この手のコメディものの最近の特徴としては、観客の心に響くディテールをどのように持ち上げていくかの部分にありそうだ。本作品は主人公のモノローグや興味視野の拡散などが多用されているが、いずれも観客の目線の高さに照準をあわせている感じである。ポスターからは、一人の主人公が複数の女性から突然大モテになるハーレムストーリーを想像させられたのだが、実際はそうではなく極々普通の男の人生の一場面として考えた方が宜しくて、しかし、その一方で主人公には近年に感じる社会の荒んだ空気に抵抗する姿勢と自己主張の極端な表現で「危なさ」を感じる位置にあったりすることから、一途という言葉は安易に使えず、なんとなく共感を持つことができない。
映画の中では15年以上前の音楽世界が展開されていたりするので、その頃あるいはそれ以前の雰囲気が楽しかったりする。ただ、Miyukiの彼があまりにもノーマルモードであることから人物像の差異があまりにも大きくなり、このドラマの終盤は嘘臭さが鼻につく。
結局はセックス云々で話が進んでいくのが、今の現代からみてどうかと思う。まぁ、最近の漫画の路線からしてもエロスやセックスを全面に持ち上げなければビジネスにならない実態はあるようだが。