2015年10月12日月曜日

Movie: The Intern (2015)


     今年観た映画の中で、一番楽しめたし、自分との境遇に通じるものが幾つもあった。Robert De Niroがすべてにおいて優しく、丸い人間に感じられたのは、かつての
「The God Father Part2」 や「Taxi Driver」から知っている人間にとっては不思議に他ならないのだが、そこも嬉しい部分ではある。
     面白いことに、ここのオフィスは、個々に仕切りのあるタイプではなく、日本にもよくあるアイランドタイプの机。やはり複数の人物を絡ませるドラマにはこっちの方が分かりやすい。最も見やすくしている部分として、執拗にぴりぴりさせる人物が登場しないこと。ここは褒めたいところだ。後半、やや過剰な展開もあったが、それはご愛嬌だろう。
     日本語のサヨナラが普通に溶け込んでいたが、何十年前では考えられなかった。あと何年か経てば日本語という拘りからも解放されているかもしれない。

Movie: Fathers and Daughters (2015)


 邦題では「パパが遺した物語」となるこの映画。小説家の父の遺作の存在が娘に如何に影響するか...のように思わせるタイトル。だが、原題から推測するに20年以上を超えて、昔と今の父娘各々の異なる面や共通の面に焦点を当てつつ、それでも変わらないものを感じ取る映画に思えた。確かに邦題のように小説が父と娘を繋げる役割になっているのだろうが、映画の特徴としては、恋人との間の葛藤を経てパパから自立する娘的な色が強い感じがする。
   「アメリカは全てカネ」Jakeのこういった表現は、本作の背景となるコアの部分が認識できる。色んな意味で生活レベルにおける差別感が、登場人物達の方向性を歪ませた空気を作り出し、命にかかわりそうな気持ち悪さまで感じられた。
 全体をとおして携帯電話やパソコンがほとんど出てこない映画も珍しいし、80年代のニューヨークの雰囲気もよかった。


2015年10月6日火曜日

Movie: Adieu l'ami (1968)


   劇場で古い映画を「今」鑑賞することについて、最近、色々な価値を見出している。一つ目は「時代の違いと考え方の違い」で、二つ目は「何がこの映画の魅力だったのか」。三つ目は「昔へのタイムスリップ」である。
   「Farewell Friend(邦題:さらば友よ)」は、実は初見である。かつてロードショウ誌の人気投票で常に上位にいたアラン・ドロン(Alain Delon)とチャールズ・ブロンソン(Charles Bronson)の映画であることはもちろん知っていたが、残念なことにテレビでさえも見る機会がなかった。今回この映画を見るに当たり、名作という肩書きよりも、二大スター共演映画という肩書きだけを信じきって臨むのが正しいと思った。実際、自分のような立ち位置である限り、そういう見方になってしまうに違いない。
    先に提示した「時代の違いと考え方の違い」において、特に白か黒か的なコントラストが強く押し出され、物語の設定の不鮮明さを凌駕するほどの映し方は面白い。今の映画作りとは明らかに違う。更には演劇的な手法で目立たせるテクニックは、この時代背景だからこそ生きるのであろう。次の「何がこの映画の魅力だったのか」を問われれば、やっぱり二大スターの魅力を押し出す映画だった…という一言だった。
    自分にとって、一番感傷的だったのは「昔へのタイムスリップ」感。かつて、明大前や池袋、新宿のミニシアターで鑑賞し終えたときと同じ雰囲気が自然と再現されたのであった。

   これを見た後、「シンジケート(The Stone Killer)」や「スコルピオ(Scorpio)」をまた見たくなった。