2010年1月6日水曜日

Movie: Katyn (2007)


What of the genocide do you blame? A scale? An idea in the country? A historical backdrop? Or persons in charge? ...(As if) is this a comparable thing?


 Andrzej Wajdaの強調句で纏められた作品。こういった手法を体感するのも久しぶりだ。特筆する点として、以前よりあまり映画にはされていないソ連の「曲者振り」が強調される。'30~'40における欧州時勢においてはどうしてもナチス党支配と侵攻に視点が及ぶのだが、この映画では1939年よりドイツとソ連両国から侵攻を受けていた時代の屈辱がWajda監督の人物表現あたりから染み出してくる。つまりポーランド人にとってドイツもソ連も大して差が無い受け止め方だったのかもしれない。場面から拾い上げれば、ドイツ侵攻から逃げるようにクラクフから去る人々。しかし向かう方向からはソ連侵攻を伝えつつ引き返すように言う人がやってく...この辺りだ。この行き場の無い状況こそがこの映画の底辺に根付くのだ。

 この映画の中盤のほとんどは安否の情報と言論との交錯が主体で描かれる。ソ連の衛星国となったポーランドにおいて色々な場面で人々の不幸な場面に出くわすのだが、こういったシーンの描き方も実に序盤を生かした展開といえる。本来ならば謎を残した終幕にしても不思議ではないところなのだが、Wajda監督は怯むことなく強調して描いた。カメラのアングルも不気味なくらいだ。

 この映画を見て、いったいどうして?誰が?と疑問を持つ前に「必然」に歯向かってきた人間の行いに対して深く反省しなければならないとも思った。
 
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