2015年5月20日水曜日

Movie: Run All Night (2015)


 最近のLiam Neeson主演の映画が大体似たり寄ったりだとの予想は付くのだが、其れでも観てしまうのは、かつてMcQueenやBronsonが演じたスタイルに飢えてしまっているからだろう。こういう映画は最近ではレアな部類である。ただ、希望を言うならば、とことん古典風な作りが観たかった。例えば、近年良くある、ドローンから撮ったような画や、「The Matrix」のようなスロー効果は、何かが違う感じに受けた。

 ドラマとしては、アメリカに蔓延る社会問題を上手く料理している感じ。ただ、Godfather的な仲間内抗争場面では、昔と最近の人間の受け取り方が違って見え、あの頃に体験したような心から込み上げる迫力には至って居ない。

 多分、此の手の映画を鑑賞した後は、絶望感か爽快感を引きずるものだが、これは特に其れがなかったのが残念ポイント。悪くは無いのだが。

2015年5月9日土曜日

Movie: Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance) (2014)


 暫く山陰にいたことで危うくこの映画を見逃すところだったが、ようやく埼玉のレイトショーで見ることができた。しかしなぜ、山陰ではこの面白い映画を上映しないのか?。その答えは、地域柄として個人が面白い映画を探求する姿勢がなく、飼い犬のように与えられた楽しみに満足している特有の生活スタイルが染み付いているからであろう。端的にいえば、事前に知っている映画こそが「面白い」論法にもなる。実はこの歪んだ娯楽の構造は、本作品の演出と共通するものが感じられる。中身から膨らませるのか、外面だけに力を入れるのか、序盤のテーブルを囲った会話などを含め、似つかわしいものがあった。

 カメラがヌルヌルと舐めるように演者を追う。かつて「E.T.」などでアングルとクローズアップでどこまで見せれるかという議論をした時代の...。あの感覚。それに加えての音の効果。ドラムの現実感、弦の非現実感。突然カットされる不安感など、所謂こういった映画として入り込める不思議な楽しさは、ここ数年味わっていないものだった。例えばドラムの効果的な使われ方は、「ツイン・ピークス」を連想させる不思議な高揚感があり、恐怖感である。

 余談。レイトショーだというのに、本編前の予告編の数が尋常でない。やめてほしい。レイトショーは予告編不要。