2016年4月27日水曜日

Movie: Sound! Euphonium (2016)


 これはTVシリーズの編集によるダイジェスト版である。いわば、TVシリーズの流れがこの映画により短時間にわかるというもの。ではTVを見た人は劇場版を楽しめないのか?について、人それぞれかもしれない。自分にしてみれば、劇場の音で楽しめるところは良かったのかもしれない。特にエンドロールは椅子から離れたく無い感じにもなる。
 「劇場版」手法としてのダイジェストは理解できるものの、(製作コストなどの帳尻も含め)可能であれば(裏話的な)未公開エピソードを交えて欲しかった。今回の作品は、初めて見る人にとってはエピソードのいくつかのゴタゴタしていた部分が解決しないままの展開に不満が残るだろうなと心配もする。


 近年、アニメにおいて高校の部活ものの幅が広がっているようだ。以前の定番、バスケやサッカーや野球にとどまらず、自転車とか麻雀などまである。そんな中で吹奏楽は知識によるクォリティーとは違う音楽製作サイドがかなり苦労しそうなものであり、クォリティーでは「無理」な部分が多くありそうに思っていたが、ついに昨年、TVシリーズで登場してきた。やはり間口の狭い感じは否めない。それでもサウンドクォリティーがが要求されるアニメ(例えば、「坂道のアポロン」とか「四月は君の嘘」)は日本だからできる作品だと信じているし、今後、日本のアニメの質を高める要素だとも思っている。だから秋からはじまるセカンドシーズンはそのあたりの視点から期待して止まない。


2016年4月22日金曜日

Movie: The Revenant (2015)


 「Star Wars: The Force Awakens」が予算245Mドルで世界興行収入が約2000Mドルに対して、「The Revenant」は予算135Mドルで、世界興行収入が約500Mドルだそうだが、面白いのは、(米国以外では)前者が英国でトップ成績だったのの対し、後者は中国でトップだったようだ。なんとなく興味の違いがわかる気がした。

 映画のラストでは結果としてどうなったのか疑問を抱いたが、実在の人物は1833年没らしいので、なんとなくその後の展開がイメージできるようだった。
 DiCaprioについては、これまでの作品からRobert Redford的な役者になりそうな感じだったのだが、この作品ではClint Eastwoodっぽくもあり、汚れ役、復習などの言葉が似合う人物になってきた。要はそういう目でみていい映画である。絵画のような美しい背景の中でボロボロに描かれたDiCaprioの演技こそ持ち味であり、セリフの少なさとか、単調に思える展開とかもさほど気にならない。

 1823年の設定だそうだ。というか、死にかけた話も実話らしい、調べてみると実在のHugh Glassがクマに襲われた年である。1971年にRichard Harris主演で「Man in the Wilderness」という映画もあるようだから、是非観てみたい。
 それから、エンドロールでぞくぞくと登場するスタント。スタントの苦労もよくわかる映画である。加えてクマのVFXにも驚いた。ILMのSFと違ったこの感じは今後も生かして欲しい。



 すでにブルーレイ等では4月19日に発売済み。


2016年4月20日水曜日

BD/DVD: Whiplash(2014)


「ヘッドフォンでも観て欲しい映画である」「手に汗握る映画である」「なんだこいつ!と独り言が出てくる映画である」。

 かつての映画を思い出してみたりする。
 「クロスロード」「オール・ザット・ジャズ」いやむしろ「ロッキー」みたいな感じなのかもしれない。
 
 なるほど、ほぼ全部のシーンにAndrewが登場するようだ。主役が決まっていたとしても、ここまで多くのカットに登場する映画も珍しい。その中において理解できない場面と理解できる場面とが交錯していく。主役の性格は普通ではない。利己主義なのか、一途なのか、単純に優越感を求めているだけなのか。それに呼応してか浮き沈みの極端なこの映画は、自然と見る側を真剣モードにさせる。

 日本語で「音楽」と書くが、ここでは「音苦」の世界。まるで噛み合わない歯車。何か突然の化学反応で生まれてくるものを期待しているかのような世界観。チャーリー・パーカーも然り。チェット・ベイカー、セロニアス・モンク、ジミ・ヘンドリックス、グレン・グールドなどの人物像にFletcherの理想を感じた。確かに近年の音楽ビジネスにはかつての天才を見出せない。無理矢理音楽と関係ないものとタイアップして価値にしたようなものがメディアに載る。だからなのか、例え威圧的だとしてもFletcherに共感する部分が多い。後半のAndrewの囚われたようなバックグランドを持つ性格から解放する流れは面白かった。

 正直、最後のソロは、観客にしてもれば「聞きたいもの」では無いだろう。終わり方としてこれで良かったのか?と疑問を持った。悦に入る演者と観客との間に生まれた壁、そこでエンドロールになる。逆にこの不思議感が良いのかもしれないが。