
この映画は、あらゆる意味で身体や心にコンプレックスを抱える人達にヒントをくれる映画だと思った。この映画の強さは役者一人ひとりの微妙な感覚を表現した演技にあると思う。王の二人の娘でさえ正にも負にも出しゃばらない演技になっていることから監督Tom Hooperの姿勢が伺えた。
こういった事例は「すべてのことはすべての人間が同様にできる」と都合主義に巻き込まれたことによる犠牲の形の現れだと思うのだが、日本ではこういった部分を差別ネタにして、癒すどころか不安要素を増やす方向に進んでいくのは誰も阻止しようとしなかった。しかしこの映画は日本のこのような負の因子を感じられなかった。そんな部分に昔から引き摺る日本という国の心の感覚の貧しさを感んじたものだ。
それから、なんといっても音楽の価値を強く感じた映画でもあった。ベートーヴェンの交響曲第七番は特に...。
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