2009年5月4日月曜日

Movie: Gran Torino (2008)


When you abandoned a normal thought...


 「最近嫌な奴が多い」と感じたとき、自分の考えが外周と一線が引かれていることに気づきだす。守るべきもの、崩されるもの、その全てを受け入れなければならないワケだが、真意が見えないものばかりを相手にしているとたとえ隣人とはいえ堅固な扉を築く必要もでてくる。

 この映画で扱われている、人の歴史、人の心、人種偏見、カルチャーギャップ。今日、明日の自分は多くのどうしようもない世の中の形に引き摺られている絶望感をアメリカの異国人種の住む世界に置き換えて表現している。ここでは余計な脚色は不要。場面設定がかなり質素にして派手な場面は一切登場しない。

 ここ最近のClint EastwoodのスタイルにはPaul Haggisの例えば「Crash」のような遣る瀬無い部分を生かしながら、映画をそんな雰囲気に落とし込んでよいのかと守りに入るハリウッドスタイルとが共存した感じがあり、そういった部分は日本人に限らず、多くの人に受け入れられているのだと思う。いや、間違いなく日本の精神論的なコンテンツの影響も多いはずだ。特にアメリカ製コンテンツには存在しないヒロイズムに多角的な視点を投げかけた部分はこの映画でも生かされる。

 最後に主張するのは「Gran Trino」。人間の差を越えた憧れをあるべき形に変えて映画に幕を下ろす。