2015年5月9日土曜日

Movie: Birdman: Or (The Unexpected Virtue of Ignorance) (2014)


 暫く山陰にいたことで危うくこの映画を見逃すところだったが、ようやく埼玉のレイトショーで見ることができた。しかしなぜ、山陰ではこの面白い映画を上映しないのか?。その答えは、地域柄として個人が面白い映画を探求する姿勢がなく、飼い犬のように与えられた楽しみに満足している特有の生活スタイルが染み付いているからであろう。端的にいえば、事前に知っている映画こそが「面白い」論法にもなる。実はこの歪んだ娯楽の構造は、本作品の演出と共通するものが感じられる。中身から膨らませるのか、外面だけに力を入れるのか、序盤のテーブルを囲った会話などを含め、似つかわしいものがあった。

 カメラがヌルヌルと舐めるように演者を追う。かつて「E.T.」などでアングルとクローズアップでどこまで見せれるかという議論をした時代の...。あの感覚。それに加えての音の効果。ドラムの現実感、弦の非現実感。突然カットされる不安感など、所謂こういった映画として入り込める不思議な楽しさは、ここ数年味わっていないものだった。例えばドラムの効果的な使われ方は、「ツイン・ピークス」を連想させる不思議な高揚感があり、恐怖感である。

 余談。レイトショーだというのに、本編前の予告編の数が尋常でない。やめてほしい。レイトショーは予告編不要。