今の日本にタイミングよく舞い降りたテーマ。
偽善とか本音とかの軸ではなく、誰もが心の中にある「つっかえ」をどうコントロールしていくのか。映画では登場人物それぞれに持ち合わせる「つっかえ」が微妙に且つ大胆に絡まる。そこには本人にもわからないモヤモヤした領域があり、そこを共有しながら歩み寄るが、「つっかえ」は解決することなく誤解や苦難を呼ぶ。たぶん、最後が良い感じで終わったとしても、きっと「つっかえ」はとれないのだろう。とれない「つっかえ」。それがテーマだと思った。
近年のアニメ作品は重くなった。社会性のあるテーマに取り組む点では以前からある。もちろん「エヴァンゲリオン」にしてもそうなのだが、心理描写は以前にないほどに複雑化しているようだ。いい映画だと思う前に、こういう複雑な描写に向き合い、いったい我々は何をすべきかが解決されないところが、今度は自分のほうにも「つっかえ」を作り出してしまう。