2017年12月30日土曜日

Movie: Star Wars: The Last Jedi (2017)


 1977年。エピソードIVは、人間関係を本筋にしない冒険活劇だったはずだ。やがてエピソードが進むとルーク、レイア、そしてダース・ベイダーの家族の関係式を以って話が進み出す。それはまるでハン・ソロとジャバやランドーとのエピソードが裏話のような感じで…。それでも最初の三部作はデススターという倒す目標を持った冒険活劇だった。1999年からの3部作はオビ=ワンと若きダース・ベイダーの話。このあたりより人間関係がメインになってくる。それと同時に気持ちよく見れないスターウォーズの話になりつつあった。この違和感はレイの時代の作品で更に拡張される。もしスターウォーズが端的に帝国軍と反乱軍の長きに渡る歴史展開であるならば、兵器やキャラにもっと肩入れできただろう。残念なのは、デザインやキャラクターが予想以上に置き去りにされてきているということで、1977年当初の映画のウケ方とは違いすぎるのも気になった。確かに時代変化によるところは否めない。だが、「ルーカスの求めた部分はこれだったのか?」などと頭の整理がつかないままに観るのは辛いものだ。

 また、最近の公開が12月であり、ある意味年末のシリーズものとなっており、「寅さん」「007」のような扱いになりそうで怖い。1977年。テアトル東京。オールナイトで何回も続けて観た映画の魅力は、最早感じられなくなっている。

 

2017年11月26日日曜日

Movie: Justice League (2017)


 久しぶりにIMAX3Dで見た。IMAXのイントロが楽しみでもあった。以前、新宿タイムスクエアでIMAXが上映されていたころを思い出せば、規模的に物足りなさもあったのだが、それでも迫力は通常の劇場では味わえないものだった。

 映画はスーパーマンが特別主役級なのか、ロイスやルーサーなどの脇役名とともに空気感もスーパーマンだったが、実はうまく調整役に回っていたのはワンダーウーマンだったりした。ポップコーン映画としてはこんな感じで良いのかもしれない。今回はIMAXということでまともな映画評価はできなかった。




2017年11月3日金曜日

Movie: Thor: Ragnarok (2017)


 空間遊び心のあるファンタスティック・コメデイ・アクションかな?。北欧神話のテンプレートがあるためかLed Zeppelinがよく似合う。関連作品を知らなくても程よく楽しめるし、程よく笑える。その一方で、他人を壮絶に巻き込んだ兄弟喧嘩でもあるわけで、大きい話なのか小さい話なのかが見極められない。それはどうあれ、ヒーローものとしての起承転結は守られているところが、面白さの欠落部分でもある。

 とにかくカメオ出演も含めて、いろいろな俳優がでてくるので、誰が誰という見方をしても面白いだろう。ジェットコースター感覚の戦いの場面も楽しめて、いわば完璧なくらいのポップコーンムービーである。


2017年10月28日土曜日


 2001年にシカゴに行った時、マクドナルドの1号店といわれる場所やロックンロールマクドナルドにも行った。つまり、マクドナルの生まれた場所はイリノイ州と信じていた。この映画では冒頭でこの信じていた部分を壊しに来る。このあたりの脳裏闘争は最終的には解決するのだが、気持ち的には真実のドラマ部分が排除され、「いやらしさ」しか見えてこない感じに陥る。結構好きな味のある俳優を使っているからこそなおさら、オリジナルマクドナルドとビジネスマクドナルドとの違いに悲しさを感じた。

 映画は「American Graffiti」の時代を感じ取れるので、その時代に浸る楽しみ方もできると思う。




Movie: Blade Runner 2049 (2017)


 SF映画のほとんどは、暗い世界を描いている。何を映しているのか分からないほどの黒さだ。そんな空気感にスーパーヒーローが似合う形は、今では定石といっても良い。まぁ、ジョーがそのヒーローなのかは明言しないほうがよさそうだ。

 第1作で登場したパンナムビルなどをそのまま生かしているところは、最近見直した「the Butterfly Effect」に通じるものもある。

 映画は長い。長い理由のほとんどが間延びした感じから受ける印象だ。環境映画のような雰囲気は意図的なのかもしれないが、アクション映画に慣れすぎた人たちには、テンポが合わないだろう。しかし、このあたりBlade Runnerぽさだったりもする。残念なことに第1作を見てから何十年も経っているため、シンクロ度合いが薄れているのだが、それでも興味をもって観れた。

2017年10月14日土曜日

Movie: War for the Planet of the Apes (2017)


 猿VS人間。見る側が応援するのは猿。Charlton Heston主演の作品ではこんな雰囲気ではなかった。いつのまにか人間の犯した罪を問う要素がこの作品を占めるようになったようだが、ある意味、猿と人間の立場が逆転した倒錯面を描いているシリーズなのかもしれない。

 映画を見ていると「the Lord of the Ring」とか「the Great Escape」とかを思い出す場面も出てくる。シリアスな流れを基調に展開している映画なのだが、ディテールでツッコミどころが多いため、エンターティンメントと割り切って見た方がよい。確かに感情的なシーンが多々あるが、心に訴える部分は少ない。

 シリーズは続きそうだ。コーネリアスの今後に視点が集まりそうだが、チンパンジー、ゴリラ、オラウータンの階級制が明示される場面あたりを期待。

2017年9月23日土曜日

Movie: Dunkirk (2017)


 Christopher Nolanという名前で見る映画だとするならば、マルチなエピソードの絡みがその楽しみ方にある。逆に戦争映画として見てしまうと肩透かしを食うことになるが、逆に今までの戦争映画の在り方を否定することで、リアルな部分が見えてくるようでもある。まるで航空ショーを見に行ったときに起こった悲劇感覚なので、我々の日常っぽさがいっぱいだ。そして、突然爆撃や機銃の攻撃を受ける。それでも空は青く、海は程よい波が立つ。不思議な感覚で体験できる戦争映画である。

 冒頭、海や空の時間設定がでてくる。時間幅の違うエピソードを複数編み込んでいる感じなので、脳内補正が多少必要であるし、場所についても脳内にマップ展開がいる。それでもある程度は映画上の都合で設定されているものもあり、リアル性と作為的な部分で戸惑いもあった。


 もっとも着目する点は、英仏連合軍が諸所の理由で区別されるところ。これもリアル性を助成している。個人的にはスピットファイアが足を出すシーンが一番目を凝らした部分だった。

2017年9月17日日曜日

Movie: Alien: Covenant (2017)


 ほとんどの国で5月に公開されているのに、日本だけが9月という(ブルーレイでも見れる)時期に公開したのがこの映画である。いろんな意味で日本は凄い。テレビドラマの映画化とかアニメ映画にはかなわないカタチを確立しているのだから。

  「Prometheus 」の続編ということで、時間の経過はあるが画のつながりは依然と今とで感じることができた。残念なことに依然作品を日本語吹き替えて見たこと。これがトラウマになった。とんでもない声優(女優?)が使われていたことで作品を評価するレベルまで行き着かなかったのだ。だから「Prometheus 」以降はよほど信頼のある声優でなければ、吹き替え版など見る気にもならならい。今回、当然ながら字幕版。

 エイリアンの安売り時代もあったが、やはり最初の「ALIEN」のインパクトが強かったことで、威厳はまだ保たれている。ただGigerのイメージと今回の船内デザインが微妙に乖離している感じがした。近年の技術革新はかつての心揺さぶる有機的なスタッフワークを分断させているのかもしれない。

 まとめれば、いまひとつ「ALIEN」に近づく要素が欲しかったし、加えて「ALIEN」と異なる驚きが欲しかった。

2017年8月14日月曜日

Movie: Kong: Skull Island (2017)


 ジュラシックパークからはや20年以上 経ち、技術的な面では安定して来たのだが、既に映像技術では驚かなくなった。それが良いことか否かは一回真剣に考えて見る必要がありそうだ。

  「地獄の黙示録」や「ゴジラ」を思わせる場面もあり、かなり既成のパーツで組まれている印象がある。

  古典作品「キングコング」でよく語られる シーンを含んで入るが、ビルに登ったりはしい。それでも当時の複葉機がヘリコプターになりベトナム戦争の余韻を残すあたりの設定は面白いのだが、全般的に怪獣映画的な作風なので映画に感情移入することは皆無。


  残念だが、リメイク作品としてJohn GuillerminPeter Jackson映画と肩を並べるほどではない。

2017年6月18日日曜日

Movie: King Arthur: Legend of the Sword (2017)


まさかと思ったが、David Beckhamが出ている。違和感なかった。
 Guy Ritchieの作品は、テンポがいいというよりも目が回る感じの展開であるし、場面があっちこっちに飛ぶので多少疲れを以て観ることになる。
それでも史実とファンタジーの結合ものとしては良い感じに出来上がった。冒頭はよくわからないし掴みどころがない感じが暫く続くが、一応、説明にあたる場面が
中盤に設定されているので、ここからは気持ちが晴れて観れるので、冒頭の混乱を回復させてくれるといった効果も、この映画の目論見なのだろうか。
 近年、史劇の効果音として使われる残響の響く太鼓の音が満腹感を誘う時代が来ている。そろそろ映画の音楽、効果音、および場面設定は根本から変えるアイディアが必要だろう。

2017年5月21日日曜日

Movie:Arrival (2016)


肝心の目的物は開始から暫く姿を現さない。
 その物体が現れるなり、「マグリット?」と思った人は多いはずだ。
 今日本では、「正解するカド」というアニメがオンエアされている。そして、北朝鮮問題では緊張の度合いを高めている。この映画が、いかにもそういう空気感を予想していたかのように
タイミング良く類似した内容を提供しているのは、ある意味驚きだった。
 結局として「未知との遭遇」とのストーリーラインと比べることになるのは必然。
 音楽というか効果音がまた煩いほどに仕事をしているが、観ている側にはちょっと厄介だ。
 リアル表現の裏側では抽象表現がある。家族関係や12か所に出現した物体の解決結果などに絡む時間軸は見終わってもややすっきりしなかった。
 日本公開タイトル「メッセージ」

2017年4月30日日曜日

Movie: The Fate of the Furious (2017)


Fast & Furious 8
 カーアクション映画を劇場で見るのは久しぶりのような気がする。基本的には選択肢にないタイプの映画だったのだが、家族と一緒になると大概はこういう映画が選ばれる。
 さて、有名スターが登場するし、クラッシュシーンなどは、近年の技術の賜物だと思えるほど迫力がある。ただそれを求めてるのか否かにもよるのだが、人物像と人間関係が今ひとつ理解できなかったために満足の領域には至らなかった。過去のシリーズを見ていなかったからかもしれないが...。いや、そういう見方をしてはいけないのかもしれない。
 この年齢になって映画の楽しみ方に迷いを起こしたのであった。

2017年4月9日日曜日

Movie: Ghost in the Shell (2017)


 米国の映画サイトでは賛否が分かれているようだが、今回の映画をアニメの実写版として観るならば、違和感も湧いて来るだろう。一応はかつての劇場版アニメの音楽を含めた世界観は感じ取れると思ったし、むしろ前情報や知識を無しに観たほうが面白く観れるとも思った。
 中国化となった未来の(香港風な)日本は、どちらかといえば「Blade Runner」を思い出させるのだが、未来感と古風な文化が共存している部分などは、日本人が好むこれまでのアニメを意識しているようだった。

 北野たけしの存在がやや不安定に思えた。彼だけ日本語なのも含めて、アニメとの差をつけるならば、もう少しオーラのある存在を描いて欲しかったと思う。

2017年3月12日日曜日

Movie: Nise - The Heart of Madness (2015)


 ブラジル映画を見た記憶がなかったので、大変興味をもって見た。
 時代は日本では太平洋戦争の頃。戦争への関わり有無を脳裏に残しながら物語を追うことになる。
 精神病棟の描きかたについては、違和感はあるが、映画全体の背景が大人しめなため、関心度を高めるためには必要なのだろう。
 映画では絵の表現、ユング、動物たちが重要な要素となっているので、多角的な観点から見ることができた。

 もっとも興味をもったのは、パレットからキャンバスへ絵の具を移すという言い回し。これはかつて思っても見なかった。

2017年2月25日土曜日

Movie: La La Land (2016)


 このタイミングで観ると何か意図的なものを感じてしまう。トランプ政権となり文化人たちも声を上げ始めた。これまでも映画関係者が政治色のある発言をしてきたが、安定した政権では恐怖的な映画が持ち上げられるのに対して、不安のある政権ではミュージカルが受けるという雰囲気もあった。この映画は冒頭から時代が不透明に思えてしまう。1960年と現代がミックスしたようなつくりになっているので、この数十年のどこにでも当てはまる映画ともいえる(iPhoneやプリウスはやや別次元だが)。
 率直にこの映画の何がよいのか?実はよくわからない。ストーリーもベタな感じがするし、人物像もどこかでみたような感じ。音楽、ダンスシーケンス、ジャズ、いろいろな要素を掛け合わしていても素直に映画自体のよさがよくわからなかった。やはりこの時代だからこそ心が動く映画なのかもしれない。いわゆる1960年から1970年のよい感じを今にもたらしたという点では内容に入り込めた。
 

2017年2月11日土曜日

Movie: In This Corner of the World (2016)


映画館には小学生も沢山みえていた。映画を見終わった後、果たしてわかるのだろうか?と疑問が出てきた。広島弁であり、戦時中の生活、当時の仕来り等を踏まえれば、理解するためのハードルは幾つもありそうだ。
 世代ギャップの壁はあっても、2時間の映画を細かいエピソードをつなげる感じで、物語が淡々と展開されていくので邪念なく観れたのはよかったと思う。
 Nonという声優(かつてのあまちゃん)がとてもしっくりしていて逆に驚く。アニメのキャラクターのかわいい仕草にも違和感がない。周りがプロの声優なのだが、ここは嬉しい化学反応だった。
 アニメは決して細部まで緻密に描かれているわけではないが、なぜかリアリティという言葉を使うなら、このくらいが一番なのではと錯覚したくらいだ。実写では絶対の描けない大和のある港の雰囲気は、この手法だからできたのだと確信した。

Original title: Kono sekai no katasumi ni



2017年1月21日土曜日

Movie: Silence (2016)


 “Killing Fields”とか”Schindler's List”のような不気味さと残虐性を含んだ作品というイメージで観たが、今回のこの映画の中で、人情味と圧力との間にいる人物には、なんらかの選択肢があり、結局は自分への問いかけの中で答えを出さざるを得ない境遇に陥り、生死や信仰不信仰を超えた特殊な世界観を自然と浮き上がらせているようだった。それに加えて、テーマにもなっている沈黙は、JesusRodriguesFerreiraの描き方にも当てはまって来るし、また五島へ船で案内される村人の気味の悪い沈黙した表情などにも意味づけがされているようだった。音楽を究極的に抑えた演出や、日本映画的な尺の長い会話にウエイトを置いている点など、Martin Scorsese風の映画として見るにはやや違いがありすぎるのかもしれない。しかしその一方では、日本人としてはかなり違和感なく観れたと思う。
 この映画の歴史的な側面は海外でどのように解釈されるのか興味あるのだが、英語を話す17世紀の日本人が、この映画のように多く存在していたとするならば、宗教的側面以上のインパクトを感じざるを得ない。