2009年2月5日木曜日

Movie: Defiance (2008)


Currently, The brothers who can fight each other are happy.


 「Tuviaどうするの?」。森を抜けた先の沼地を目にして躊躇するTuvia。そこを若いAsaelが先導する。モーセが海を割り民を導くかのように。この映画では重要な意味を持つ場面だ。

 Edward Zwickの演出は、いつもながら人間関係の絡みと相成る情景変化が味わいに繋がる。彼のかつての名作「Glory」の基調を踏襲してきたとも言える。今回の作品「Defiance」は例えば「Schindler's List」とは異なる側を描いたパルチザンとしてのユダヤ人救出劇であるが、物語を面白くしているのが3人の兄弟Tuvia、Zus、Asaelの距離感だ。つまり序盤からしばらくの展開はかなり地味でありながら兄弟の成り行きをお膳立てしている点は興味深い。本当なら細部に拘れば疑問な部分もあるのだが、知らず知らずと三兄弟の存在がそこに入り込むことを抑止している。突っ込みたくなる部分はどこかに消えた。

 Bielski兄弟の物語を知ったのは今回が初めて。2003年のPeter Duffyの小説によって知る人も増えてきたようだ。この映画は、歴史上の勇気ある実話を伝える意味で重要な役割を持ったと言えよう。
 Daniel Craigと言えば、先日「Quantum of Solace」を観たばかりだったのだが、どう考えてもこちらの映画のほうが様になっている。James Bondのように不死身の存在ではない今回の役柄だから、彼の演技も迫力を感じた。