2017年3月12日日曜日

Movie: Nise - The Heart of Madness (2015)


 ブラジル映画を見た記憶がなかったので、大変興味をもって見た。
 時代は日本では太平洋戦争の頃。戦争への関わり有無を脳裏に残しながら物語を追うことになる。
 精神病棟の描きかたについては、違和感はあるが、映画全体の背景が大人しめなため、関心度を高めるためには必要なのだろう。
 映画では絵の表現、ユング、動物たちが重要な要素となっているので、多角的な観点から見ることができた。

 もっとも興味をもったのは、パレットからキャンバスへ絵の具を移すという言い回し。これはかつて思っても見なかった。

2017年2月25日土曜日

Movie: La La Land (2016)


 このタイミングで観ると何か意図的なものを感じてしまう。トランプ政権となり文化人たちも声を上げ始めた。これまでも映画関係者が政治色のある発言をしてきたが、安定した政権では恐怖的な映画が持ち上げられるのに対して、不安のある政権ではミュージカルが受けるという雰囲気もあった。この映画は冒頭から時代が不透明に思えてしまう。1960年と現代がミックスしたようなつくりになっているので、この数十年のどこにでも当てはまる映画ともいえる(iPhoneやプリウスはやや別次元だが)。
 率直にこの映画の何がよいのか?実はよくわからない。ストーリーもベタな感じがするし、人物像もどこかでみたような感じ。音楽、ダンスシーケンス、ジャズ、いろいろな要素を掛け合わしていても素直に映画自体のよさがよくわからなかった。やはりこの時代だからこそ心が動く映画なのかもしれない。いわゆる1960年から1970年のよい感じを今にもたらしたという点では内容に入り込めた。
 

2017年2月11日土曜日

Movie: In This Corner of the World (2016)


映画館には小学生も沢山みえていた。映画を見終わった後、果たしてわかるのだろうか?と疑問が出てきた。広島弁であり、戦時中の生活、当時の仕来り等を踏まえれば、理解するためのハードルは幾つもありそうだ。
 世代ギャップの壁はあっても、2時間の映画を細かいエピソードをつなげる感じで、物語が淡々と展開されていくので邪念なく観れたのはよかったと思う。
 Nonという声優(かつてのあまちゃん)がとてもしっくりしていて逆に驚く。アニメのキャラクターのかわいい仕草にも違和感がない。周りがプロの声優なのだが、ここは嬉しい化学反応だった。
 アニメは決して細部まで緻密に描かれているわけではないが、なぜかリアリティという言葉を使うなら、このくらいが一番なのではと錯覚したくらいだ。実写では絶対の描けない大和のある港の雰囲気は、この手法だからできたのだと確信した。

Original title: Kono sekai no katasumi ni



2017年1月21日土曜日

Movie: Silence (2016)


 “Killing Fields”とか”Schindler's List”のような不気味さと残虐性を含んだ作品というイメージで観たが、今回のこの映画の中で、人情味と圧力との間にいる人物には、なんらかの選択肢があり、結局は自分への問いかけの中で答えを出さざるを得ない境遇に陥り、生死や信仰不信仰を超えた特殊な世界観を自然と浮き上がらせているようだった。それに加えて、テーマにもなっている沈黙は、JesusRodriguesFerreiraの描き方にも当てはまって来るし、また五島へ船で案内される村人の気味の悪い沈黙した表情などにも意味づけがされているようだった。音楽を究極的に抑えた演出や、日本映画的な尺の長い会話にウエイトを置いている点など、Martin Scorsese風の映画として見るにはやや違いがありすぎるのかもしれない。しかしその一方では、日本人としてはかなり違和感なく観れたと思う。
 この映画の歴史的な側面は海外でどのように解釈されるのか興味あるのだが、英語を話す17世紀の日本人が、この映画のように多く存在していたとするならば、宗教的側面以上のインパクトを感じざるを得ない。



2016年12月18日日曜日

Movie: Rogue One (2016)


 なるほど。オープニングがこれまでと異なるのは、通常のトリロジーx3の一部ではなく、付け加えられたストーリーの映画化としてだからか、別の視点を持って観るべきなのかもしれないが、後半やエンドロールでは間違いなくいつものSTAR WARSである。
 評価に困る。いかにLucusが原案を提供しているとはいえ、昔からのシリーズに肩入れしていると、予想していなかった展開には「なんか違うのでは?」との葛藤もあるのだが、終盤の設計図を送信するためシールド突破のためのバトルシーンあたりでは、初期のエピソードがいたるところで思い出されて「よく作ったな」と感心もした。
 もっとも驚かされたのはPeter CushingやCarrie FIsherが40年を超え、そのままの姿で登場するところである。どうやらデジタル処理によるものらしいが、こういった技術と価値観とのギャップについてはすでに麻痺状態になっている自分がいる。

 STAR WARSとはなんだったのか?今更だがエロール・フリンの如く冒険活劇だったと思うのだが、だんだんサスペンス色が強調されているのて単作で楽しむ枠から逸脱した感じを良しとするか否か、しばらくは悩むところかもしれない。

2016年11月27日日曜日

Movie: Fantastic Beasts and Where to Find Them (2016)


 ハリーポッターを深く知っているわけではないが、この作品が同作者によるということで一連の関わり合いに興味は唆られる。監督のDavid Yatesはハリーポッターシリーズの後半作品を手がけていたが、このシリーズでは2020年までのシリーズの監督としてクレジットされていた。
 主役のEddie Redmayne。彼のインパクトは本心を言えばイマイチなのである。なにかとっつきづらい表情とセリフがそうさせているとは思うのだが、もしかしたらこういった部分も、最初の話として計画されてるのかもしれない。
 役者のバリエーションが面白くて、John Voight がいれば、Johnny Deppもいる。そして、クレジットのない役者たちも多くいるようなので、このあたりもこのシリーズの楽しみ方になりそうだ。

 全体的には、わかりやすい展開だとは思わなかったが、終盤になれば、なんとなく脳内で解決している自分がいた。

2016年10月1日土曜日

Movie: Sully (2016)


 いかにリタイアした機体を使用して救出シーンを写したとはいえ、かなり大変なことだと思う。そういう観点から見ると、川に緊急着水するシーンですべて持っていかれそうな流れだが、Eastwood監督はそうはしなかった。時間軸をフラッシュバックを交えながら、巧妙に配置し、さらには国家運輸安全委員会の調査結果と向き合う場面が山場になるような坂道を地味にでも作っていくところが力点なのだと思った。もちろんこの映画の面白さは「どっちを選ぶべきだったか」という点への興味なのだが、実はそれ以上にエンドロールで流れる実際の人物の場面から、これしかないという確信があってこその(結果をだせる)プロフェッショナルな仕事の映画として観たほうがよいのだろうとも思った。
 バードストライク対策としては、いまでも猟銃等で追い払う方法が通例らしい。これへの究極の対応策が低コストでできれば、とも思うのだが、今のやり方こそがベストだと思う人も多々いるようである。「事故」とは、できるできないの間で起こるのは、どんな場面でも同じなのかもしれない。


2016年9月22日木曜日

Movie: The Beatles: Eight Days a Week - The Touring Years (2016)


 涙が止まらなかった。ビートルズのヒストリー的なドキュメンタリーは数多くあったのだが、今回の作品はちょっと違うようだ。Ron HowardじゃなくてMartin Scorseseだったらどうしただろう。もっとライブシーンが満載だったのだろうか?と想像したりもした。Ron Howard監督は、当時の有色人種の問題を初めとする社会情勢と、たった五年のビートルズのツアーイヤーを巧みに繋げて来た。涙の理由がそこではない筈。むしろElvis Costelloの「Rubber Soul」に対するコメントの方が涙に近いかも。いずれにしてもビートルズのツアーの苦痛がよく伝わって来る編集だったと思った。
 本編の後に、あのスタジアムライブが見られた。実は、70年代の後半に「Magical Mystery Tour」と併映で劇場上映されている。その時は「シェア・スタジアム」という名称だった。SHEAは誰もがシェアだと思っていたが、SHE-A(シー・エイ)という発音でシェイが本当だったようだが、当時は気にならなかったのだろうか。
 ビートルズは実際、腕のあるバンドだった。それは’61年のライブあたりで確信できた。しかし今回のツアーライブによって、音楽の向かい方の違いが明らかになり、強行スケジュールの中で(本当の)音の届かない演奏をしなければならなかった4人の気持ちを汲み取って、自分の涙になったのだろう。(それでもステージの演奏は魅了的であることに違いない)

 スタジアムライブではボタンをきっちり締めたポールとジョージ。ボタンをしなかったジョン。ボタンをひとつ外したリンゴ。この辺からも「気持ち」が伝わって来るようだった。

Movie: Koe No Katachi (2016)


 今の日本にタイミングよく舞い降りたテーマ。
 偽善とか本音とかの軸ではなく、誰もが心の中にある「つっかえ」をどうコントロールしていくのか。映画では登場人物それぞれに持ち合わせる「つっかえ」が微妙に且つ大胆に絡まる。そこには本人にもわからないモヤモヤした領域があり、そこを共有しながら歩み寄るが、「つっかえ」は解決することなく誤解や苦難を呼ぶ。たぶん、最後が良い感じで終わったとしても、きっと「つっかえ」はとれないのだろう。とれない「つっかえ」。それがテーマだと思った。

 近年のアニメ作品は重くなった。社会性のあるテーマに取り組む点では以前からある。もちろん「エヴァンゲリオン」にしてもそうなのだが、心理描写は以前にないほどに複雑化しているようだ。いい映画だと思う前に、こういう複雑な描写に向き合い、いったい我々は何をすべきかが解決されないところが、今度は自分のほうにも「つっかえ」を作り出してしまう。

2016年9月11日日曜日

Movie: Suicide Squad (2016)


 アメリカの人気映画といえば、Marvelからたくさんヒーローを集めて盛り上げるイメージが消えぬ中で、今回はDCからのヒーローもの。正直、この手の映画は好みでは無いが、5週で3億ドルを稼いだ作品という意味で観ることにした。
 「Sin City」、「Fantastic Four」、「Kill Bill」、「Spider-man」をはじめ、いろいろな作品が脳裏をよぎる。そこには近年の定石ともいえるスタイリッシュな雰囲気をもったヒーローものである。ただ、いきなり知識がまったくない状況でこの映画を観たとしたら、中盤までは取っ付き辛いだろう。一応、登場人物を紹介しつつも流れを作ってはいるが、素早く切り替わるショットに追いつくのが精一杯な感じ。ようやく腰を据えて観れるのは中盤のチームが集結したところからだ。ゾンビのような敵と戦うあたりが一番の見所。その後のラスボスに行き着くまでの過程は、なにか気が抜けた炭酸水のように「何かを失くした」感が…。
 まぁ、それなりに楽しめるとは思うが、もう少しそれぞれの個性を強調した内容にしたほうがよかったのでは?と思うのであった。

 刀をもった人はデビュー作だそうだ。マスクを取った次回作を期待したい。