2016年3月29日火曜日

Music: Metal Resistance (2016)


Metal Resistance - Babymetal 

 今日届いたので真面目に聴いてみた。

1.Road of Resistance
 1年前にリリースされた曲だが、改めて新盤の先頭曲として聴いてみるとこのバンドたる特徴:音、構成、ボーカルの一体感が不自然ではないという意味でもこの曲がオープニングに相応しいことを認識させられた。

2.KARATE
    気合いの声が分離しているので、ボーカルとコーラスのトライアングル感が生まれてくる。もしもサラウンド盤が出れば面白いことになりそうだ。

3.あわだまフィーバー
 次のシングルなら、これがいいと思っている。コーラスは初期のビートルズを思い出す。

4.ヤバッ!
 インドア風な空気のある曲。歌詞にある「違う」「ヤバッ!」何が違うのか、何がヤバいのか気になってしまう。

5.Amore ―蒼星ー
 前作のAKATSUKI的な位置付けの曲。AKATSUKIが過去の哀愁を漂わせたとするならば、今回は、未来への志が感じられる。

6.META!メタ太郎
 スポーツの応援歌のような雰囲気で、どこか路線を逸脱した感はあるが、何度も聴くと味が出てくる曲でもある。

7.シンコペーション
 アルバムの象徴としても良いくらい、メロディックでスピーディな佳作。なるほど折り返しの先頭曲に相応しい。

8.GJ!
 META!メタ太郎と似て、これも何かスポーツ向きのような感じに加え、曲調から、さくら学院の曲にも近い感じ。

9.Sis. Anger
 これはかなりメタルぽさが際立った曲。男性の低い声も似合いそうだが、そこはBABYMETAL。普通とは違う。もしかしたら人気曲になる予感がする。

10.NO RAIN, NO RAINBOW
 この曲が入っていることで多くの人が安心したのではなかろうか。いわばこのアルバムのスタビライザーである。

11.Tales of The Destinies
 この曲でダンスができるのか心配してしまうのだが、こういう曲調が好きだった人間には、嬉しい1品である。

12.THE ONE
 前の曲と繋がってくるこの曲は、かつてのプログレ大作主義盤の時代を思い起こさせる。このアルバムではメドレー構成の良い終幕曲となっており、まるで宇宙空間に舞い上がっていくかのようであった。


 童謡、唱歌引用のような「あれ?」と思うところが無い部分、さらには全般的にマイナーチューンの曲が幅を利かせているところが前作との違いであり、これまでのようなカラフルやパーティな感じが抑えられ、今回は一連の歌詞からも方向性が感じられる。イエスを例にとるならば「こわれもの」から「危機」に変化した頃のような感じだろうか。


2016年3月11日金曜日

Movie: The Big Short (2015)


 この映画で思い出したのが「Thank You for Smoking」という映画。難しい内容ののようで理屈は簡単だということを面白く擬似的表現でスクリーンに映している感じがとても印象深い。だから話の中で重要なワードとなるCDOやCDSの位置付けが容易に飲み込める。

 また、進行がスタイリッシュであり、現実のとげとげしい点を削り取った感じは理解できた。ただ、潔さの塊のような感じが日本人のひとりとしては吸収しづらい面がある。例えば、日本でこういった映画を制作するなら、きっと暗く悩んだ世界観が全面に出てきると予想できる。そう言った点では「新鮮」なのかもしれない。

 エンドロールでは1927年のミシシッピ洪水による悲哀を歌ったブルース曲「When The Levee Breaks」がLed Zeppelinのおなじみのチューンで流れる。自然災害にしろ、人的災害にしろ、人間は幾度となく予想もしない不幸を経験してきているが、人間の教訓として心に留めておきたいはずが、必ずまた同じ運命を辿ることになる。そんなカオスな部分をZeppelinのハードなサウンドで訴えているような印象であり、意味深い終わり方だった。

 一番印象に残ったのは、Brad Pitt演じるBenのはしゃぐ2人を制する時のセリフ。確かに、笑っている人の裏側では多くの人が泣いている現実こそ、この映画から汲み取らなければならない点であることは間違いない。穏やかな波は平和だが、面白さがなくなると無理やりでも波を起こすだろう。そこに金儲けが絡めば、多くの人を飲み込むくらいの津波まで起こしかねない。そういう意味で人間の凄さと愚かさを磨り潰したような脚本になっていたことを評価したい。


 余談だが、日本食レストランNOBUへのこだわりが、いまいちよくわからなかった。それでもこのチェーンはラスベガスを始め世界の主要都市にあることに驚いた。


2016年3月4日金曜日

BD/DVD: Mad Max: Fury Road (2015)


 シリーズとしては30年ぶりの4作目にあたり、Max役も交代した作品だったが、タイミング悪く、しかも今更感があっただけに踏ん切りつかずに見送っていた本作。
 それにしてもなぜ、こんなに各地の映画賞を獲得したのか?コスチューム、メイキャップ、サウンドはわかるとしても作品賞の価値も十分あるとされる。そんな謎を解きたい興味からSONYENTERTAINMENTNETWORKを介して鑑賞した。

 これはR指定の映画であり、バイオレンス満載だが、「No Country for Old Men」のようなタイプではない。或いは「The Lord of the Rings」のようなファンタジーとは違う、世に蔓延る一つのアクション映画である。この「場違い感」のある映画が作品賞として持ち上げられる感じ。いったいなんだろう。

 映画は単純明快に草木もろくに生えていない砂と岩と申し訳程度の道をバックに、やるかやられるかの展開。アクションは見慣れたエフェクトのためか冷めた感じしかしない。
 確かに、映像、サウンドの効果は興奮を呼ぶが、それそのものがストーリーを優美に変えるものではない。


 考えてみたのだが、銃乱射の事件の多発、中東情勢に思うように手が出ない。そんな、うまくいかない現在のアメリカに対して、共和党の富豪大統領候補者が持て囃されたりする事と同様に、例えオーストラリア映画であっても、まるでアメリカがイスラム国を倒すような感覚で入り込んでしまっているのではなかろうか。今だからこそ、お堅い評論家であっても、メタルサウンド満載の映画に興味がいく、いわば転換期なのかもしれない。