今も尚、旧約聖書の有名な物語を真剣に史実というアプローチで探究する諸氏がいることに驚かされるが、人間への啓示となる痕跡が時代時代の何処かに残されていることの根拠が、歴史そのものの定義と意義への回顧を理の中で変換されながら今の人間が存在するならば、案外に嘘とは言い切れないのかもしれない。
この映画は、聖書モチーフの映画の中では現代の空想色が強いためか、共感できない類の感情が阻害要因になっているのだが、人間の黒さについては「Black Swan」「The Fountaim」の監督作品だけあって裏表的な演出は評価できる。神の下にいる人間。そこには善悪という概念は無くなる印象を持たせているものの、神が人間を悪と見る観点に立とうとするならば、何処かで矛盾にぶち当たるのであるが、この悩みは、やっぱり空想世界という言葉で流すことが一番妥当なのだろう。