2016年12月18日日曜日

Movie: Rogue One (2016)


 なるほど。オープニングがこれまでと異なるのは、通常のトリロジーx3の一部ではなく、付け加えられたストーリーの映画化としてだからか、別の視点を持って観るべきなのかもしれないが、後半やエンドロールでは間違いなくいつものSTAR WARSである。
 評価に困る。いかにLucusが原案を提供しているとはいえ、昔からのシリーズに肩入れしていると、予想していなかった展開には「なんか違うのでは?」との葛藤もあるのだが、終盤の設計図を送信するためシールド突破のためのバトルシーンあたりでは、初期のエピソードがいたるところで思い出されて「よく作ったな」と感心もした。
 もっとも驚かされたのはPeter CushingやCarrie FIsherが40年を超え、そのままの姿で登場するところである。どうやらデジタル処理によるものらしいが、こういった技術と価値観とのギャップについてはすでに麻痺状態になっている自分がいる。

 STAR WARSとはなんだったのか?今更だがエロール・フリンの如く冒険活劇だったと思うのだが、だんだんサスペンス色が強調されているのて単作で楽しむ枠から逸脱した感じを良しとするか否か、しばらくは悩むところかもしれない。

2016年11月27日日曜日

Movie: Fantastic Beasts and Where to Find Them (2016)


 ハリーポッターを深く知っているわけではないが、この作品が同作者によるということで一連の関わり合いに興味は唆られる。監督のDavid Yatesはハリーポッターシリーズの後半作品を手がけていたが、このシリーズでは2020年までのシリーズの監督としてクレジットされていた。
 主役のEddie Redmayne。彼のインパクトは本心を言えばイマイチなのである。なにかとっつきづらい表情とセリフがそうさせているとは思うのだが、もしかしたらこういった部分も、最初の話として計画されてるのかもしれない。
 役者のバリエーションが面白くて、John Voight がいれば、Johnny Deppもいる。そして、クレジットのない役者たちも多くいるようなので、このあたりもこのシリーズの楽しみ方になりそうだ。

 全体的には、わかりやすい展開だとは思わなかったが、終盤になれば、なんとなく脳内で解決している自分がいた。

2016年10月1日土曜日

Movie: Sully (2016)


 いかにリタイアした機体を使用して救出シーンを写したとはいえ、かなり大変なことだと思う。そういう観点から見ると、川に緊急着水するシーンですべて持っていかれそうな流れだが、Eastwood監督はそうはしなかった。時間軸をフラッシュバックを交えながら、巧妙に配置し、さらには国家運輸安全委員会の調査結果と向き合う場面が山場になるような坂道を地味にでも作っていくところが力点なのだと思った。もちろんこの映画の面白さは「どっちを選ぶべきだったか」という点への興味なのだが、実はそれ以上にエンドロールで流れる実際の人物の場面から、これしかないという確信があってこその(結果をだせる)プロフェッショナルな仕事の映画として観たほうがよいのだろうとも思った。
 バードストライク対策としては、いまでも猟銃等で追い払う方法が通例らしい。これへの究極の対応策が低コストでできれば、とも思うのだが、今のやり方こそがベストだと思う人も多々いるようである。「事故」とは、できるできないの間で起こるのは、どんな場面でも同じなのかもしれない。


2016年9月22日木曜日

Movie: The Beatles: Eight Days a Week - The Touring Years (2016)


 涙が止まらなかった。ビートルズのヒストリー的なドキュメンタリーは数多くあったのだが、今回の作品はちょっと違うようだ。Ron HowardじゃなくてMartin Scorseseだったらどうしただろう。もっとライブシーンが満載だったのだろうか?と想像したりもした。Ron Howard監督は、当時の有色人種の問題を初めとする社会情勢と、たった五年のビートルズのツアーイヤーを巧みに繋げて来た。涙の理由がそこではない筈。むしろElvis Costelloの「Rubber Soul」に対するコメントの方が涙に近いかも。いずれにしてもビートルズのツアーの苦痛がよく伝わって来る編集だったと思った。
 本編の後に、あのスタジアムライブが見られた。実は、70年代の後半に「Magical Mystery Tour」と併映で劇場上映されている。その時は「シェア・スタジアム」という名称だった。SHEAは誰もがシェアだと思っていたが、SHE-A(シー・エイ)という発音でシェイが本当だったようだが、当時は気にならなかったのだろうか。
 ビートルズは実際、腕のあるバンドだった。それは’61年のライブあたりで確信できた。しかし今回のツアーライブによって、音楽の向かい方の違いが明らかになり、強行スケジュールの中で(本当の)音の届かない演奏をしなければならなかった4人の気持ちを汲み取って、自分の涙になったのだろう。(それでもステージの演奏は魅了的であることに違いない)

 スタジアムライブではボタンをきっちり締めたポールとジョージ。ボタンをしなかったジョン。ボタンをひとつ外したリンゴ。この辺からも「気持ち」が伝わって来るようだった。

Movie: Koe No Katachi (2016)


 今の日本にタイミングよく舞い降りたテーマ。
 偽善とか本音とかの軸ではなく、誰もが心の中にある「つっかえ」をどうコントロールしていくのか。映画では登場人物それぞれに持ち合わせる「つっかえ」が微妙に且つ大胆に絡まる。そこには本人にもわからないモヤモヤした領域があり、そこを共有しながら歩み寄るが、「つっかえ」は解決することなく誤解や苦難を呼ぶ。たぶん、最後が良い感じで終わったとしても、きっと「つっかえ」はとれないのだろう。とれない「つっかえ」。それがテーマだと思った。

 近年のアニメ作品は重くなった。社会性のあるテーマに取り組む点では以前からある。もちろん「エヴァンゲリオン」にしてもそうなのだが、心理描写は以前にないほどに複雑化しているようだ。いい映画だと思う前に、こういう複雑な描写に向き合い、いったい我々は何をすべきかが解決されないところが、今度は自分のほうにも「つっかえ」を作り出してしまう。

2016年9月11日日曜日

Movie: Suicide Squad (2016)


 アメリカの人気映画といえば、Marvelからたくさんヒーローを集めて盛り上げるイメージが消えぬ中で、今回はDCからのヒーローもの。正直、この手の映画は好みでは無いが、5週で3億ドルを稼いだ作品という意味で観ることにした。
 「Sin City」、「Fantastic Four」、「Kill Bill」、「Spider-man」をはじめ、いろいろな作品が脳裏をよぎる。そこには近年の定石ともいえるスタイリッシュな雰囲気をもったヒーローものである。ただ、いきなり知識がまったくない状況でこの映画を観たとしたら、中盤までは取っ付き辛いだろう。一応、登場人物を紹介しつつも流れを作ってはいるが、素早く切り替わるショットに追いつくのが精一杯な感じ。ようやく腰を据えて観れるのは中盤のチームが集結したところからだ。ゾンビのような敵と戦うあたりが一番の見所。その後のラスボスに行き着くまでの過程は、なにか気が抜けた炭酸水のように「何かを失くした」感が…。
 まぁ、それなりに楽しめるとは思うが、もう少しそれぞれの個性を強調した内容にしたほうがよかったのでは?と思うのであった。

 刀をもった人はデビュー作だそうだ。マスクを取った次回作を期待したい。


Movie: Kimi no na wa. (2016)


 思った以上の重量感のある作品だった。「転校生」や「シュタインズ・ゲート」のような恋愛主軸で、入れ替わり、かつ、タイムトラベルものかと思っていた中、ヘビィなテーマが持ち上げられる。以前千人以上の怪我人を出したロシアの隕石落下事件を思い出すのだが、こういった希にでも起こる起こらない事象と、大津波や地震、台風のような一度でも被災したものとの線引きは、基本曖昧である。しかし、一度でも事件として扱われれば、異常なまでの防災意識でメディアが利用されるため、極論化が更に膨れ上がっているのが今の世の中だ。もしも、毎年のように、映画でも登場した隕石落下が発生する世の中が来れば、人の生活はどう変わるのだろうか…、という考えを持ちつつも途中から三年もの時を隔てた二人の接続定義まで感がなければならなくなるため、「(気持ち)忙しい」映画でもあった。
 キャストは俳優さんと声優さんが混在しているのだが、Ryunosuke Kamikiが予想以上に良い感じだったので、違和感なく観れた。

 

2016年7月31日日曜日

Movie: Trumbo (2015)


 最近、「芸術」という言葉が似合う映画を見なくなった。いや、たぶん近くの劇場公開作品に「芸術作品」が皆無に近いからかもしれない。70年80年には芸術作品と呼べるものが多くあったのだが、今では感覚を麻痺させる作品ばかりである。次第に映画から離れていく自分がいるのだが、そろそろ「映画」文化の終焉が近づいているのかもしれない。

 この映画の「赤狩り」を、今の「移民排斥」「黒人排斥」「銃規制」に当てはめると、本質はその裏の裏にある組織的な壁が見えてくる。時代はなんらかの形で繰り返す。とても参考になった映画だ。

 Dalton Trumboは昔のパンフレットなどでの日本語表記ではドルトン・トランボで通っていた。自分は「Johnny Got His Gun 」で初めて彼を知ったが、赤狩りの詳細事情までは知らなかった(ブラックリストにCharlie Chaplinの名もあったそうだ)。今回の「Trumbo」では、有名人や有名作品がぞろぞろと登場するのである意味で非常に楽しい。例えばEdward G. Robinsonなどは、彼が出ているというだけど「Soylent Green」を見に行ったくらいだ。

 映画では、投獄シーンなどはあるものの、瀬戸際を表すような部分は無い。その分、家族のシーンが協力的な印象のほうにウエイトを置きたかったのだろうか。それに合わせるようにキャラクターのイメージが良い具合に出ているようだ。Otto PremingerにKirkDouglasなどなど。この映画の苦労した部分が伝わってくるようだった。


2016年7月16日土曜日

BD/DVD: The Rape (1982)


 amazon tv stick を安く手に入れたので、最初の一本目としてこの映画を選んだ。映画デビュー2年目のYuko Tanakaが初々しい。かつてのATG映画では「サード」を思い出すYoichi Higashi監督の作品。

 電話のベルがよい効果を出しているのも、こういう時代だからこそかもしれない。面白いのはレイプされた日に鳴る電話と、ラストで鳴る電話の対比。映画が表に出そうとするひとつのポイントなんだろう。
 この時代は、まだ携帯電話、パソコンなどは無く、防犯のためのカメラも無かった。住宅地にも空き地が目につき、人通りもまばらな頃を察すると報道には出てこない問題が山のように隠れていたと思う。
 裁判のシーン以降、流れが変わってくる感じが面白い。まず、被害者が容疑者のように扱われ出す点。そして容疑者の弁護士が話を掻き回してくる。さらに登場人物のそれぞれの裏事情が明らさまになり、被害者でさえも「絶対的」なものが薄れてくるのだ。こういった流れは、技術の進歩を遂げた現在でも同様に社会の不条理の普遍性が根を張っている。解決したいが解決できないモヤモヤした部分。ここを描いたところは評価したい。

 男と女のダイアログ。冷静に聞いていると、あまりにも違和感のある内容にとれるが、あの頃を思い出すと、納得する面もあるのが不思議だ。


 結婚式後に登場する車は自分も当時乗っていた車。懐かしかった。

2016年6月19日日曜日

Movie: Irrational Man (2015)


 まるでかつてのJean-Paul Belmondo主演作品のような日本語タイトル。「教授のおかしな妄想殺人」という酷すぎるタイトルを知らなければ、きっと別の角度で楽しめただろう。Woody Allenは確かにコメディ調を巧みに扱っているが、意図としては全く違うところにあると思うし、実際に、欧米では犯罪ドラマとして扱われている作品である。

 実に惜しい感じがした。中盤までの流れは個々の考えを出しつつ交わりあい、面白く作られていると思うのだが、Abeの行為が追求されだした点から、いろいろな面が粗く感じたのである。ラストは駄目押し。ちょっと踏ん切りがつかなくなった。特に、Jillの人間性が問題に思える。彼女はAbeがロシアンルーレットで自分の頭に銃口を向けることを目にしていながら、その後、レストランで他人の裁判の問題に聞き耳を立てた。「嘘」の話から始まったAbeの講義に惚れ込んだJillならば、彼の意図と展開をある程度、読み解けたとしても不思議ではない。むしろ犯罪行為超えた世界観を持つ人物として興味を持っていたのではないのか?と思ってしまう。もし日本語タイトルの「おかしな」を付けるならば、女性側に付けた方がいい。



 その一方で、考えさせられる作品として評価していいのかもしれない。今の現代で問題にされている犯罪、社会問題、人と人の距離、様々な課題が凝縮されていたからである。