2009年2月26日木曜日

Music: File Under Purple (2007)


Peter Fuglsang Quartet ・ File Under Purple

 日本中が昭和という時代を平和だと思うようになった頃、何処と無く夜の似合う街ではその時代に似合ったジャズが流れていた。電気的に増幅された音を否定するかのように、原音の衝突のスリルを味わうようなジャズ。登場する主役はテナーサックスとかクラリネット。上辺は「ムーディー」だが、実は下品な音の感触に悪戯に酔ったりしたものだ。

 そんな時代を思い出すのが、今回聴いたPeter Fuglsang Quartetのアルバム。「Cherokee」はまさに「青空」を思い出させる時代の感触があったし、続くタイトル曲「File Under Purple」では悪戯に酔う部分が再現されているのだ。これ、一人で聴くにはもったいない。誰かと聴く故の楽しさがありそうだ。3~4曲目になれば、誘い込まれそうなムードだった時間を過ぎ、一人のリスナーとして座席に着く自分がいる。油断すれば惰性で聴いてしまいそうになるが、そこは「Monk's Mood」のセレステなどが良いアクセントとなるのだ。それにしてもバスクラの魅力は計り知れない。今まで真剣に耳にしていなかったのが不思議なほどだ。