2020年1月11日土曜日

Movie: Ford v Ferrari (2019)


 ここ最近では非常に面白いストーリーラインと、演出を持った作品と言える。Steve McQueenの映画との時代比較をしても面白い。
 印象的な場面としては、フォード社長がいきなりラインを停止させるところとか、副社長の召使い的な行動は、今の世界でも近いものがあるし、現場とトップとを繋ぐ中間管理的な役割となるShelbyには共感する部分が多かった。アメリカンらしくレンチを投げたり、いきなり殴りかかったり、ハンマーでドアを塞いだりと大げさな立ち回りは多いのだが、いずれも痼りを残さない展開は良かったと思う。

 それにしても、当時のレギュレーションではスタート位置からゴールまでの距離が順位を決めるということに驚いた。F1ではスタートラインがあるのでグリッド位置との関係はないはずだが、スポーツレースもいろいろと問題をかかえながら運営していた感じも伝わってきたので、エンタメだけでなく人物や組織に着目して見るのも面白いだろう。

2020年1月5日日曜日

In This Corner (and Other Corners) of the World [Special Advance Screening Version] (2019)


 近年、日本のアニメ作品も海外の方に目にしていただける機会が多くある。異世界アニメのようなカテゴリならば過剰な説明は不要なのだろうが、今回のこの手の映画においては、日本人でも難しい「感覚」があり、ある程度個人解釈で落ち着かせてしまうかもしれないが、ただ誤解はして欲しくない。自分は幼少期に長ノ木に住んでいたので、海を臨む急な坂を歩いてみて分かる生活感はこの映画の重要な要素のように感じるし、人と人の距離感、共存する為の日本人に備わったモラルの世界観も重厚な下地になっているのである。こういったベースがあるからこそ、2016年版よりも1時間長くなった本作もすんなり見れてしまうのだろう。
 何時も思うのだが、庶民生活と戦争とが背中合わせでありながら、ある程度間合いのある描き方がとても好きである。

この世界の(さらにいくつもの)片隅に