この手の映画ではベンチで声を出すウォルターマッソーやジャックウォーデンやトムハンクスの手腕が軸となりそうなのだが、ここではオフィスにいる葉巻の人物にその権利があり、肝心のコーチ陣の印象は皆無。選手同士にストーリーの成り行きを任せる感じだ。
率直に映画自体を評価するならば、楽しめる作りの割りに深入りせずにしこりを残さない「あっさり」な作りになっている。そう確かにエピソードの積み重ねを最後の何かで代弁している印象はあるが、一方では無味無臭な感じもするのでやや遠目の立場になってしまいがち。
この映画は歴史的ヒーローのマクロ描写というよりは1947年の総括っぽい展開が主旋律。観客の目としては差別問題の中の熱いドラマ性が期待されたが、腑に落ちない場面を挟んでくる点を感じ出すと、何らかの超えたくない壁でもあったかと勘ぐってしまう。例えば白人ベビーシッターの下りとかはその典型だし、ホテル前でのトラブルもそれにあたる。その流れなのか、ワールドシリーズ行きを決めたあたりが、締めなのかどうなのかが疑問で「あれ?終り?」という感想が出てきた。
まぁ歴史映画としては見て損はないと思うし、今の隣国関係にも関連する部分が推察できた。