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この映画はアメリカの歴史の縮図的な例と言えるかもしれない。70年代頃は「Rocky」で沸いたようなアメリカンドリーム実現のための直向な努力と結果からくる英雄伝説こそがハリウッド向きスポーツ・サクセス・ストーリーだった筈である。しかし、その後は、性根をすえて裏に潜む闇を描けば、Michael Moore監督作品のようにいろんな側面が出てくることもわかった。しかもその多くは実話からくるものである。例えると、アメリカの銃社会がもたらす問題は、先日見た"American Sniper"にも似ているし、欝がもたらす問題を描けば"Jarhead"にもつながる。現在、このようなアメリカとそっくりな国が中国である。大量消費、地域格差、民族問題等数えればきりが無い。もしかしたら今のハリウッドは中国の振る舞いを見ながら以前のアメリカ社会にあった闇を再び呼び起こし、問題提起しているのかもしれない。
この映画で印象的なのは、チーム・フォックスキャッチャーの勝利を祝うパーティで、BGMにDavid Bowieの"Fame"が流れ(歌詞はたしかJohn Lennon?)、その音楽が突然切られ、母と馬の話に流れる場面。根っ子になにかがあり、それが人を動かし、それが人を駄目にする...みたいな部分を拾えば単純に上から押さえつける力や麻薬だけでなく、師弟や肉親の間にある対抗心とかスポーツを超えた人の見方なども頭にいれなければならないと感じた。以前に日本にもあった柔道問題もそういうところかもしれない。
日本の旗の中にある赤い丸は、白い旗の大きさとのバランスの重要性がある。映画で登場する日本選手の旗デザインは、「違う」部類だ。