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「ヒューゴの不思議な発明」??。このタイトルは絶対誤解を招くと思う。最近では残念すぎる邦題の映画。
Marie Georgesの功績を讃えるための映画だと思うが、序盤はまったくそれを感じさせない流れ、その多くの部分はまるで60年代のミュージカルの背景をも連想させる。実際、流れの要素のひとつひとつは他愛も無い場面の連続である反面、その他愛も無さを興味の対象に変えているところが素晴らしい。
後半からは、本題となるMarie Georgesの過去が明かされる。よくよく考えるとバスター・キートンやチャーリー・チャップリンをも遡る月世界旅行の影像世界に引き込もうとする切欠が機械人形であり、邦題が「不思議な発明」とくる中で、事前にイメージを膨らませて映画を鑑賞すると焦点ボケになるかもしれない。例えば機械人形の不思議な動作とGeorges作品との接点をうまく解決すれば更に良くなったのでは....と思う。
いろいろと感想はあるが、実のポイントはこれだけデジタル化して無機物化したかのような現代の映画ビジネスにおいて、アカデミー賞で高評価となった「The Artist」同様に映画史を振り返り「人間味のある良い部分は残しておこう」というメッセージが伝わるようだ。