◇
このタイミングで観ると何か意図的なものを感じてしまう。トランプ政権となり文化人たちも声を上げ始めた。これまでも映画関係者が政治色のある発言をしてきたが、安定した政権では恐怖的な映画が持ち上げられるのに対して、不安のある政権ではミュージカルが受けるという雰囲気もあった。この映画は冒頭から時代が不透明に思えてしまう。1960年と現代がミックスしたようなつくりになっているので、この数十年のどこにでも当てはまる映画ともいえる(iPhoneやプリウスはやや別次元だが)。
率直にこの映画の何がよいのか?実はよくわからない。ストーリーもベタな感じがするし、人物像もどこかでみたような感じ。音楽、ダンスシーケンス、ジャズ、いろいろな要素を掛け合わしていても素直に映画自体のよさがよくわからなかった。やはりこの時代だからこそ心が動く映画なのかもしれない。いわゆる1960年から1970年のよい感じを今にもたらしたという点では内容に入り込めた。