2017年1月21日土曜日

Movie: Silence (2016)


 “Killing Fields”とか”Schindler's List”のような不気味さと残虐性を含んだ作品というイメージで観たが、今回のこの映画の中で、人情味と圧力との間にいる人物には、なんらかの選択肢があり、結局は自分への問いかけの中で答えを出さざるを得ない境遇に陥り、生死や信仰不信仰を超えた特殊な世界観を自然と浮き上がらせているようだった。それに加えて、テーマにもなっている沈黙は、JesusRodriguesFerreiraの描き方にも当てはまって来るし、また五島へ船で案内される村人の気味の悪い沈黙した表情などにも意味づけがされているようだった。音楽を究極的に抑えた演出や、日本映画的な尺の長い会話にウエイトを置いている点など、Martin Scorsese風の映画として見るにはやや違いがありすぎるのかもしれない。しかしその一方では、日本人としてはかなり違和感なく観れたと思う。
 この映画の歴史的な側面は海外でどのように解釈されるのか興味あるのだが、英語を話す17世紀の日本人が、この映画のように多く存在していたとするならば、宗教的側面以上のインパクトを感じざるを得ない。