2009年8月27日木曜日

Movie: Hachi (2009)


Oh my gosh, water came out of my eyes. If you show tears too, the earth is still in reliance on.

 冒頭、この映画に疑を持って見ている自分が居た。子供の語るヒーローについての場面もギクシャクした展開の中にあった。前途多難な感触が頭に植え付けられながらも暫くはスクリーンを大人しく見つめる。ところで、この映画、残念ながら日本語吹き替え版で観てしまった(実は付近のシネコンプレックスは日本語吹き替えだけである。だからいつもながらスタッフの伝えたい部分が伝わって来ない部分で欲求不満は残る)。キャストの声も実イメージとのギャップがある感じ。それはまるでダンジョンの中の敵の多さに躊躇している戦士の気分だった。Hachiが登場するまでは...。

 鑑賞していると、この映画、思った以上に丁寧に作られていた。まず、なによりも犬の演技にココロが奪われる。もちろんRichard Geretとのシンクロ度もよい感じに映る。脚本で良かった点をあげれば、Hachiが単純に待つだけの犬ではない描写として使われたボールを咥えて駅に行く場面。メリハリのある効果となって印象に残った場面だ。Hachiは余り吠えない犬だが、そういう中でその表現を巧く映像に捉えた監督の手法は実に評価できる。

 映画の後で僅かの涙も見せない人が多く居るならば、そんな今を生きる「俺達に明日は無い」。


2009年8月21日金曜日

Movie: Road Trip: Beer Pong (2009)


"In the buff....". I sing too.

 米コメディの奇怪さを象徴するようなVシネマ。日本においては少なくともシリアスな部分とのギャップ感のあるコメディが多いのだが、アメリカは比較的徹底的に馬鹿に徹する。だから今回のようなシモネタや強盗・テロネタで編まれているプロットには全く受け付けない人も多いと思う。

 大学のクラスメートがあるゲーム(スポーツ?)の国内大会に出るために行動を開始するも、その珍道中は余りにも極端。その内容の奇抜度からゲームへの勝利が目的以上に途中のアトラクションがメインとなっている。これを素に受け止めるなら「アメリカ感覚にはまだまだ理解不能な部分が多い」...のだ。
 
 ただ興味があったのが「Beer Pong」というビールカップにピンポン玉を入れるゲームを知る切欠となったのは一つの成果かもしれない。


2009年8月18日火曜日

Movie: La ragazza del lago (2007)


The Girl by the Lake....and others are?

 少なくともこれをイタリア映画の代表的一本としてを捉えると、とんでもない誤解を招く。日本人の目から理解するのはかつてのイタリア芸術映画の頃よりむしろ困難になっていると言ってもいいのでは。ところが不思議にも日本でのコメントは良好なものばかり。もしかしたら映画賞受賞歴に誤魔化されては居ないだろうか。

 この作品、一般的なサスペンス物と大きく違うのは、鍵となる場面が登場しないこと。しかもはっきり言えば関係ない場面から話が始まる。それ以降、微妙な接点だけで場面を縫い合わせてはいるが、核心に迫るどころか、迷路を沢山登場させ、「事件には多様な人間像、感情が入り乱れている」といわんばかりの展開に変貌している。よって犯人を断定することが映画の幕ではなく、一種異様な展開を弁明するかのような流れが主題と言えそうだ。しかもSanzio刑事とMarioの父の像がオーバーラップするなどの人物像詮索への関心を生み出す点も厄介だ。なぜならこれらが結論付ける構造形成には至らないからである。すべてが湖のほとりの如く霞んで見えてしまう。本当にこの話で多くの日本の観客は感動するのか?

 考えるに...近年の無機質な世界観を呼ぶ映画の中で、ベクトルは違えどもある種の心に響く作品となっているのかもしれない。


2009年8月16日日曜日

Movie: Evangerion shin-gekijoban: Ha (2009)


Do you accept a new plot that is not extended previous work?

 TV放映から既に15年近く経っているにもかかわらず、根強い人気の作品。安易に子供向けとは言えない難解な物語が底辺にあることと、海外からアンチが出るほどの踏ん切りのつかないキャラ像が逆に魅力にもなっている程。

 前作「序」では、テレビ放映の路線を遵守していたが、自分自身保守派でありながら「なぜ劇場版にする必要があるのか」という疑問も沸いた。しかし今回は路線が違う。テレビ版を信望する人には受け付けない部分もあるだろう。冒頭から「誰?」と思う人物が登場するが、これはこれで惹きつけるものがあり、前作とは異なる最新アニメーションの世界を展開してくれる。一方で違和感も訪れる。テレビ版の映像を使った部分などで映像感覚のギャップが起こるのがその典型。新しい脚本については異論すべき点だとは思えないが、こういう流れになるのであれば、個人的にはテレビ版とは完全に隔離した形のほうが良かったのではないのか...と思う。アスカの姓が式波になっていることを受けてもテレビ版との接点はあまり意味がないような気がした。もうひとつの違和感は、挿入曲。なぜこの曲?と思える部分はある。流石に今年「けいおん!」で話題になった「翼をください」を使ってしまうと、イマジネーションが崩れてしまう。これ、あくまで個人の観点からだが...。

 緑の公衆電話、ETC、クーガーのラジオとか携帯電話が混在する不思議な時代感覚は一種の面白さ。それにサラウンド効果抜群だったので前述の点はあまり尾を引かず、思った以上に満足感があった。



2009年8月14日金曜日

Movie: Night at the Museum: Battle of the Smithsonian (2009)


Taste is in ridiculousness and truth consciousness.

 先般の「G.I. Joe」とは異なり、馬鹿馬鹿しくても人間味のあるコメディになっていることは嬉しい部分だ。

 予告編で「Percy Jackson & the Olympians: The Lightning Thief」が流れたが、その監督Chris Columbusが製作にもあたったこの作品、お約束のドタバタが登場するものの、なぜか品格は持ち合わせている。そう、この映画、Chris ColumbusとかOwen Wilson、Robin Williamsの名前を語らずともテーマ性の価値観はあるようだ。

 「the Smithsonian」での撮影自体が今回始めてとのこと。この有名な場所にあって(リンカーン像)を動かすアイディアも誰もが持ち合わせていたことだろうし、この映画ではそういった「こうなって欲しい」という願望に答えてくれる感覚がある。確かに馬鹿馬鹿しさを受け止めつつ飽きずに見られるし、最後には無難に終幕したが、どこかになにかを忘れて来たような気がした。

 ところで、最近のハリウッドコメディ。かつての売りであった「潔さ」に拘らず、日本人好みの感情的で後を引く笑いを求めてきている感じだ。この経緯としてはアメリカなどの欧米諸国に日本の漫画に代表されるアクション+感情劇が広がり多くのファンを勝ち取ったことに起因するものではないだろうか。ちょっと研究に値するかも。



2009年8月12日水曜日

Movie: G.I. Joe: The Rise of Cobra (2009)


What's this? ...movie?

 以前は持っていた筈だ。男の子版のリカちゃん人形。GIジョー。21ヶ所が動くという謳い文句は別としてもなぜだかこれが欲しかったものだ。「お人形」という女の子絶対有利の楽しみ方を男の子にも理解させてくれた玩具だった。

 あれから何年経っただろうか、知らないうちにこれがアニメーションになっていた。地上最強のエキスパートチームという名の下、内容もかなりSFアクション。かつての「Transformer」のアニメーションもこんな感じだったか。今回実写版は「Transformer」同様に男の子の玩具を強力なヒーローに仕立て上げたCGテクニック依存型。

 ジェットコースタームービーとはよく言った。一緒に見た妻が「感情無用と割切ったほうがいい」といったとおり、心に響くものは皆無。瞬間瞬間を体感するだけのもの。よって作品という言葉が映画芸術の出来を表すシノニムならば、これは作品とは言いがたい。もっと広範囲の意味を包括するMovieにはあてはまるだろうが。映像効果にしてもいまさら驚くことは無い。ただ、最近の気象異常に悩まされた人達には夏の憂さ晴らしとなりえるだろう。