2015年8月16日日曜日

Movie: Jurassic World (2015)


   映像革命を齎した第一作目から20年も経つと、興味は「今とそれとの違い」に向いてしまう。だが蓋を開けてみると、そこは第一作目の焼き直し的展開でしかなかった。家族の微妙な関係と子供の好奇心。悪役的なスタッフに犠牲要員。危機から脱出した安堵も束の間で更なる危機。どれもこれもがパターン化され過ぎである。Michael Crichtonの原作を曲げない点からかもしれないが、これでは見る側の想像力テストにもならない。

   ハリウッドも含め、映画産業がこのような形になったのは過剰な映像技術の多用と、クリエイティブ性を失い、使い古されたモチーフと脚本によるところがある。勿論、興行の仕掛屋、制作屋もそうだろう。端的に言えば近年は「目は楽しめても、心は楽しめない。」作品が多過ぎである。むしろ最近ではパニック映画やオカルト映画やカーアクション映画だらけだった70年代作品のほうが輝きを感じる程なのだから。

    ただ、さすがに映像技術には感心する。予算の違い云々はあると思うが日本映画のそれとはまだまだ遥かな距離がある。映像重視か脚本重視、何れが良いとは言及を避けるが、どっちつかずの中途半端感が少しでもあれば、映画全体が安っぽくなることに異論は無い筈だ。

   ここでは、何度か書いたが、今では劇場でさえオリジナル言語版(字幕版)を見るのが難しくなっている。この作品は地方では殆どが吹き替えである。最早、出演者の演技を楽しむことさえ出来なくなった。日本の地方に住む外国人にとってはえらく災難だろう。。
    今、純粋に映画を楽しむ時代は終焉したのかもしれない。