2012年2月22日水曜日

Movie: Carnage (2011)


あの名作「12人の怒れる男」を連想できる台詞の妙を展開したRoman Polanski監督の作品。ロケーションは近くの公園の遠景とマンションの中しか出てこない。向き合う人物は2組の夫婦。きっかけは子供のけんか....。
 人物4人はそれぞれに特長がある。その人物の個性を、料理、地位、興味事などを巻き込みながら「違い」と「正当性」を訴えるが、ときおり引き潮のように訪れる敵と敵の間の仲間意識が、ドラマのメリハリをつけ、実に面白い展開になっており、こみ上げてくる笑いも通常のお笑いものとは質が違う。

 いろいろと登場する会話の中でのキーアイテム。要チェックである。まずは電話。4人の会話は序盤でAlanの仕事の携帯電話に遮られ黙り込むことに。しかし中盤となると子供の問題以上に電話への攻撃姿勢がでてくる。次にコブラーと酒。このデザートと酒はまったく違う役割を果たすので良く観察してほしい。更には画集とチューリップとバケツとドライヤーと...。実はこの映画、モノの立場で考えてみると非常に面白い。むしろそういう見方ができる稀な映画でもあると思う。


 Jodie Foster、Kate Winslet、Christoph Waltz、John C. Reillyに拍手。邦題「おとなのけんか」。




2012年2月13日月曜日

Movie: The Girl with the Dragon Tattoo (2011)


邦題「ドラゴン・タトゥーの女」。
David Fincherの作品。近作はややパーティ世界の影像が多かったようで、「Seven」を恋しがる人には今回の作品は的を得た作品では?。終わってビックリしたのは150分近くあった映画とのことで、観ているときには長さが感じられず、むしろ後半の急いだテンポの展開に「いったい何を急いでいるのか?」と問いたくるほどだった。
映画の面白さは、事件を通じて接近していくMikaelとLisbethの距離。この間には決して男と女の言葉が交わされていたわけではない、執着する仕事を通じてのことである。しかしやはり人間と人間の遣り取りの中にある「真実」と「嘘」。このキーワードは最後の最後まで忘れてはならないようだ。

Daniel Craig主演映画にしてImmigrarnt Songが織り成すオープニングは、いやでも007を思い出してしまうが、この映画ではナイフひとつ満足に扱えない男であることは、楽しいギャップであり、肝心の武器を持つ人間がターミネーターのような存在に近いためにある種、この二人のコントラストにロボットヒーローものさえ思い浮かべる映画になっていた。

Christopher Plummerが現役で活躍していることが嬉しい。


2012年2月1日水曜日

Movie: Always 3 chome no yuhi '64 (2012)


シリーズ3作目。もうすでにドラマを楽しむというより昔の香りを楽しむ映画に成ってしまった。決してすべて昔が良かったというわけではない。しかし高度成長の底辺を築いてきたまじめな日本人の姿がくっきりと映し出されるあの頃の雰囲気は良くも悪くも熱いものがあった。必然とぼやけた現代を嘆き、憂うように強いられる。

いろいろな場面で空気感が素晴らしく、特に当時世界一の高さとされた東京タワー。その聳え立つ姿を阻害する建物が無い絶妙なコントラストが見事なほどに。更には土に近い生活感も気分を高めていた。

東京オリンピックからもうすぐ50年経とうとしている日本。その考える強さや技術は既に他国に奪われ、半分裸の状態で行く先を模索している今、回帰する意味でもこのような映画からインスパイアされることは多いと思う。昔は行動より考えが先行していた。だから責任感も生まれた。今では残念ながら考える前に行動しなければ負けてしまう強迫観念があるかのよう...。

コーラの空き瓶は店に返却すれば10円もらえたっけ?コーラの蓋の裏をめくるとキャッシュが当たるとかのキャンペーンがあったと記憶している。