2014年5月14日水曜日

Movie: Prisoners (2013)


ラジオ番組で推薦していたので観にいったこの映画。確かに邪念なく入り込めるサスペンススリラーである。ただ「Seven」のような映画よろしく、安易なことを書けない映画でもある。それでもこれだけは書いておきたい。タイトルの意味するものが最初はよくわからなかったが、最後になってかなり自分的解釈に当てはめてしまった。別に意味を取り違えたというレベルの話ではなく、タイトル文字の裏の裏的表現についてである。

 役者が面白い。ノーマルな姿から非常事態にそれぞれの個性を出していくところが見ものである。特に「Fast Food nation」あたりから不気味キャラにはハマリ役のPaul Danoとか、「Crash」で自分自身を抑制する人物を演じたTerrence Howardは、この映画でも似たような役どころ。加えて彼は「Crash」のPaul Haggisカラーの作品にはよく似合う俳優でもあったりする。

 間違いなく中盤まではサスペンスものとしては十分雰囲気に入れる。あのHugh JackmanのKellerの存在がそれを牽引していることもある。ただ正直に言えば、中盤以降にはちょっと突飛な部分が足を引っ張っている感もある。Jake Gyllenhaal演じるLokiはとても良い役どころなのだが、サスペンスよりもアクションを助長している感じもしたし、他にもKellerの行動も人世代前のオカルト感覚を連れてくるようにも感じた。それでもスクリーンへ惹きつける映画の魅力は感じられたこともあり、なかなか満足できた。

 冒頭の鹿シーンには動物という対象ではなく、今存在するあらゆる政治的や文化的な偏見をも垣間見ることができる。誰の視点にも立つことができない状況設定の面白さえ窺わせた。