2012年8月27日月曜日

BD/DVD: J. Edgar (2011)


 Clint Eastwood作品だと思わせる全体に暗さを強調した展開。一連の彼の作品と比べても出来具合に大きな差はない。とっても面白い話ではないこの映画。むしろ’60年代をよく知る人ならば別の意味で楽しめるかもしれない。ただ、そんな内容であっても目は引きつけられる。Hooverの晩期と勢力的な時期とが交互に展開される言わばよくある作風を持ち上げているのは、本筋をそらさない脚本にある気がした。Eastwoodで思い出されるPaul Haggisの面影まで感じさせる脚本になっていると思った。

 映画に沿って、いろいろなニュース連想が生まれる。コミュニズム、図書館のインデクシング、リンドバーグ誘拐事件、ケネディ家2つの暗殺事件、同性愛、人種差別、女性の職場台頭など。この映画はもしかしたら、時代のダイジェストをFBI長官という題材で見せているのかもしれないが、残念ながら今との(ひとの関わりにおける)違いまでは見つけられなかった。