日本では今、政治や社会に言いようのない閉塞感があることからか、1960年代を回顧しつつ未来の活気に繋げようとする流れを感じる。
あの「三丁目の夕日」ではオリンピックを準備する東京の熱気を持った人々が描かれていたが、オリンピックやタワーというキーワードは今まさに再び日本の後押しをするものとなるべき存在なのかもしれない。当時、ビートルズの影響を受けたGSは若者のスタイルの象徴であり、その裏では学内闘争などの社会テーマが数多く存在した時代。そして何倍も日本らしさがあった時代だったのだ。
今回の映画も60年代が舞台。今、アニメでは「坂道のアポロン」があり、「氷菓」があり、60年代コンテンツが増えていく中でDVDを鑑賞するタイミングとしては申し分ない。
少しだけ懐かしく、そして今と比較して羨ましく思える内容だった。とくに学生達が喧々諤々と持論を主張し合う場面。孤立した社会、便利という言葉に誤摩化された冷たい国になった日本に何か一石を投じて欲しいと始終思いながら見ている自分がいたのだ。
最高ではないものの、上下の差を無くしてくれる感傷的な面が強く出た作品といえる。