2012年12月23日日曜日

BD/DVD: Led Zeppelin: Celebration Day (2012)


  一時は魔術のためにか、はたまた金のためにかギターの腕が落ちたと噂されたJimmy Page。70年代のライブと、その後のライブエイドやザ・ファームあたりとで確認すると、確かにあの頃はそう思えていた。級友Jeff Beckよりも音楽ビジネスでは優等生だった筈のPageも、彼のカリスマ性はどういうわけだか20年以上前で途絶えてしまっている気がしてならない。
 今回のライブはそういう意味も踏まえ、懐かしさよりも不安のほうが先走っていた。Led Zeppelinは今でも、真似のできないバンドの一つである。よく「完コピ」バンドと言われる輩も彼らのソウルの一握りもコピーできないであろうと確信している。そう考えると、先に書いた「腕が落ちた」という文言は自ずと否定される結果に。つまりまとめると、真似のできない...しかもテクニックでは語れないフュージョンバンドこそがLed Zeppelin!!。今回の映像を見て、かつての「The Song Remains the Same」と比較しつつもやっぱりそう思えた。

 このライブのポイントをいくつか書いておこう。

  1. Robert PlantのMCがRobert Johnsonなどを引用しつつ結構渋い。
  2. John Paul Jonesはスタビライザーのような位置づけ。彼の楽器類にも注目。
  3. Jimmy Pageが一番「おっちゃん」ぽいが、アクションはやっぱりPageだ。
  4. Bonhamの息子Jasonのドラムもいいが、バックボーカルにも注目。
  5. スクリーンに映し出す映像あたりの近代技術によって古典性を薄れさせているのが残念。
  6. セットリストは有名曲中心のいかにもファン向け。そんな中「Trampled…」あたりが嬉しい選曲。
  7. ボーナスDVDはリハシーンなど。これもある意味驚きの構成。

 昔のインタビューで彼らは自らのカテゴリーを「ハード・フォーク」と語っていた。ところが現代では周囲が変貌しすぎたために「フォーク」という位置づけが微妙になっている。彼らはThe Beatlesあたりとは違い、タイムスリップしなければ、満足して聴けない数少ないロックバンドなのだ。

2012年12月17日月曜日

Movie: Skyfall (2012)



   50周年とか。ボンドシリーズは、今では「サザエさん」や「美味しんぼ」よろしく、真っ先に時間軸を超越して変わるものと変わらないものの乖離をエンタメに取り込む不思議観を臭わせる。
   当初は知的スパイものという印象が濃かったが、世界巡りがボンドシリーズのお約束的に扱われるようになったことから、見方も変化して行ったものである。それはNHKが「Columbo」から「McCloud」へ移行したときの感覚に近い。
  近年のアトラクション展開は「Mission:Impossible」あたりに引き継がれているようだが、ただ、もう、斬新とは言えないロケ地巡りのようなアクション連鎖は食傷ぎみ。確かに飽きないで観れる反面、凄さよりも水戸黄門のお決まり印籠パターンを期待して見ている気にもなり、あまり頭を使わないで見ている自分を残念がる結果に。

  今回は、さらにスーパーマン化しているボンド。Connery時代の危機一髪観はない。その上、世代交代の波がきたのか、Judi DenchのMや、過去のボンドの家との別れもある。ノスタルジックにならず、ストレートに楽しむならばOKな作品だ。

  懐かしいアストンマーチンの場面では多くがGold Finger にかぶせたことだろう。それと、エンドクレジットで喜界島が漢字表示されたのは驚き。上海だって英語表記なのに。


2012年12月11日火曜日

Movie: Salmon Fishing in the Yemen (2011)


 Lasse Hallströmは「Hachi」の監督さんだけに国を飛び越えた人類に共通する感覚を提供してくれている。この映画は英国的な殻を被った映画のようで、多国籍な匂いのあるギャップが面白いし、なんだか日本人の感性と通じるものが多々あった。

 ただ人間ドラマと考えるにはあまりに恋愛関係などが大味で、サバサバし過ぎている感は否めないのだが、合間合間になかなか良いセリフがあれば、必要悪よろしく気持ちを合わせてしまったりするのである。

 全般的には「悪いことでも良いことで書き替えて行こう」という姿勢の物語。それなのにRobertの立場で考えると、彼のチョッとしたセリフで悪い立ち位置のままにされている部分はどうなのか?とも思うし、Dr.Jonesの奥さんはどこがどうなの?とも思う。そういっことをふまえると偏ったサクセスストーリーとしてのイメージを残した。

 ところで鯉を「Koi-carp」って言ってたね。