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Billy Cobham And Asere - De Cuba Y De Panama
未だにBilly Cobhamという名前は過去を振り返らせる力を持っている。一昔前は新しいアルバムが出る度に、バスドラを3つ並べていた頃と比較することが良くあったが、最近ではその比較自体が何の意味も持たない。むしろ年を重ねる毎に過去の飾り物を捨てているようだ。今考えてみると、35年以上前のアルバム[Spectrum]ではTommy Bolinなどを交えた音数とスリリングな展開に釘付けだった。そんな中で実は根底には母国パナマ色があったことを今更ながら振り返るのである。
このアルバムは、良い意味で過去のBilly Cobhamの位置づけを忘れさせてくれる内容だ。脳裏に残るメロディが連続するため、まるでパナマ観光スポットに居るかのような錯覚に陥るが、そこではBilly Cobhamの姿を想像するのは困難。そんな溶け込んだところも彼の狙いの一部かもしれない。ところがこのアルバムを聴いた後にキューバの若手グループASEREだけの音と比べると、明らかに「場所の違う音楽」に感じる。このあたりが(今は使われなくなったが)本来のFUSIONという言葉の由来だな?と自己解決するのである。

