予想に反して、泣ける映画の構成ではなかった。スタッフも、「あの花」の泣ける流れに頼らず、むしろ一転させたような群像ものにしたと察する。
「あの花」では、オープニングの「青い栞」のもつ日常感がしっかりと土台になりながら、物語の非日常の違和感で巧く色づけし、その相互の反応で心の琴線に触れる。。。そんな感覚が素晴らしかった。加えて、クライマックスで流れるエンディング「secret base」の持つ力。やや見方を変えれば舞台劇的な演出だったが、今回の映画では、その舞台劇をミュージカルというベクトルにしたものになっている。
暫く観ていると、ストーリー中に日常的な土台が見当たらないからか、距離を置いた目線で見てしまった。もちろん、一つ一つは現実としてありそうな場面だし、秩父の風景がその効果を盛り上げてくれるのだが、高校生が聴く昭和歌謡が明示しているように、なぜか馴染めない異種的な印象は拭えなかった。
エンディングもGalileo Galileiあたりでやって欲しかったのだが、ちょっと自分の期待とは外れたカタチとなっていたようだ。