2013年6月24日月曜日

BD/DVD: Jack Reacher (2012)


 Tom Cruiseが製作する映画は自分には「安心」という言葉が先立つ。もちろん興行第一であることは間違いない筈なのだが、観る側を楽しませようという姿勢が一般的なアクション映画より更に感じられる。特に「The Others」「Vannilla Sky」の頃のAmenabarを広く知らしめさせたTomの功績を考えると、自然とそうなってしまうのかもしれない。
 映画の雰囲気は現代劇というよりも、むしろ70年代や80年代の作風に近い。冒頭から暫くはセリフがなく、それでもスコープの動きでその導入が推察できる描き方は、昔のMcQueenやEastwoodの映画の思い出を呼び戻してくれた。
 キャラクターも特徴ある人物が多方向から登場するし、流れも嫌いではない。が、しかしあまりにも無難すぎるた展開に収まったのが残念。後半からの流れは普通な感想で終わった。

 しかしTomのYankeesへの執着は異常なレベルなのかもしれない。

BD/DVD: Into Eternity: A Film for the Future (2010)


 核廃棄物を地下深く格納し、安全になるまで触らせないための施設オンカロを描いたドキュメンタリー。
 核問題を残す日本には是非一見するべき内容である。特に面白いのは10万年という長い年月の先を見越したアプローチを考えていくところ。確かにピラミッドなどを例にすればわかりやすい。しかし10万年となると、それ以上の障壁がありそうである。そうそう、パイオニア号の金属板を思い出してしまう。
 ただ、色々な視点で観ると疑問も沸き上がるだろう。
 ■こういった施設を拡張する場合、地震などの災害のない場所となると限られていて国家問題にもなるだろう。
 ■10万年と簡単にいっても、その間に地球や人類がどのようになっているかや、核以上に危険なものも増殖しているかもしれないことを考えると一概に地下施設だけに焦点をあてるのは「狭い」印象でしかない。
 ■こういった話があまり広がっていないのは、基本的に触れたく無い話題ということが前提になっているからだと思う(映画「コーブ」でも思った)。つまりはいつまでたっても密かに大量の核廃棄物を扱うという点で、その表裏の姿勢が今後の課題となりそうだ。


 結局、人類は他人や未来を考えることについては2の次、3の次ということなのでは?。ちょうどNHKで他の種類のクジラを思いやるザトウクジラの番組があって、人類には「まだまだ」という感じがした。

2013年6月13日木曜日

BD/DVD: Library War - Wings of Revolution (2012)


 テレビシリーズではどうして左手で敬礼しているの?と疑問に残った作品だった。別に弔い目的でなく、戦意の有無は別としても、未来的でありながら検閲という題材を用いた赤世界描写の内容であるため、何気に(左手敬礼を)納得しても不思議はなかった。テレビシリーズでは、笠原という新米の女性特殊部隊員を中心に展開される、所謂成長物語としてとらえてもよいだろう。しかし、いきなり劇場版
見た人にとっては成長過程を掴みづらい分、必然的に視点が警備ストーリーに思えるかも。

 物語はひとりの小説家と隊員達という構図になっている。幸いにも時折回想を交えた上官との人間関係にもスポットがあたるので、はじめての人でもなんとなくはテレビシリーズとの紐付けはできそう。

 まぁ、しかし、やはり、テレビシリーズを観た人向けという大前提は崩せない。多くの初見者は、映画を観て、テレビシリーズを観て、再び映画を観る手順は必至かも。


2013年6月12日水曜日

Movie: Oblivion (2013)


 Tom Cruiseは未来型が似合う俳優として健在。かつてSpielbergがLeoなら過去へ、Tomなら未来へ連れて行く姿勢を見せた頃から、その名残は引き継がれている。
 映画を観ていると70年代前後こそが至上の時代だったことの含みを数多く作っているようだ。ZepやProcol Harumに乗せた緑豊かな森の生活は、砂に埋もれたニューヨークと対比させてみるとテクノ以降に生まれた環境に白羽の矢があたっているかのようで、無論、日本の原発事故さえも含む。特に古い双眼鏡で望むこの映画では過去であるが、今でこそ新しい建築物群はどこかで虚しさでしかない。
 全体的にかなり綺麗な作り。これは、かつてのSpace odysseyや、Blade Runner、Alien、などで魅力を広げた手法を再現したかのようでもある。

 物語の内容は多く語れないが、自分の中では、アニメのRailgunだったり、Nicole KidmanのThe Othersだったりが、比喩対象としてはピッタリくると思えた。

それから、49タワーの視界の良い居住空間で、不思議とYear of the Dragonのあのマンションさえ思い起こさせた。人類破滅の状況下での贅沢で空虚だが欲望が湧くこのギャップこそが映画の狙うところではなかろうか。実際、この場面だけではなくいたるところに類する石が置かれているので、そんなところを特に注視すべきである。

2013年6月2日日曜日

DB/DVD: The Floating Castle (2012)


 心通わせる者には地位云々ではなく加勢しようという姿勢とか、土地を駄目にされたときの気持ちなど農民の視点をうまく使っている場面は悪く無い。とはいえ、映画全体は過激な演出をいくつか使っているものの間延び感があるのが残念。
 この映画セリフに存在するギャップに着目できる。例えば、戦国時代らしく昔らしいセリフ回しもある一方で、長親の現代的な表現などは清涼剤のように功を奏す。特に「みんな、ごめーん」という場面とかは印象的。


 個人的には、現代と昔の考え方の差異をもう少し考えてみるべきという気持ちになったこと。戦いの奇策となる水攻めにしろ、相当な長期にわたる計画があってできるものであるが、今では数ヶ月先の状勢も読み解けない実情からして、簡単に過去のその時代その場面を想像することができない。