの薬味。さらに教師役のOlivia Williamsにしても心理を読み解く課題を与えてくれる。

 若者文化が急加速しだした60年代において、時代の代表ともなるべ反体制気質を一人の16→17歳の女子学生より読み解く映画...そんな気持ちを終盤近くまで信じていた...ところが。考えてみれば何処の家庭にもいそうな17歳の背伸びした女の子の物語なのだ。ただ普通ではないのが彼女の「信念」。チェロ、フランス、そして大人の世界。そこに足を踏み入れた彼女はそれ以前を否定した言葉を口にする。ここでタイトルを思い出してみる...An Education...。なるほど、ものすごく深い意味ものを持った映画なのかもしれない。このあたりについてはStubbs先生の設定が説明してくれるのではなかろうか。

 流石ミニスカートの発祥国?なのか女学生のミニスカ風制服が印象的。現在のミニスカ風制服のスタイルは日本からの逆輸入と言われているが、この映画では異国アレンジのない60年代の英国風ミニスカートが確認できる。

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