2009年2月9日月曜日

Movie: The Curious Case of Benjamin Button (2008)


Makeup of Cate Blanchett and Brad Pitt is a miracle.


 2時間をはるかに越える映画を見るとき、その内容によっては途中で時計を見たくなるときがある。2時間半の映画が3時間にも思えるときもある。最近はそんな映画が多かった。しかし今回は、(時間がエレメントの内容にもかかわらず)時間を感じさせず、逆に時間を忘れさせてくれるものであった。

 評価できるのは、人が老いて死んでいくという当然ともいえる自然界の流れに、敢えて逆らうような人物を登場させ、その人に関わった人物の生き様をくっきりと見せている点。「Forrest Gump」を彷彿させる人の存在の意義をEric Rothの脚本とDavid Fincherの演出によって巧妙にスクリーンに映し出している。1900年代の激動の時代を痛感させるような歴史的な出来事の幾つかをストーリーに関連させているところも巧い方法だと思うし、黄昏を美しく見せる海の風景も効果的によく考えられている。

 この映画、最後の最後まで奇妙さが残る。歴史的な被害を及ぼしたニューオーリンズのハリケーンの直撃をまさに受けようとしている病院で、老いたDaisyが娘に日記を読んでもらいつつも、その日記の持ち主だったBenjaminを回想していく、そんな映画の流れなのだが、奇妙なのは、それぞれが関係が混乱とともに途絶えるラスト。そこには次の世代との関係話を一切拒絶するかのごとく何も残していない。これほど「何も残さない」ラストは珍しい。しかしそれは悲しさとは異なり、存在したことの価値感を頭に焼き付ける部分にウエイトを与える良い意味の余韻を残した。