2009年2月23日月曜日

Movie: Changeling (2008)


The performance of Angelina Jolie was most impressive in latest decade movies even if she missed an Oscar trophy.

 まずは注目なのがChristine Collins役のAngelina Jolieの演技。この映画が映し出す5~6年の間は世界恐慌、移民問題、差別や組織的な癒着などがもたらすロス市民の反体制的意識の下、人々が素直な笑顔を表現できない空気として伝わる。Angelinaが素晴らしく思えたのは、エピソード毎に見せる表現が理屈に適うくらいにリンクしている点である。それを印象付ける意味で唇は彼女の強力な武器だ。この映画、もともとはClint Eastwood監督と組んだことがあるHilary Swankが配役されるはずだったそうだが、Angelinaはその時代の顔だちとなりえる上、演技をする唇を含めて他よりも群を抜いていると思う。

 真実の物語。この映画は観客の心をしっかりと掴む。今年のアカデミー賞候補でリストされた幾つかの作品よりも好きかもしれない。映画の展開は決してあるべき姿ではないのだが、それが理想の形であるかのような雰囲気にさせる。もうこれはClint Eastwoodの技だ。物語の展開をややこしくする成りすまし少年が登場する場面でも、煩わしく感じさせつつ、これが映画の中でもかなりの効果となっている。加えてChristine Collinsが病院で医師から反論できない誘導尋問にあうところ辺りは脚本の上手さなのだろう。

 全般的に当時の人々が映画への愛着があるカットが織り込まれている点も要チェック。終盤、アカデミー賞発表の実況がラジオから流れ、「It Happened One Night」が「Cleopatra」を打ち負かすエピソードがあるが、これ、この映画の展開そのものに引っ掛けているところは上手い。

 しかし、当時のアメリカは、今でこそ「人権問題」などで槍玉にあがっているアジアや中東の某国家と同じくらいの偏った組織構造があったようだ。終戦直後の話だった「The Godfather」と併せて考えると、朧気でも線上で繋がる。