2015年9月8日火曜日

Movie: East of Eden (1955)


   これだけ、新作に見たい映画がないと、昔の名作で気持ちを一新するのも有りだなと思い、さいたま新都心に出かけた。

    以前見たことがあるといっても、結局は吹き替えで大幅にカットされ、しかもコマーシャル付きのバージョンを見た、小学生頃の思い出レベルである。家庭のテレビで映画を見るときいつも思うのは、あまり気持ちを入れることができないという点。他の人はどうか分からないが、馴染んだ空気に安心してしまい、浅い記憶しか刻めないのも理由だろう。今回、劇場で見ることで、これまでの「(一応)見た」という思い出を消去したかったことも感想理由にはある。

   創世記をモチーフにしたのは有名な話だが、冒頭から「有り得ない」主人公の行動に名作感が薄れる思いだった。ところがこれが後に生きてくる展開になろうとは…意外であり当然でもあり。この映画は、エピソードの一つ一つに名シーンが隠れているのではない。現代では失われた様な、人物像の描き方こそが惹きつけられる一番のポイントだろう。

   創世記では殺める内容のところを、この映画では戦争に行くという意味に置き換え、悲劇的な点を描いているのだが、今見ると、悲劇という意味では(戦争の一番嫌な部分である)国と国との差別、憎しみの下りの強調があり、テレビでよく見る偏向的な正当性を押し付ける風潮、特に最近の国連事務総長の非公正的な行動や反戦?デモなどとラップして映ったりもした。つまり、国とか人種を肯定していながら、戦争を否定することは、究極の矛盾の表れであり、それらしいデモも安っぽく映る。この作品は、人のあり方として、カインの目、アベルの目の両目から見た本当の世界観を問う物として、今の時代に十分価値をなす物と思えた。