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邦題はローリング・ストーンズ『クロスファイアー・ハリケーン』。
バンド結成50周年を記念した作品で1週間限定公開。来月にはDVD化もされる予定らしい。
流石にMartin Scorseseのクレジットがあると良い編集が期待できる。事実、タイムラインをそのまま語る展開ではなく、いきなりMSGの映像を持ってくるところは粋であるし、60年代~70年代にかけての時代背景描写も巧みに絡めてくる部分は評価できる。
今までThe Beatlesと対比して白と黒の関係をこれだけ強調した映像は無かったように思うし、本人側からでなく周囲から塗られた黒さを掲げて活動を続けるバンドの姿にこそドキュメンタリーの本質なのだろう。
映像でも分かるとおり、華やかのイメージというよりインパクトのあるブルースコードを使ったアクの強さで、逸れ者達を味方にしてきた彼等。本当の意味の有名とは裏腹な存在感だったこの問題児達は、やがて、ならず者ながらもメインストリートを闊歩する存在へ。この作品ではRonの加入あたりからその雰囲気が変貌する。
全体として、良いドキュメンタリーに仕上がっている。ただ50周年記念作にしては前半の20年くらいしか語られず、(確かに、後の30年はあまり激動の時代とは言えないが)やや物足りなさも感じた。
映画では語られないが、Stonesが「Goats Head Soup」の広告をMusicLife誌に掲載していた時代には、既に日本公演中止となった年としての暗い印象しかなく、同時代にはクレームの出たElton Johnの日本公演などもあり、まだまだライブの形が成熟していなかったことも、時代ながらのドキュメント性を高める要素であることは間違いない(おそらく確立したコンサートすたいるになるのは、70年後半あたりからだと推測する)。
個人的にはBill Wymanの久しぶり感が半端なかった。


